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【医師論文まとめ】3Dプリンターで作ったヒトの皮膚 重度熱傷の救世主に【Summary・済】

方法

アメリカのウェイクフォレスト大学再生医療研究所の研究チームは、3Dバイオプリンターを用いて、ヒト皮膚の主要な6種類の細胞(ケラチノサイト、線維芽細胞、皮膚の幹細胞、メラノサイト、内皮細胞、免疫細胞)を特殊なハイドロゲルと組み合わせたバイオインクを作製しました。このインクを用いることで、表皮、真皮、皮下組織の3層構造からなる、厚さ1ミリのヒト皮膚を再現することができました。

マウスへの移植

この皮膚移植片を免疫不全マウスの全層皮膚欠損模型に移植したところ、移植後1週間以内に血管形成が活発化し、2週間後には表皮が目立って肥厚し、正常なヒト皮膚の表皮突起構造が再現されました。移植した細胞由来の各皮膚細胞が欠損部の皮膚構造の再生に関与していることも確認されています。

ブタへの移植

さらに、ブタの全層皮膚欠損模型においても、同様の効果が確認されました。皮膚移植片は上皮化を促進し、皮膚の萎縮を抑制しました。コラーゲン線維の正常な配向が保たれ、瘢痕化が抑えられていました。

議論

研究者は、本手法により作製した皮膚移植片が、重度熱傷や大規模な皮膚損傷の治療に有用である可能性があると考えています。患者自身の細胞を用いれば、拒絶反応も回避できるメリットがあるとしています。

ヒトでの検証が待たれますが、3Dバイオプリンティング技術によって作製した皮膚移植片は、自然に近い皮膚の再生を実現し、重症患者の救命・生活の質の向上に大きく貢献することが期待されます。

所感

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