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★【酔筆素読#11】科学とは鉄道だ

かなりめちゃくちゃなタイトルですが、最後まで読んでいただければ幸いです。

知識・経験=駅、考え方・概念=路線

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あなたの持っている知識と、あなたが今までしてきた経験は駅です。
そして、知識や経験をどのように捉えるかは、駅と駅を結ぶ鉄道路線です。

例えば、学校で同級生からあだ名をつけられて笑いの対象になっていたとします。それをクラスの人気者と捉えるか、いじられキャラと捉えるか、いじめと捉えるかはあなた次第です。「クラスメイト」「あだ名」は駅で、捉え方は路線です。

東京駅と名古屋駅を結ぶ鉄道路線はいくつかあります。東海道新幹線がポピュラーですが、在来線の東海道本線も結んでいますし、中央本線もあります。

どの路線を選んでも遅かれ早かれ名古屋には着きます。しかし、東海道新幹線以外での移動は物好きです。東海道本線は普通列車がメインで遅いです。中央本線に至っては、東京と名古屋を結んでいるイメージすらないのではないでしょうか(直通列車もありません。東海道本線の場合、直通する寝台特急はあるものの名古屋は通過)。ただし、中央本線の場合、東京→塩尻、塩尻→名古屋を特急「あずさ」「しなの」で移動することが可能です。普通列車より楽かもしれません。

考え方というのは常識に囚われがちですが、違う考え方に目を向けてみると、新たな発見があるかもしれません。在来線が景色の変化に富んでいるので面白いように。「いじられキャラ」という概念が、いまや「いじめ」を覆い隠す危険なものになりつつあるように。

科学=鉄道

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こうした知識・経験・概念・思考法は鉄道です。経験的な事象と客観的な事実に裏付けられた科学です。科学的とは難しく、また論理的でなくてはならず、構築は容易ではありません。
鉄道の敷設は、道路交通の変革よりも大変です。新幹線を建築するには政治的な思惑が交錯し、単線を複線にしようにも用地が限られていたり、こうした設備の改良はそもそも莫大な費用がかかります。しかし、子供からお年寄りまで誰でも利用できるインフラであり、非常に効率的な乗り物である鉄道の有利さは計り知れません。

心・価値観=バス

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鉄道で駅についても、自宅や職場、学校まで遠い場合はバスに乗ることが多いですよね。
いくら科学的で揺るぎない根拠があったとしても、それがあなたに受け入れられるかどうかの問題は、あなたの心の持ちよう、価値観次第です。つまり、鉄道とあなたの住まいを結ぶものがバスであり、心・価値観です。
あなたがクラスのリーダー、スクールカーストの頂点であれば、クラスメートにあだ名をつけるのは、あなたなりのコミュニケーションや“楽しさ”かもしれません。
男性器がついているからあなたは男性だという生物学は、あなた自身には受け入れられない(=心が受け入れない)かもしれません。でも、別の駅(ジェンダー理論の勉強)から別のバス(性別は2つで割り切れない)に乗れば、あなたの家まで案外簡単に到達できるかもしれません。

感情論=自家用車

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鉄道とは面倒なものです。家族4人で新幹線を利用するには高いし、観光地の鉄道は本数が少ないかもしれません。
そこで活躍するのが自家用車です。自家用車なら手軽に、ドア(あなた)toドア(知識・経験)ができます。要するに、社会の事柄をあなたが好きなように解釈できるのです。
自家用車があれば、あなたは女性は家事に向いていると考えることができますし、日本や日本語、日本人を無条件に美しく、優れたものだとみなすことが出来ますし、気合でなんでもこなせると思い込めます。

怒り=タクシー

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そうはいっても、自家用車を運転するには免許が必要です。しかし、免許なしでその効用をある程度叶えることが出来ます。タクシー会社に電話して車を配車してもらい、料金を払えばドアtoドアは簡単です。乗車している間は何も考えなくても、運転手があなたを導いてくれます。
怒りに身を任せれば、根拠など関係なしに嫌悪感や批判を訴えることが可能です。上手く使えば非常に力を持つことになりますが(#Me tooや#Black Lives Matterなど)、下手に使うと代償(高額な料金)だけが残ります(SNSやブログが炎上するなど)

哲学=ダイヤグラム

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鉄道の話に戻ります。
駅と駅を結ぶ鉄道路線には列車が走っていますが、その列車はダイヤグラムに沿って運転されています。ダイヤグラムというのは、鉄道路線によっていろいろな考え方があります。「都市と空港の利便性を最大限高める(JR千歳線、京成ほか)」「近距離客と遠距離客を分離する(JR京葉線、小田急ほか)」「小駅はギリギリまで優等列車で、途中で普通列車に乗り換え(京急、名鉄ほか)」「他社との競争に尽力(JR西日本、JR九州ほか)」などがあります。あなたが今まで得てきた知識や経験をどのように結ぶべきかは、あなたなりの事情もあると思います。ダイヤグラムには、一方を取れば他方を犠牲にせざるを得ないように、万能の答えというものが存在しません。あなたの人生哲学や、哲学の古典などにも絶対の正解がないからこそ、人間は考え続けなければならないと、私は思っています。

読書=新線開業・ダイヤ改正

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読書の魅力は、新たな知識や新しい概念や考え方の吸収にあると思っています。
2008年、渋谷と池袋の間に、新しい地下鉄路線、東京メトロ副都心線が開通しました(池袋から小竹向原の間は既存の新線に駅を増築、小竹向原から先は有楽町線と線路を共用)。渋谷と池袋の間には、JR山手線やJR埼京線・湘南新宿ラインという路線が既に走っており、副都心線はJR線とかなり並行しています。しかし、副都心線は西武・東武と直通運転をしたり、北参道・西早稲田・雑司ヶ谷という新駅の開業も含んでいたりと、JRから少し離れた部分で新しい価値を生み出しました。さらに、東急線との直通運転や有料列車S-TRAINの運行、新型車両の導入といった具合に、どんどんアップグレードしています。
読書は、あなたの考え方に多かれ少なかれ良い影響を及ぼします。もちろんさらなる当惑(副都心線開業初日や東急線のダイヤへの影響など)をもたらすこともありますが、トータルで見ると、あなたの人生は豊かになっているはずです。
ところ変わって、東京と成田空港を結ぶ鉄道路線は、今までJR総武快速線・成田線、京成本線といったものがありましたが、北総鉄道を介した京成成田スカイアクセス線の開業と、新しいスカイライナーの運行は、成田空港アクセスを劇的に便利にしました。
読書によって、あなたの価値観も劇的に変わることがあるかもしれません。私にとっての成田スカイアクセスは、『性同一性障害の社会学』『壁の向こうの住人たち アメリカ右派を覆う怒りと嘆き』『飛田で生きる 遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白』あたりです。

中京圏ではリニアが、関西ではなにわ筋線が、九州では九州新幹線長崎ルートが建設中であり、変革の可能性というのはどこにでもあるのだと実感させられます。

オカルト=観光列車

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幽霊、UFO、都市伝説といったオカルトは、メディアに登場して人々を魅了する一方、一切信じない人が多いのも事実です。よくある批判の言い回しは、「非科学的だ」というものです。
私はオカルトが好きです。UFOに興味はありませんが、都市伝説系はたまにネットで読みますし、幽霊といえば、私が大好きな作品「ほんとにあった!呪いのビデオシリーズ」があります。
これらはあなたの知識や経験を短絡的に結ぶことはしませんが、人生をちょっと豊かにしてくれるロマンを提供してくれます。例えば、風呂場で背後に気配を感じたり、撮った写真が心霊写真のように見えたりするのは、ロマンです。風呂場は気のせい、写真はたまたまと考える短絡的な考え方もありますが、幽霊の可能性を少し踏まえるだけで、実際に幽霊がいるいないにかかわらず、考え方が1つ増えます。

東北に、リゾートしらかみという観光列車があります。この列車は秋田駅と青森駅・弘前駅を、途中ローカル線のJR五能線を通ることで、遠回りながら風光明媚な景色を堪能することが出来ます。秋田と弘前・青森を結ぶ列車には、JR奥羽本線の特急つがるや快速列車がありますが、リゾートしらかみがあることで、旅や東北の魅力を底上げさせてくれます。遠回り・非効率なものにも、価値があるということがおわかりいただけただろうか…

陰謀論=どこでもドア

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陰謀論。はなから見るとむちゃくちゃなものです。私は例えるなら、陰謀論はどこでもドアだと思います。あなたの経験と経験を、一切のコストなしに、一瞬で、盲信的に、都合よく結ぶことが出来ます。
ドラえもんは22世紀の存在なので、未来はどうなるかわかりませんが、現状はほぼ受け入れられないものです。しかし、読み物として価値はあるかもしれません。

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