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読んだ本(2023年11月)

12月初旬まで忙しいので、11月は"本日は、お日柄もよく"で図書館の本は打ち止め。実は加藤シゲアキの"なれのはて"も一旦借りたが、気持ち的にも時間的にも無理になってきたので期限前に返して次の予約の人に読んでもらおう。(と思っていたら直木賞候補になってずっと予約二桁だ)余裕ができたら積読に多少手をつけようか。


沈まぬ太陽 5 会長室篇下 / 山崎豊子

結局国見会長は去り、恩地はアフリカへ戻り、会社は腐り切ったまま(外部から寄生しているやつらもいる)続いていく。そりゃ破綻するわ、という終わり方。この後を知りたければ(ノンフィクションであれば)稲盛さん関係の本を読むと良いのだろうが、とりあえずヘビーなのは一段落で他のシリーズものをこなしていきたい。

とりあえずシリーズ全体を読了したのでまとめてみた

イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る / デービッド・アトキンソン

英国人でアナリスト出身である著者は、日本で文化財などの歴史的建築物の修繕を行う会社の経営者である。本書はアナリストとしての見解と歴史的建築物修繕の会社の経営者としての見解の両方を盛りこもうとしたけど、うまく融合せず迷走しているような内容になってしまい残念な感じだ。自分もそうだったように、タイトル的に読者は建築会社の経営者としての視点を期待していると思うので、アナリスト的視点はもっと軽くした方が良さそうだ。

村上海賊の娘2 / 和田竜

沈まぬ太陽を読み終えたので、読みかけの村上海賊の娘を再スタート。
大阪の砦に安芸門徒を送り届けてから、泉州侍と出会い合戦が始まって一段落するところまで。
戦の描写は巧みで、映像作品を見ているかのように自分の頭でイメージできた。うまいなあ、と思ったら作者は映像作品の脚本家を目指していたようだ。
二巻の初めの方は何だか中だるみなのかと思って読み始めたのだか、戦が始まってから没入して一気に読んだ。

本日は、お日柄もよく / 原田マハ

原田マハ作品のテスト。何故小説家の原田さんは変わったペンネームが多いのだろう。(独り言、ちなみに原田ひ香は未読)
導入部分の読者のひきつけ方がうまい。村上海賊の娘(2)から少し遅れつつ並行して読んでいたのだが、一時はページ数的に追いつきそう(というか追い込しそう)になっていた。序盤で説明なしに面白いエピソードをぶち込んで、そこから徐々に説明していくというのは、うまい人がやればうまくいくという例だ。
途中で政治臭が入ってくるところで、ちょっと中だるみというかいまいちな感じ。作品が書かれたのが民主党政権時代という時代的な背景もあり当時の空気感からいえば理解できるのであるが、政治関係で中途半端に思想をいれると政治臭が残ってあまりよくない。しかし極端に入れると少数の人しか読まなくなるマニアックの作品になって難しい問題なのではあるが、この部分は個人的にあまりうまくないと感じた。作品自体が主人公の自分語りとして書かれているので、主人公の頭の中を投影しただけと解釈すれば良いだろう。
何だか偉そうな書き方だが終盤のまとめ方はさすがの出来だ。ハッピーエンドなんだろうとは予測していたので、当選する流れは予想していたのだが、その前に起きる出来事からの流れや久美の生い立ち、そして最後にタイトル回収ときれいにまとめ上げた。
話そのものは当然面白いのであるが、特に序盤・終盤のもっていき方のところで技術的なうまさを感じさせる作品。

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