石井靖子

小説を出版する夢に向けて、孤独や葛藤などの普遍的なテーマを掘り下げ、それらをどう捉え直…

石井靖子

小説を出版する夢に向けて、孤独や葛藤などの普遍的なテーマを掘り下げ、それらをどう捉え直せば生きやすくなるかを言葉にしています。挿絵はAI生成アートですが、文章は肉筆、AIでは出せない生めいた艶とリズム感のある文体を目指しています。

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  • ショートストーリー / 詩

    日々の生活の中でのふとした気づきや人の心の襞に触れるような言葉を集めてみました

  • 六十花甲子 干支ポエム

    60個の干支の特徴をポエムにしてみました。

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    美術、絵画、映画、本などの紹介、感想文

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    日常の一コマ、常日頃から考えていること、不思議な現象など、様々な心の動きを言葉で固めてみました

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詩|何のために書くのか

知りたいことがある 自分が何者なのか 何を大切にして 誰を守りたいのか 自分の魂が喜ぶのは何か 最期に見たい景色は 次世代に遺したいものは 伝えたいことがある あのときの喜びや悲しみを 感情が波打ち震え 心の芯がつぶれたあの日を 膝を抱えて涙して 痛いほど嗚咽したあの夜を 力不足で拙くて及ばなくても 精一杯の情熱を出し尽くせばいい 苦悩して苦悶して苦心して 真っ白な紙にただ向かうだけ いつかきっとではなく それは今なんだ 誰に頼まれなくても 誰に望まれなくても この気

    • No.43 クライマックス       終わりの始まり

      観覧車の乗るゴンドラが 一番上に位置した てっぺんでしばし静止する 景色一面を抱き 全てを見下ろす最高潮の瞬間 真昼間の夏の太陽みたいに 蓄えたエネルギーを一挙に放つ 最も輝かしい瞬間 同時に不安が首をもたげる これから私は何処に向かうのか ゆっくり下る一方なのか 時局に処して流れに乗って 嫉妬やまやかしの数々を負いつつ ここまで昇り詰めてきたが 朝日は毎回うやうやしく拝まれ 夕日は常にうっとりと惜しまれ それにひきかえ正午の夏日は 眩しいばかりで目も合わされない そ

      • ショートショート「うさぎとクローバー」

         クラスで浮いている私は部活だけが命。朝練はもちろん、早弁して昼休みも自主練習に明け暮れる毎日。だけど、なかなか上達しなかった。  ある日、いっこ上の先輩から一緒に帰ろうって誘われた。飛び上がるほど嬉しかったな。誰かと一緒に帰るなんて久しぶりだった。興奮して一方的にいっぱい話しちゃったけど、何の話をしたんだっけ、忘れちゃった。先輩は優しく何度も頷いてくれてたな。  先輩は何をやっても一番で、学校中の憧れの人だった。凛としてかっこよくて、全てが理想でため息が出た。  先輩は私の

        • No.27 先導者の魂

          いつだって一球入魂 何にだって一所懸命 そうやってずっと突っ走ってきたが やってもやっても完璧には程遠く 掲げた理想は遥か先に 追いかけても追いかけても その尻尾すらつかめやしない ハイウェイを駆け抜ける 視界の届くその先へ 次々と景色を吹き飛ばし 鼓動と共に風となる 死の淵をすり抜けて ひりひりと今をつなげて 未来に道を切り開く

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          人を魅了するもの

          「人を惚れさせる」のはきっと、持って生まれた容姿の良さや自信溢れる力強い言動などではなく、もっと根源的な美意識に触れるもの、たとえば、流れるような所作であったり、丁寧で行き届いた指の運びや、人を包み込むような優しい眼差しなどで十分だろう。それこそが、自分の在り様を芸術的な感動領域にまで高めるように、意識されて修練された、その人の美学の現れなのだから。 逆に言うと、どんなに見てくれが良かろうが、スタイルがすぐれていようが、意識が人に向かわなければ、心底惚れさせる美しさとはならな

          人を魅了するもの

          No. 23 夜の帳が降りるころ

          沈んでいく夕日が闇に呑まれまいと 震えながら光を放つがごとく 必死で宇宙の波動を聴き 妙なる音を譜面に落とす その旋律は無色透明な水音のように 聴く者の心に深く沁みわたる ただひと時 思考をとめて日常を離れ 極上の調べに身を委ねれば 人と自然の調和の裡にて 心の安寧が得られる 夕刻の地平に隠れる日輪が 大きくため息をつき 最期の瞬きを担わんとする いまこの時 落陽の向かう彼方 宇宙の暗闇に思いを馳せ 光と影に心ちぢれながらも それでも必ず 明るい日はまたやってくると 落日

          No. 23 夜の帳が降りるころ

          No.22 美を魅せる

          私は自分の美学に則って仕事をする それは例えば着物の仕立て屋のよう どんなものがお好みか どういう風になりたいか 懇切丁寧に顧客に伺い あでやかな模様から伝統柄まで ふさわしい色柄を国の内外を問わず あちらこちらで探し回り サイズは少しあそびを入れて 上品に見せる技もはさみ 納得のいくものを提供する 貴族の正装でも、庶民の一張羅でも 分け隔てなく真心こめて 最大限に魅力を引き出し その人ぴったりを仕立てる 「期待をはるかに上回る」 そういうものを私は創る

          No.22 美を魅せる

          No.32  きみを見つめて

          頬杖ついてため息ついてる 不機嫌なのかと見ていたら目が合った 無邪気に笑うキミ 花がほころぶような笑顔 微妙な寝ぐせも襟の折れも おかまいなしに歩いてる 無防備すぎて笑っちゃう ついつい構いたくなる 子供みたいに飽きもせず続けられること すぐには形にならない地味な積み重ね キミは当たり前にただ淡々と習慣にしちゃう 見ているだけの私はただ祈る その努力が報われますように どうか蕾が開きますように 疲れて寝てしまったみたい いつものように丸まって あどけない寝顔 遠慮なく見

          No.32  きみを見つめて

          No.25  きまぐれ

          またあなたは移ってしまった つむじ風に乗ってあんなに高くに また私はおいてけぼり 足元が水浸しで進めないよ 何か言っているようだけど 遠すぎて聞こえないよ いつも話をうやむやにして 辻褄があってるって言うけど 全然ついていけやしない わたしをからかっているの そんなに上から見下したいの あなたは笑っているけれど わたしはちっともおかしくない ああ、ようやくこっちに降りてきた 目の合う高さまでに もう、ずるいんだから 今度はこんなに優しくして

          No.25  きまぐれ

          No. 21 ただ淡々と天の風の如く

          さあ、どこから手を付けたものか 目の前の課題に腕組みする いつもこうだな あらかた片が付いたと思いきや 何かしらの問題がふってきて でも、 こういう感じ 嫌いじゃないぜ さあ!どうしたもんだい 大問題 やると決めたらとことんやるぜ 形にするまで黙々と 結果が出るまで淡々と それが終わればとっとと次へ ねじり鉢巻まき直し どんと構えてお控えなすって 和太鼓たたいて笛を吹き 右へ左へお控えなすって 泣いて笑って人情劇 世のため人のため いよぉ! 刹那を 生き  切る

          No. 21 ただ淡々と天の風の如く

          No.26 居場所を求めて

          将来はパパのような人と結ばれて ママのように幸せな家庭を築きたいの 私が大事にされてきたように 彼を愛で満たしてあげたい 部屋を居心地よく整えて お茶を淹れる頃合いも計り うたた寝の背にそっと毛布をかける その隣で趣味のキルトを編むの どれくらい時がたったかしら もぞもぞと起き出すあなたは 私のことなどなかったように ついと向こうに行ってしまった 私が愛するのと同じ分だけ あなたに愛されたいのに 当たり前の日常がそれを無にする 美しく仕上がった砂の城が さらさらと風に梳かさ

          No.26 居場所を求めて

          No.24 祈り灯

          悲しみにふるえる後ろ姿 小さくつぶやいた だいじょうぶ 風で消えゆくよう うつむいた瞳はどこを見てるの 何を感じているの 周りはみんな忙しすぎて だれもが知らぬふり 傷ついて心が折れてもう 立てなくなっているのに 僕が君の灯りとなろう この世界の暗闇で 一人きりで悲しまぬよう 寄りそい照らすよ またそうやって強がって 平気な顔をするんだね だいじょうぶ 進んでもいいよ 後ろから支えるから 僕が君の路を照らそう 心もとない海原に 漂う小舟が彷徨わぬよう しっかりと灯すよ

          No.24 祈り灯

          さくらさく

          桜はまだかと待ち望み、咲いた綺麗だと喜び、どうかこのまま散らないでと思慕する風物詩が今年もまたやってきた。ようやく外気が温もり、あちらこちらで咲く桜に心も緩んで気持ちも弾む。肩に落ちる桜の花弁ひとひらは小さく薄く消え入りそうなのに、それらが集まれば、桜の木を一面びっしり覆って、街道を奥深くまで薄紅色に染め上げる。一雨ごとにはらはらと散っていくのもまた風情があって、ついには桜の絨毯となるのもまた一興だ。 人の気をそぞろにさせる人気の桜だが、もしも、桜の花粉症だったり、花弁の集合

          さくらさく

          No. 31 レクイエム

          広大な大地にぽつんと立つハルニレの木 双子の木が左右対称に見事な枝ぶりをつける 双葉のときからずっと一緒だったんだね 幾度もの朝日と夕日を共に見て 葉を茂らせたり落としたり 熱い日差しや雪の重みにも耐え 手を携えて生きてきた 鋼に切られることもなく 炎に焼かれることもなく たまさか運よく生かされた 私たちは二人でひとつだった 青空に向かって両手を伸ばし 足元で大地の息吹を感じ この広い世界で出会えた奇跡を 共に居られた喜びを ずっと忘れないでいよう 二人で過ごすこれからが

          No. 31 レクイエム

          No.1  再出発

          背を伸ばすとコツンと音が いたた、またぶつかった ぐるんと回るとまたコツン もうイヤだ こんな狭い場所は ここじゃないどこかに飛び出したいんだ 新しい世界の風を感じてみたいんだ 本音を言うと ちょっぴり怖い この世界でひとりぼっちには もう慣れたけど きっと外はもっと広くて一人じゃ間を持て余すかも いやいや、ぼくは知ってるぞ たとえ見知らぬ土地だとしても よく見て、選んで、よく学び、 だめだったら よく見て、考えて、またやってみる いつまでもここにはいられないから 自力

          No.1  再出発

          詩|雨の音楽

          雨の降る夜ひとりあるく 傘の中でぱちぱちと 雨音が爆ぜている マンホールからは 東南アジアの楽器みたいに じゃらんじゃらんと音がする 人の体のほとんどが水分だったら 私の中でもちゃぽんちゃぽんと 水の音がしてるのかな 自転車が駆ける音 道のはたに身をよける それを見送って ふたたび 雨の音楽を聴く

          詩|雨の音楽