日銀デジタル通貨の発行の形はどんなものが考えられるか


日銀がデジタル通貨を発行する場合、現実的なやり方としては、二つの形が考えられます。

日銀が、資金移動業者(Line Payなど)から直接、準備預金(日銀当預)を受け入れて、資金移動業者が100%日銀当預に裏付けられた民間電子マネーを店舗・消費者に発行。
日銀が直接、店舗・消費者に公的電子マネーを発行するものの、ユーザーは電代業者のアプリ(マネーフォワードMEなど)で日銀の電子マネーシステムにAPI接続。

上の二つのやり方の違いは、日銀と店舗・消費者の中間に立つサービスベンダーが、資金の受け入れを行うかどうかです。日銀は、日銀券の発券も含め、金融機関向けのサービスを提供する組織なので、店舗や消費者向けに直接自らサービスを提供するのは考えにくいです。逆にそう考えていくと、日銀によるデジタル通貨発行はそれほど非現実的なことではなくなります。

民間銀行の預金が不要になるのではないか、という意見も散見します。自分もそういう可能性はあると以前は思っていましたが、日銀デジタル通貨と違い、銀行預金は手形割引やローンの貸出(銀行の預金債務と借り手の金銭債務の交換)を通じて創造されるので、日銀デジタル通貨とは違う性質の決済手段です。なので、日銀デジタル通貨ができると銀行預金の必要性がなくなるということはないと思います。

逆に銀行預金があるのに、日銀デジタル通貨が必要なのか、ということは、正統な問いです。

また、今後は、各国中銀デジタル通貨よりは、国際送金のプラットフォームを中央銀行(のコンソーシアム)が提供したほうがよいのではないか、という点が議論になっていくと思います。(この点はイングランド銀行総裁のマーク・カーニーが昨年提起した問題と同じです。中国は、デジタル人民元のプラットフォームで各国が全ての決済をやれば効率的だと考えているということだと思います。)

#COMEMO #NIKKEI