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メタバース経済とMMTを考える(序文)

今回の記事は、以前書いた『無税社会は可能か?』の続きといいますか、メタバースやオンラインRPGをベースに"経済"をもっとまじめに考えていくものです。文章で「あーだ!」「こーだ!」というだけでは読み手を煙に巻くようなものになってしまうで、今回は図版を交えつつやっていくつもりです(ただ、図版を作るのにも時間がかかるので、断続的なゆっくり連載になるかもしれません)。

MMT理論についても考える

さて、今回はまた、税金や経済の話になるとよく話題にあがる「MMT理論」についても念頭に置いて考えていきます。

ここで「MMT」がなんの略かなんて野暮なことは説明しません。ただ、ご存じではない方のためにざっくり簡単に説明すると、日本やアメリカなど自国の通貨(円とかドルとか)を発行できる国は、いくら通貨を発行しても破綻しない、「だから国は国債をたくさん発行することで国家予算の足しにして、ケチケチしないでもっといろんなところに予算をつけたり、国民にお金を配れ」という理論(?)です。

やっかいなのはMMT理論については肯定派と否定派がいて、それぞれがいわゆる藁人形論法で殴り合って(というより、"すれ違って")いるので、彼らどちらの言い分を聞いてもなにもわからないということです。

ただ……ただ実は近年、ぼくは仕事でその手の政治経済の話題の記事を書くこともあるんです。そういう意味ではまじめにこの話題に触れてきたので思うところはいろいろあるのですが、肯定・否定を述べるには至りません。それには大きな理由があります。

経済は数字を扱うために数学的・科学的なものだと思われがちですが、なにせ仮説や理論に基づく実験を行なえず、事実に近づいていることを確認することができません。もちろん株価の変動などのように焦点を絞れば予測くらいはできますが、あまり大きな視野で経済を語ることは難しい。難しいなりに語る人たちはそれはそれで立派だと思いますが、現時点で誰の意見が正解だと決めつけられるほど、ぼくは尊大ではないのです。

とはいえ、MMTの実現可能性を探ることは前向きですし、理想の経済、理想の暮らしを考えていくのは肯定派とか否定派とかはさて置いて、"一緒にできること"だと思うわけです。そういう機会を与えてくれるものとして、MMT理論にはある程度の価値があるのは確かだと思います。

ただし、MMT肯定派の意見にはお金の流れだけに目を奪われて、モノやサービスがついてくるかを考えないものも目立ちます。これらについてははっきり否定しておきたいと思います。大切なのは「経済(お金)を通じてモノやサービスがきちんと流通するか」です。

経済の歴史はオンラインゲーム世界で進んでいる

さて、現実の世界は経済の仕組みを簡単に変えることはできませんが、オンラインゲームの世界は比較的容易に(そして無責任に)経済の制度を変えることができます。実際にはダメな経済制度のゲームが廃れ、新しい制度のゲームが勃興する、というかたちでオンラインゲームという"分野"全体で進歩してきたんですけどね。

ただ、以前の記事でも触れた『FINAL FANTASY XI』(FF11)は20年の歳月のなかで他のゲームの仕組みを取り入れつつ、1タイトルのなかで経済システムを変遷させてきました。そこで今回も、FF11を例に、お金の流れ、税金、制度の好悪などについて見ていきます……というわけで、作成した図がこちら。

※少し修正しました(2022/12/7)

図で示されていることの紹介など、詳しくは次回以降になりますが、FF11を知らなくても、オンラインRPGあるいはオフラインRPGでもプレイしたことがあればわかるようにしていくつもりです。今回用意した関係図は「良くなった現在のFF11の経済」と、「悪かった過去のFF11の経済」を大まかに示したものですが、これをもとに現実における経済(悪い)や、MMT後の経済(良い?)、あるいは無税社会の実現やベーシックインカムの可能性についても考えていきます。

(つづく)

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