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小説集

8
学生時代、過去の作品たちです。キュンがテーマ。大目に見てあげてください。
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「ごめん、ちょっともう余裕ない」

夜も深まった2人きりのオフィス。お互い好き合っていたのがわかると、彼は2回キスをした。1度目は触れるだけの甘いキス、2度目はさらに熱を帯び、蕩けるようなそれだった。いつもの人懐っこい笑顔で放たれた彼の言葉は、表情とは裏腹に有無を言わせぬ強い印象を与える。

「好きです。・・・大好き。」

「あんまり可愛いこと言わないでよ」

胸に溢れてやり場のなかった想いが、堰

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好きな音。

好きな音。

目が覚めた。
背中側だけ、やけに温かい。

まだボンヤリした頭の中で考えを巡らせる。昨日は1人で寝床についた。1人ぼっちの夜は思ったよりも寒くて、会いたいな、と少しだけ思った。…そういえば何か夢を見たような。鮮明に思い出すことは難しかった。でも、心の奥にロウソクが灯ったような、温かい、しあわせな気持ちだけが残っていた。

布と布が擦れ合う音がする。
彼が寝返りをうった。
カーテンから漏れる明

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[log]ちいさな独占欲

[log]ちいさな独占欲

「ね、ここどうしたの?」

なんとなくそういう雰囲気になって、ソファに腰掛けてキスをしたあと、彼が動きを止めた。彼の指が私の首筋をなぞり、そのポイントに触れた瞬間、皮膚がヒリッと痛む。反射で顔をしかめたら、ごめん痛かった?と心配そうにする彼の表情が見える。

「たいしたことないよ。髪巻いてたらアイロンで火傷しちゃっただけ」

「たいしたことあるじゃん…。赤くなってる。ちゃんと冷やした?」

「うう

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寂しさに唇寄せて、

寂しさに唇寄せて、

「ごめん、急いで終わらすから、ちょっと仕事させて」

 3週間ぶりに私の部屋に来た彼は、そう言って早々とデスクを占領してしまった。お気に入りのりんごマークのパソコンに向かう彼の背中を、もうかれこれ2時間くらいは見ている気がする。

 先ほど差し入れに買ってきたコンビニのアイスコーヒー(本当は私が飲みたかっただけなんだけど)を渡した時も「あぁ、さんきゅ。」って画面に向かって呟いただけだったし、もうす

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[log] 7月7日のお話

[log] 7月7日のお話

七夕だから、星でも見に行こうよ。

そう言って彼は私を誘った。
いわゆる"友達以上恋人未満"ってやつで、さらに言えば、トップアイドルの彼と、しがない一般人の私。
もし週刊誌に撮られても、彼にしてみれば、十分に釈明できる関係が保たれていた。

カーステレオが静かに、アコギの澄んだ音を響かせている。

運転席に座る彼の横顔は、いつもと変わらない。

私は、彼を好いていた。

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熱い気持ちやめないで

熱い気持ちやめないで

 自分の部屋に帰り着くなり、コートとマフラーを脱ぎ捨ててベッドにもぐりこんだ。買ってきたスポーツドリンクのパッケージが、青色で寒さに拍車をかける。一方で、冷えたそれが胃に流れ込む感覚には心地良さすらおぼえ、これは酷い風邪をひいた、と思った。視界がぐるぐる回るような頭痛と、酷い寒気と節々の痛み。口の中が乾いて気持ちが悪い。何か手を打たないと、とぼんやりわかっていても、身体が言うことをきかない。だるさ

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Kiss the Girl !

Kiss the Girl !

「…なんか怒ってる?」

お互い忙しい日が続き、久しぶりに会えたというのに彼の様子がおかしかった。笑ってくれないし、あまり目を見てくれない。せっかく着てきた新しいワンピースにも気づいてもらえなかった。こんなことは初めてで正直戸惑う。離れてる間に気持ちも離れちゃった?なんて嫌な予感も脳裏をよぎる。

「別に、怒ってないよ」

明らかに怒ってるじゃん、って言いたくても言えない。なんだか気まずい雰囲気。

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[log]ひとりぼっちで泣かないで

[log]ひとりぼっちで泣かないで

「はぁ・・・」

部屋にたどり着き、ベッドに身体を投げ出して大きなため息を吐く。

これ以上ないくらいに重大なミスをして、これでもかってくらいに怒られて、挽回するチャンスすら与えられないまま、半ば強制的に帰宅させられた。

悔しいのと情けないのと疲れたので、本当に頭も心もいっぱいいっぱいだった。

カバンの中でスマホが鳴る。
重い身体を起こして画面を見ると、表示されているのは彼の名前。

「・・・

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