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【#3】起業を考える女性へ。好きか嫌いか、ではなく、お金になるかを考えよ。

こんにちは。

ご訪問いただきましてありがとうございます。

ほっとマガジンです。

このマガジンは「自分らしい働き方を見える化」「ロールモデルに出会える」ことを目指した、女性の起業や副業を応援するマガジンです。私自身が会社員、個人事業、会社経営を経験し、様々な壁にぶち当たり、悩んだことからこのマガジンを始めました。それぞれの働き方によってメリットもあれば、デメリットもあります。しかしそれらのほとんどは経験しないと気づかないことです。ここではそれぞれのこだわりを持った働き方をしている女性を取材しご紹介しています。

どうぞゆるりとお付き合いいただけますと幸いです〜。

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3人目は、日本酒のソムリエともいわれる唎酒師として「伝統とトレンドを繋ぐ」をテーマに日本文化のPR事業を展開している株式会社5 TOKYO代表の野口万紀子さん(@5tokyo_maki)にお話をお伺いました。

ー株式会社5 TOKYOを立ち上げて3年目を迎えた万紀子さん。起業するまでの経緯を教えてください。

大学を卒業してから数年間、芸能活動をしていましたが、当初から長く続ける仕事として考えていませんでした。そんな時、アパレル関係のアルバイト経験があったのを思い出して、外資系のラグジュアリーブランドに転職。セールスプロモーションやマーチャンダイジングの仕事に就きました。芸能界とは全く違う世界で、英語がネイティブではない社員は私以外ひとりもいない環境に、大きな壁にぶち当たった気持ちになりました。

「最初から仕事が出来なくてもしょうがない」といった育成期間ありきな考え方は無く、すぐに結果を出すよう、即戦力を求められました。大変でしたが、今になって思えば、この時の経験が今の自分に大きく影響していると感じています。その後、知人の紹介で会計事務所のアシスタントプランナーとして融資コンサルに携わることになりました。芸能活動、ファッション業界、会計事務所、、、と、様々な業界で現場経験を積めたことは非常に良かったと思っています。

「嫌でなければまずはやってみる」というのが私のモットーなんです。

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当時、おもてなしや料理に興味があったため、趣味の一環で東京會舘や魚菜学園といった料理学校に通っていました。日本ではまだホームパーティーの企画にプランナーが付くスタイルが浸透していませんが、海外では割と一般的な文化なんです。野菜ソムリエ協会が展開しているパーティースタイリスト養成講座というのを受講して、お料理やお酒だけでなくコンセプトに合わせたインテリアや香りなど「五感を使った空間づくり」の勉強をしました。

前からお酒を飲むことも食べることも大好きだったのですが、日本酒が特別に好き過ぎて仕事にした、という理由ではないんです。今となっては自分の身体の一部かのように好きになってしまいましたが(笑)当時、友人が「SAKE美人」という女の子の為の日本酒キュレーションメディアを立ち上げて「まきちゃんお酒好きだったよね!記事書いてよ」と頼まれたんです。それが、日本酒業界に入った最初のきっかけです。

—好きだから起業した、のかとてっきり思っていたため、意外でした!もともと法人化したい、という気持ちはあったのですか?

実は法人化という考えを一切持っていなかったんです。

当時は特に日本酒に詳しいわけではありませんでしたが、お酒は好きでした。せっかくならSAKE美人に登録しているキュレーターの中で一番お仕事を取れるようになろう!というのを目標に利酒師の資格取得の勉強を始めました。負けず嫌いなのかもしれません(笑)

数ヶ月ほど勉強して、唎酒師の資格を取得。資格を持って記事制作を始めると様々な方からお仕事の話をいただくようになりました。その頃、知り合いの飲食店さんからの依頼で何回か日本酒イベントを主催しました。自分が思っていたよりも多くのお客様が足を運んでくださったんです。毎回100名くらいでしょうか。

今まで自分でイベントを主催するタイプでもなかったし、開催するのも勇気がいりましたが、皆が日本酒を楽しんでくれているのが本当に嬉しかったです。その頃から酒屋さんやメーカーさんなどから企画をもらったり、法人を立ち上げませんか、などのお声掛けをいただくようになりました。

これまで法人化という考えを一切持っていなかった私にとっては、びっくりするお話でした。最終的には合同会社の形ではなく自身で会社を設立することにしました。決め手となったのは、今の日本酒業界の現状を見て、これでは日本酒の消費量が上がっていかない!と強く感じたからです。

例えば酒蔵の数を見ても年々減少しており、他のお酒に比べてまだまだ業界全体が古い体質とも言える背景があります。PRを目的としたイベントも多数参加しましたが、ブースが並ぶだけの利き酒会の様なものがほとんどで、日本酒ビギナーにはあまり響かないものが多いと感じていました。

日本酒ファンは今までも一定数いたはず。むしろ日本酒を飲まなかった人達に消費してもらえる仕組みを作るべきだ、と考えました。最終的に、事業内容をまとめて専門の弁護士に相談をした結果、株式会社の形で独立することに決めました。現在、事業内容のメインはイベント企画運営、企業様・行政プロジェクトの監修、酒屋さんや酒蔵さんの販路拡大のお手伝いなどを中心に、並行して執筆業も行なっています。

ーええ、意外な展開にびっくりです。そこから今のご活動に展開していったのですか・・・?

実は「SAKE美人」を始めた頃、投稿したコラムがきっかけで日本最古のメンズファッション誌「男子専科」でのライター・編集業のお話を頂きました。そこで今でも手掛けている物書きのお仕事の基盤が出来たように思います。

こうして振り返ってみると周りからご縁を頂いたことで進んで来れたお仕事が非常に多かったのだと思います。都合のいい言い方に聞こえるかもしれませんが、その時々で、興味のあることを積み重ねた結果、自然と今の形になったとも言えるかもしれません。

絶対に起業しようとか、今の仕事をしようという強烈な目的意識というのはあまり持ち合わせていませんでした。ただ一つ言えることは、今までに経験したいくつかの実績があったからこそ今の道を選ぶことが出来て、独立という形に辿り着いたのだと思っています。そしてそれらのきっかけの多くは、外部から何らかのオファーや提案を頂いたことに応えてきた部分にあり、「嫌でなければトライして、何でもいいから何か一つ掴み取る」ということを繰り返してきた結果だったのかな、とも思います。

最近では、起業したいという若者からの相談も受けるのですが、よくお話している事は

「好きか嫌いかではなく、できるかできないか」「何がお金になるのか」をよく認識すること、です。

好きか嫌いかって実は非常にアテにならないものだと思っていて、ほとんどが情報や経験不足からきていると思うんです。実際食べ物だって、昔嫌いだったものが美味しい物を食べたり大人になったりすると好きになったりしますよね。私にとっての日本酒のように。(笑)日々経験値が上がっていけば好きなものは確実に変化します。

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ビジネスに実際に重要なのは「何ができるのか」の方であって、「好きでできること」しかトライしないのは非常に勿体無いと思います。「特別好きではなかったけどできること」の実績も重ねていくことで、やれることの幅が広がるからです。

実際にどんな需要があって自分の実績と能力のどの部分が確実に「お金」に変わるのかをよく認識する事ができれば、ビジネスとして形になると私は考えています。

最初は自分カードをたくさん増やす事。特に20代のうちは出来るだけ何でもでもトライして小さくてもいいから何か確実にできることを増やして「実績」を作ること。その方が展開しやすいと思います。

ー起業したいけど、なにから始めたらいいかわからないという人は、何からしたら良いでしょうか

起業自体はいつでも出来るし、資金がなくても会社設立は可能です。それよりも何をするために起業するのかを確立させておく方が重要だと思います。

やりたいことを見つける時、自分の身のまわりにある興味のあることの中から探すことが多いと思います。若い時は、そもそも世の中にどんな世界があってどんな風にお金を稼いでいるのか、どんな仕事があるのかあまり分かっていない状態なので、どうしても身の回りの好きな事や憧れの中から何かを見つける事が多くなりがちですよね。それは仕方のないことだし、間違いではないと思います。

好きな事でも得意な事でもいいので、まずは沢山の情報収集をすべきだと思います。専門書なら同じ内容で5冊〜10冊くらい読めば大枠は掴めてきますし、業界の詳しい経営者や友人がいれば全部会って一通り話を聞いてみたらいいと思います。ざっくりと情報の基盤ができたら、まずは何でもいいので一つでも実績を作る。それが初めの一歩でしょうか。

独立で一番大事なのは自分の頭で仕組みを作り上げる事だと思います。誰かにアドバイスをもらったら、私は一通り試してみるタイプでしたが、自分なりに確実に成果を出せる方法を確立する事。増やしたカードの中から出来ることにチャレンジしていくと、自分が思ってもいなかった場でのご縁から新たなお仕事に繋がったという体験がたくさんあるんです。


ー仕事を広げるために心がけていることは?

最近ではSNSからのお仕事案件も増えたので、Facebook、 Instagram、Twitterなどそれぞれ内容があまり被らないように使い分けて投稿しています。私の場合、昔からの人間関係からお仕事に繋がるパターンも多いですが、

正直「人脈」という言葉はあまり好きではないんです。人脈というより人徳を大事にする様には心掛けています。

人との繋がりって、たくさんの交流会や飲み会、セミナーでの名刺交換から増えるわけではありません。相手から「繋がりたい」と思われる人でないとその場限りで終わってしまうからです。

それはビジネス的な力なのか、本人のキャラクターや生き様なのか、さまざまですが、何かの折に思い出してもらえる要素がないと人との繋がりを仕事に繋げる事は難しいです。

そのために、人に会った時には仕事じゃなくても、何か記憶に残るアクションを心掛けていましたね。

「最近はこんな活動をしていて、こんな事ならお役に立てると思います!」「もし私にやらせて頂けることがあったら、お願いします」って、くどくない程度に自分の活動内容を一言添えるようにしていました。何かあった時に思い出してもえる人にならなくては、とは常々思っていたので。こういった能力は、芸能活動をしていた時、周りのモデルの友人などが当たり前の様にしていた事だったので、私も無意識に影響を受けたのかもしれません。

自分が勝負しやすいマーケットを選ぶという点も大切だと思います。例えば美容やファッション業界での女性起業家は大勢いますが、日本酒業界で起業して新しい事をやる女性はまだそれほど多くなかったんです。他にはあまりやっている人がいない事を選ぶのもやり方の一つだと思います。

ー女性ならではの、起業で気をつけたほうが良いと思うことはありますか?

これは女性にありがちかなと思うのですが、「こう見られたい」という周りからの見え方で起業するのではなく、自分にとって仕事とは一体どんなものなのかをしっかり見極める事だと思います。

もちろん売上的に数字を上げる事に全く興味がない人は起業しないと思いますが、人によっては「この作業を出来る事自体に価値を感じている」とか「お店を持つ事自体が自分にとって意味がある」とか、数字だけではない部分に価値を見出している人もいます。

“何のためにやるのか” については個々に考え方が異なる部分なのでハッキリさせておく必要があるし、日々変化する環境においても自分自身と向き合い振り返る時間は定期的に設けるようにしています。起業家になること自体が目的では無く、その結果どうしたいのか、何を得る事が目的でどこまでを目指すのか、その辺りを整理する事が重要だと思うのです。

また、女性間のコミュニケーションではあまり感じないかもしれませんが、男性が多い現場では物事を明確に伝えることを注意しています。確実にやれることが何で、いつまでに、どこまでできるか、を具体的に伝えるように気をつけています。

例えば、「◯◯になると思います〜」の様な柔らかく語尾を濁す言い方では無く、「いつまでに検討してご連絡します」「いつまでに◯◯をします」と、はっきり伝えること。時にはしっかり断ることも必要かもしれません。

ただ、何でもかんでも自分の力で対応するのでは無く、出来ない事は早めに見切りをつけて得意な人に頼んだりして、全体を上手に回していく視点を持つことも重要。

ーまきこさんにとって「働きやすさ」とは

自分にしか出来ない業務に集中できることです。起業したての時期はアレもコレも全部自分でやらなくては!と思ってしまっていました。結局自分にできることって限定的だし、ダメなところを克服しているより得意なところのパフォーマンスを上げていく事のほうが、結果的に上手く回ることが多いと気がつきました。

そしてそれを支えてくれるのが、自分とは違う能力を持った部下だと思います。現在は、立ち上げ当初から力を合わせて来た役員に助けてもらっているお陰で、自分が一番にやるべき業務に集中することができています。ビジネスパートナーに必要なのは、頭の中の考えを共有できて、自分とは異なる能力も持ちあわせていることだと思うのです。

また、女として「働きやすさ」のために意識していることは、自分が持てる分量を把握しておく事。男性の場合は多少無理をして失敗しても何とか立ち直れる部分があるかもしれませんが、女性は自分が手に抱えきれないほどのものを持つと引っくり返って起き上がるのにひと苦労してしまいます。これだけやったらこれだけ出来る、という様な自分のペース配分や分量をしっかり把握し、「小さく始めて大きく育てる」という感覚は大切にしていますね。

女性はどんな人でも必ず一度は結婚、出産というタイミングを考えるので、生き方と働き方を同じ様な土俵で考えてしまう傾向があると思います。その時々で覚悟して進んでいても状況が日々一刻変化する中で、どうしても生き方が働き方に影響してしまうんです。例え結婚して子供がいたとしても、仕事をしながらも頭の中は家族や子供や仕事以外の事を常に同時に考えながら働いています。独身であっても同じです。そうなってしまうのは女性の本能なので本当に仕方がないことだと思います。

「現実に起こっている問題」と「心に引っかかっている事」をまとめて一緒に考えてしまうと、もう問題が壮大な人生のテーマになってしまって、これで良かったのかな?自分の選択は間違っていたんじゃないかな?と分からなくなってしまうことがあると思います。

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私はまだ独身なのでいつかは結婚したいなぁと、夢見ていますが、働き方と生き方の繋がりに関しては以前よりもより柔軟に捉えるようになりました。起業もして結婚もしたいなんて欲張りだ、と親に言われたこともありました。親の世代から見たら、「女性が起業する=結婚しない」というイメージがあって心配したんだと思います。

起業したからって自分の人生の道がひとつになってしまうわけでは無く、大事なのは変化に対応できるように物事を整理して考えることです。0か100かで物事をジャッジせずに柔軟に対応する事ができれば、女性が働きやすいと思える働き方は実現できると思います。

起業は私自身にとって非常に大きなターニングポイントであり、一つの居場所を作ってくれたいい機会だったと思っています。女性ならではの柔軟さを上手に活かして、こらからもたくさんの起業家の方が活躍していって欲しいと思っています。


ーー貴重なお話、ありがとうございました!!!これからは海外展開も視野に入れて、活動の場を広げていこうと意欲的な万紀子さん。これからのご活躍も注目です!!!

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***編集後記***

起業というと、身を構えて大きなことをするイメージがありました。でも、お話を伺っていると、自分の分量にあった仕事を小さなところから始めて、丁寧に事業を展開していくことの大切さを感じました。また、万紀子さんの、『自分らしさ』と向き合う姿勢が素敵で、女性経営者ならではの魅力だな〜と感じました。すぐに真似できそうな女性起業ならではのポイントをまとめてみました。

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野口万紀子さんInstagram @5tokyo_maki
株式会社5 TOKYO  HP

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