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「武士沢レシーブ」うすた京介


ギャグマンガの鬼才 うすた京介の挑戦

こんにちは、ひろつかさです。
今週も始めましょう、古面白い漫画です。

今回はうすた京介先生の「武士沢レシーブ」です。
うすた京介先生といえば「すごいよ!マサルさん-セクシーコマンドー外伝-」「ピューと吹く!ジャガー」など、名作ギャグマンガを描いている方なので、今更このnoteで取り挙げなくてもという気持ちもあるのですが、それを言ったら1つ目の藤子・F・不二雄は…となってしまうので、気にせずに進めてしまいます。

ともあれ、言わずと知れたギャグマンガの鬼才うすた京介作品です。
実はこの漫画、当時あまり人気がなく打ち切りだったと言われています。
前作の「すごいよ!マサルさん」が終わり、ついに次回作どんな作品か!と期待した人が多かったのでしょう。
そんな中、序盤は純度100%のギャグマンガだったのですが、徐々に展開していく中でそこはかとなく流れる哀愁が前作とは異なり、違和感を覚えた人も居たのかもしれません。
その要因としてはギャグだけではない、ちゃんとした物語性を持たせようとしたことがあるのではないかと思います。
前作「すごいよ!マサルさん」はほぼ単話(あって2,3話続きもの)で全体としての物語も何もあったものではない作品でした。
ジャンプ漫画でよくある天下一武道会のような大会イベントを途中で優勝賞品を盗んで終わるといったように、話のぶった切りも頻繁にありました。
しかし、この作品は軸となるストーリーを設け、それに沿って進めようとしたうすた京介先生の挑戦を感じます。
後の作品でも「フードファイタータベル」というストーリーがちゃんとある作品を描いており、その礎にもなったのだと思います。

そういった点も含め、僕はもうものすごく名作だと思っているので、ここで取り挙げたいと思います。

どんな作品?

キミたちの「ヒーロー」への憧れ…武士沢が叶えよう!!
《武士》が見たいか? 《レシーブ》が見たいのか!? 廃部寸前の牛乳学園ヒーロー部に救世主が現れた! 悪の軍団に敢然と立ち向かう快男児、武士沢光沢!! 教室でも通学ヘルメットをかぶりつづける武士沢が、常識も定石もぜんぶブチ壊して大暴れ!!
Amazon概要より)

いつもはウィキペディアからストーリー概要をコピペしているのですが、あまりに情報が少なく、ストーリの項目すらありませんでした。

端的に言うと、ヒーローにあこがれる「武士沢」が牛乳学園(変な名前!)ヒーロー部に入り暴れるというところから始まります。
主人公はそんな武士沢であり、元々ヒーロー部に所属している国本兄妹です。
序盤はとにかく武士沢がめちゃくちゃで、国本兄妹はツッコみをするけどそもそも変人という、芸人ランジャタイの漫才を見ているようです。
後半からはちゃんとしたヒーローものとして、敵が出てきたり、博士が出てきたりと展開していき最後にはラスボスと…と前の章でもストーリーのある作品と書きましたが、とはいえギャグマンガですし、そもそも2巻打ち切りの作品なので、ストーリーについてこれ以上のことはありません。

ギャグとしては、とにかく主人公の武士沢が周囲を振り回して展開します。
第1話の武士沢の登場時、ヒーローになりたいがあまり「平和ってステキだよホントに…!オレ絶対守ってみせるよ!この平和!だからもう…早く乱れろよ 平和…!」と言ってのける始末。
平和を守るヒーローになるには平和ではない状況でなければ存在しないという矛盾をいきなり突くこのフレーズは、セリフだけでも武士沢の腐った精神性が分かる素晴らしいセリフです。
それのわきを固めるキャラクター達も全員どこかおかしく、逆におかしくない人が変なのかなと思ってしまうくらい濃い集団で描き上げられています。

ただ、キャラクターだけで笑わせに来るわけではなく、絶妙な言葉選び、その言葉から受ける第三者視点での印象など、言葉遊びも豊富です。

おすすめポイント

この作品のおすすめポイントは何といっても最終話のストーリー回収の潔さ。
打ちきりになる漫画というのは
・無理やり話を畳む
・投げっぱなしで終わる
という大きな二つの方針があると思っています。
(もちろん、もっと細かく分けられますが)

そんな中でも、本作品は「無理やり話を畳む」というものの極致だと思います。
調べればすぐに出てきてしまうので、ネタバレをしてしまうと「年表」にしてしまうというもの。
初めて読んだときは、そんなのありか!と思いました。
未だに、同じような終わらせ方をしている作品はほぼ見たことがありません。(武士沢レシーブのパクり/オマージュだと言われてしまうからかもしれませんが)

しかしながら、その年表を使うということ自体が新鮮ということもありますが、そこまでの持って行き方、年表の中身の興味の引き方、年表後の哀愁漂う最終ページ、どれをとってもギャグマンガとしての完成度が高く、ほれぼれとしてしまうのです。
打ちきり漫画といわれますが、仮にこれが計画通りの短期連載だったと言われても「なるほど」と思える作りです。

ギャグマンガやお笑いが好きで武士沢レシーブを読んだことない人はこの最終話のためだけにその前も含めて読んでほしいです。

最後に

ということで、今回は「武士沢レシーブ」について書いてみました。
ギャグマンガのオススメを書くというのは、何が面白いかを説明しづらいので難しいですが、それでも面白い漫画はたくさんありますので、今後も取り挙げていきたいと思います。
ではまた来週!

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