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有事に備えてエネルギーのボトルネックを解消すべし。火力発電、原発、太陽光のリスクを検証

先月、台湾有事の政策シミュレーションに参加した際、電力インフラがいかに脆弱であるかを痛感しました。

サイバー攻撃によって電力が停止すると、放送、通信、鉄道などの重要インフラが機能しなくなり、個人のスマートフォンすら使えなくなります。シミュレーションの中で感じた各電源のボトルネックを以下に示します。

火力発電の燃料をどうするか

電力供給の要である火力発電においては、LNG(液化天然ガス)の供給が最大の課題です。現在、火力発電所の発電量の半分ほどはLNGで賄われており、電力構成全体の約30%を占めています。しかし、LNGの保存は難しく、国内の在庫は約2週間分しかありません。さらに、中東からの輸入に依存しており、供給が不安定です。石炭も重要な燃料ですが、温室効果ガスの問題があるため、CCUS(Carbon Capture, Utilization, and Storage)技術による二酸化炭素の捕捉が必要です。

※CCUS技術の概要はこちらをご覧ください
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2022/html/3-5-3.html

原発で懸念されるドローン攻撃

ベースロード電源として重要な原子力発電所は、電力供給の約10%を占めています。台湾シミュレーションでは、原発へのドローン攻撃が大きな懸念となりました。爆発物を搭載したドローン攻撃を防ぐための防御システム(高出力レーザーやマイクロ波など)が必要ですが、現在の日本の対策は数が足りず、集中攻撃には対応が難しい状況です。

再生可能エネルギーのチャイナリスク

再生可能エネルギーは電力構成の約20%を占め、その中でも太陽光発電が急速にシェアを拡大しています。しかし、ソーラーパネルの制御ユニットは中国製が圧倒的に多く、日中関係に軋轢が生じた場合には遠隔で停止される可能性があります。対策として地熱発電の推進が重要です。地熱発電は純国産エネルギーであり、国内で全て調達可能です。

まとめ

日本のエネルギー政策は、これまで平時におけるコスト削減に重点を置きすぎていました。特に、2018年の北海道胆振東部地震でのブラックアウトは電力供給の脆弱性を示す象徴的な例です。有事に備えたエネルギーの強靭性を高める必要があります。火力、原発、再生可能エネルギーの各分野でのリスクと機会を再評価し、包括的なエネルギー政策を再構築することが求められます。


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