ベーシックインカムの前にオフゲ経済推進(前編)
ちょっと間があきましたが、ネットゲーム(メタバース)の経済を現実に導入できるかを考える記事の続編です。次はベーシックインカムをテーマにしたいのですが、そのまえにちょっと寄り道してオフゲ経済(オフラインゲームの経済)も実現できないかを考えてみることにします。
すでに推進されているオフゲ経済
「こら待て、ネットゲームの経済を実現するというだけでも荒唐無稽なのに、破綻前提のオフゲ経済なんて度が過ぎる!」と誰もが思うでしょう。
たしかにオフゲ(主にオフラインのRPG)における通貨は、プレイヤーが物語を先に進めるための動機付けや成長を待つためのストッパーとして機能する一方で、物語の終盤は有り余ってどうでもよくなる、非循環型経済です。「経済」と呼ぶことすら許さない! という意見もあるかと思います。
でもこれ、ぼくら多くの日本人の人生観そのままじゃないですか。
「人生100年時代」なんて言われるからすべき貯蓄額はあがり、そして少々歳をとっても死ぬ直前まであと何年生きるかわからないから、できるだけ貯蓄を目減りさせまいとする。そしていよいよ最期の時、お金を余らせたまま"エンディング"を迎えることになる。その時は、不意にやってくる。
「老後の安心」とは「いっぱいお金を余らせてエンディングを迎えたい」ということにほかならず、ぼくらは普段からオフゲ経済を推進しているとも言えるわけです。これはぼくら個人に限らず、企業(内部留保の肥大化が問題視されている)も同じです。
多くのみなさんは大切なことを忘れています。現実社会を構成するのは人々であり、動かしているのも我々だということを。市民には力があり、その手先にすぎない政治は、本当は力が弱いのです。
オフゲ経済の問題点
ゲームの方のオフゲ経済の問題は、どうでもよくなるほどの大金を溜め込んで使い道がなくなることにありますが、逆に考えれば構造上の大きな問題はそこだけです。一方現実の方では、遺産は家族に相続され、単身者であれば国庫に返納されるので一応循環するのですが、それだけで済むわけではありません。
現実社会の経済では、市中にあるお金が市民の間を行ったり来たりするときに税金が発生することで、国は収入を得て次の支出とし、国家予算のバランスを取っています。日本はこのバランスを取りすぎているからおかしなことになっている側面もありますが今回はそれはさておき、貯蓄はお金の流れを滞らせるものと見られるので、政治家のように上から目線で経済を語る人は貯蓄を敵視するわけです。
だからってノーガード人生なんて遅れるか! と叫びたいところですが落ち着いて。年金があるじゃないですか(慰めになっていない)
年金の話は、すると長くなるので「年金ではダメです」とだけ言って話を先に進めます。
ぼくは無税社会を目指すべき(少なくとも直接税をなくすことから)と思っているので現在の国家予算の仕組み自体に否定的ですが、さすがにサクっと変えられるものでないことはわかっているので現状の仕組みをやむなくイヤイヤ尊重して考えることにします。
でも、一方でぼくら日本人の人生観だって尊重されたい。されるべき。そのうえで必要になるのが、すでに進んでしまっているオフゲ経済をアップデートすることなのです。
問題点をもう少しよく見れば、解決手段も浮かんできます。
問題視されるのは人々が貯蓄することではなく、"過ぎた貯蓄"が経済全体の重荷になることです。とはいえ"過ぎた貯蓄"そのものが"安心"とイコールに近いものですから、これをそのまま潰すことはあってはなりません。
"安心"を守りつつ、"過ぎた貯蓄"を別のものに置き換えることで、経済から切り離す必要があります。次回、それを具体的に考えていきます。
(つづく)
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