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介護業界への支援と価値転換

介護事業者の倒産件数が過去最多という、気になるニュースを見かけました。

新型コロナウイルスの感染拡大の長期化で、介護事業者の経営に深刻なダメージがあり、感染への不安から利用を控える高齢者がいるほか、介護職員の離職に歯止めがかからず、2020年の倒産件数が過去最多になったということです(118件、東京商工リサーチ調べ)。

求人を出してもなかなか応募者が来ず、事業継続を断念して廃業に追い込まれているケースもあるようです。

離職理由としては、「新型コロナ感染の不安がある」「家族に辞めて欲しいと言われた」などの理由が多いようで、もともとコロナ禍以前から人手不足がいわれていた業界を、新型コロナがさらに追い打ちをかけた格好にみえます。


外国人人材(技能実習生)も途絶える

厚生労働省の試算では、2025年には約38万人の介護人材が不足するとされています。このような背景から国内だけでは人材がまかないきれないため、2017年に「外国人技能実習制度」の対象に「介護」が追加されました。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による入国制限で外国人技能実習生が来日できず、ただでさえ人材不足が常態化する介護業界に、コロナ禍と2重のダメージが襲っているようです。


人手不足と国民の価値観

これまでに介護業界の人手不足については多くの専門家が語ってきましたので、分析・研究は専門家に任せるとして、先日の「ほすぴタッチ」オンライン特別対談でも話し合われたように、

やはり介護業界の苦労や責任の割りに、待遇がそれに見合っていない事情は大きな要因ではないかと思います。

もちろん報酬=お金だけの問題に矮小化してはいけないとは思いますが、それはひとつの要因ではあるでしょう。

介護業界で働く方々がいくら「ケア=お世話の専門家」としても、責任感だけで燃え尽きてしまうような状況はやはり変えていく必要があると思います。

誰しもが歳をとって他人のお世話になることは想定されます。介護業界のこのような状況を放置することは業界だけの問題ではなく、国民全体の不利益であるはずです。

・介護業界を魅力ある職業のひとつとして多くの人に認知されるための社会システムの整備

・介護業界で働く人々の苦労や責任に見合った評価制度や報酬

・AI(人工知能)やIT化を推進して、人にしかできないことへの仕事の集中

など、介護業界の人材を確保・育成するための総合的な見直しは急務だと思われます。

「外国人技能実習制度」はそれはそれで活用すれば良いのでしょうが、できれば自分の親や家族はできるだけ自分の手でお世話できる環境整備や法整備はあってもよいのではないかと思います。

なによりも国民ひとりひとりが自分のこととして、介護業界に対する価値観や世論を改めて、外国人だけに頼らない自前の人材育成や、あるいはお家で介護する価値観や制度への転換といった、足元からの変革の時期にきているような――コロナ禍が背中を押したような――気がします。


少し宣伝させてください
人が人のケアに集中するためのIT化

IT化・AI化・DX化などの言葉が先行しやすい日本ですが、これらは手段であって目的化してはいけないと思います。本来は、誰かのため、人のため、社会のためのそれらであるべきです。

「ほすぴタッチ」が進める、介護・医療・ヘルスケア業界のAI化・DX化は、システムに任せることは任せて、ただでさえ人手不足の昨今、人にしかできないケアの仕事に人材を集中してもらうことです。

できるだけ公平な勤務シフトを自動ですばやく作成して、介護業界で働くみなさんの負担を少しでも軽減したい、それが「ほすぴタッチ」の願いです。