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Episode 254 ハグしてキスして出掛けます。

お互い合意の上ですれ違う生活というのは、言い換えればロボット掃除機の充電ベースを別々に用意するという話です。
充電中はパートナーと接触しませんから、一緒に居る時間は物理的に少なくなります。
だから一緒にいる時間は、一緒にいることを楽しみたいのです。

私とパートナーの場合、少ないながらも休みが合う日は月に3回とか4回くらいはあって、でも私の通院の日とか、子どもの用事があったりとか、それぞれの予定があったりして毎回一緒に行動できるわけではありません。
仮に月に4回休みが一緒になったとして、お互いに予定が1回ずつあれば、それだけで一緒にお出かけできる日は月2回になってしまいます。
これを多いとみるか、少ないとみるかはそれぞれの事情に依るでしょうが、私たちの場合で言えばこのくらいでちょうど良いのです。
毎週出かけるほど地域のスポットにネタがあるワケでもなく、出掛ければ出費もあるワケで、そしてなによりも私たちはあまり長い時間一緒にいると、会話に詰まって気まずさが滲み出てきてしまうこともあるのです。

ほどよく間が空いていることで会話が詰まることもなく、ドライブ中には日々の日常会話でしないような「ちょっと込み入った話」も出来たりするのです。

でも…物理的に一緒にいられる時間が少ないということは、それはそれで寂しい一面もあるのです。
毎週土日がお休みのカップルなら、月に9日は一緒の時間が過ごせるわけです。
仮にそれぞれがお休みで2回ずつ予定を入れても、まだ月に5日も一緒の日があるじゃないですか!
お互いにすれ違い、ひとりでいる時間を作ることに合意していたとしても、それが私たちには必要だとしても、一緒にいられる時間が多く取れる人たちが羨ましく思うこともあるのです。
そもそも、一緒にいたいという気持ちがあってのパートナーですからね。

その寂しさを埋めるための具体的な行動が、私たち夫婦では存在していてですね。
仕事に行く前に必ず「ハグ」して「キス」して「行ってきます!」と言う…アラフィフが、だいぶ恥ずかしいですね。

私のようなASD者は「察する」とかすごく難しいですし、具体的に目に見えるモノがあることが安心に繋がるのです。
伝統的な「日本人の家族観」的な「言わない、察しろ」なんて私には無理なのです

「言う」「行動する」は、ASDの愛情表現として非常に重要だと思います。
恥ずかしがらずにストレートに口に出す。
毎日「愛してるよ」なんて言葉を口にする日本人男性は、ほとんどいないでしょうねぇ。
「SEXしよう」なんてストレートに言うヤツも少ないでしょうねぇ。
でも、その察するという日本人的な価値観に縛られていると、ASDの恋愛は愛情表現が出来ずに袋小路に追い込まれる気がします。

ASDという性格上、接触時間に制約を作るのはお互いの関係を保つために重要なことだと思います。
でも、それだけではない。
時間が短い分、明確な意思確認ができる具体的な行動が日々の生活に織り込まれていること。

すれ違うことの裏側の効果とは、気持ちを伝える日々の行動という点に現われるのではないか?
私はそんなことを思うのです。

旧ブログ アーカイブ 2019/5/26

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