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【島の教え】骨ごと炊けば「煮付け」はもっと旨くなる

切り身の煮付けに出汁はなし?

煮魚ってこんなに美味しいの?

瀬戸内・香川県丸亀市の離島「さぬき広島」に来て、なんだかんだと3年近くが経ちました。
常日頃から島のおっちゃん・おばちゃんたちには色々と教えてもらったり、励ましてもらったりしておる一方で、それに加えて晩御飯のおかずをいただくことも。

どれもみんな美味しいのはもちろんなのですが、一番驚くのは魚、特に煮魚が旨い。
正直、元々は刺身やフライに比べれば、そこまで好きではなかった煮魚。

ただ島の人達に作ってもらう煮魚はほんとどれも旨い。そうすると、自分でも作るようになるんですね。ほんと美味しいから。

「切り身」の煮付け

そんな3年を迎えようとしたある日、仕事で東京におりまして、なんとなく定食屋で昼食に煮魚を頂きました。

「こんなに味気なかったか?」

味気ない。そんなことはないのです。醤油味も、生姜もしっかり効いているのに何か足りない。

「あ、出汁感ないわ」

このとき気づいたこと。それは島の魚の煮付けは、小さい魚をなら丸ごと一匹、大きい魚場合はヒレや頭やカマなど何かしらと一緒に身を煮付けていたのです。

つまり、骨も一緒に煮付けられているのです。

今、東京で眼前にいるのは、いわゆる「切り身」。そりゃ、どーにもなんねーわ。

偉そうに言う私も元々は大阪の住宅街育ち。煮魚も焼き魚もなんだかんだ切り身を口にすることが多かったように思います。
ただそんな私も、いま、島の煮魚を食べたくてしかたありません。

そして島には「メバル素麺」という煮付けたメバルを素麺に汁ごとぶっかけるという郷土料理があります。

移住一年目に食べさせてもらったメバル素麺。素麺に煮魚の汁がかかっています。

そういえばこれを最初に食べさせてもらったときも

「魚の出汁が出てて、旨いんや」

とおっちゃんが力説していたような。

ボラを引っ掛けて、炊く

そんなことを思って島に帰ると、この春はどうやらボラが大量に接岸しているらしく、ボラ釣りに誘ってもらいました。

黒い帯状になっているボラの群れ。200mくらいは続いて、おそらく数千匹いるかも。

おっちゃん曰く「赤い目のボラは大したことないけど、今回の青い目の真ボラは旨いんぞ」とのこと。こりゃ、期待に胸が高鳴ります。

というわけで、ボラ釣りならぬボラ引っ掛け&捌きをダイジェストでお届けします↓

群れにこの針を突っ込んで、体のどこかに引っ掛けるらしい。ボラはとっても引きが強いので、おっちゃん曰くこれはブリも釣れるような強度らしい。(ピント、、、)
15分で6匹、引っかかりました。
!次の画像から血が出ます!
おっちゃんのナイフによる脳天締めとエラを切っての血抜き。これが美味しさの秘訣。
筆者は小さい魚ならともかく、大きい魚だとまだこれができないので、大抵、木の棒か大きな石で魚の頭を叩いて締めています。
締めると毎回「息の根を止めてるんだな」と思います。
締められたボラ。グロテスクかもしれませんが「鮮血」という言葉が似合うくらい、色鮮やかな血に少し惚れ惚れします。
ここから捌き作業へ。鱗を落としたら、頭を落とします。骨の関節を狙うと、割とすぐに落ちます。
3枚おろし 外側
内側。きれいな白身なんです。
なんで中骨がないって?完全にしくじりました。

煮付けて食べよう

といっても、メインの身はお造りや塩焼きにしました。

だって煮付けで食べたいのは、出汁だから。そしてまた、三枚おろしでしくじったので身がたくさん骨に残ってたんですね。

実はこの日、筆者の経営する宿にお客さんがおりまして、青空解体ショーをしてました。
あんまり上手ではないけどお造り。歯ごたえ抜群で、ブリと鯛の間みたいな味です。
塩焼き。鱗が大きいので、その跡がきれいに出ます。

というわけで、見ての通り、メインは違う形になりました。

そして残った骨と身は、、、

骨どころかヒレもついてますね。

酒、醤油、みりん、砂糖に生姜。というド定番かつシンプルな味付け。

だけど、ほんとに美味しい。我ながら。
特に骨の周りの身が旨い。

そして何より出汁の効いた煮汁。これが美味しいんです。このまま飲めるし、日本酒も飲めちゃう。

魚は本当に骨ごと炊く・煮るのがホントに美味しい。出汁が身に乗るし、出汁そのものも美味しいし。

島に来るまで私はこれに気づいていませんでした。だからこそ、この記事を読んだ方にはぜひ明日、魚は切り身でなく丸ごと一本もしくはアラを買ってほしい

きっといつもの煮付けより遥かに美味しい一皿が、貴方の目の前にあるはずです。

改めて、
骨ごと炊けば「煮付け」はもっと旨くなる。


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