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夢がひとつ叶ったはなし

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今回は私の”夢がひとつ叶ったはなし”を書き進めていこうと思います。

さて、画像たちをみて誰が描いたかわかってしまった人は素晴らしいです。きっと私と同じ”ノーマンロックウェル”が好きな方だと思うので。

今でも夢だったんじゃないかと思う。バークシャー地方のストックブリッジに私が行くことができただなんて。


ノーマンロックウェルを好きになった日

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正直全く覚えてない。けれど、私が初めてロックウェルを知るきっかけになったのは、この”四季”という作品達だった。他に3枚ストーリーになっているそう。高校時代の親友がロックウェルの財布を使っていた。その子もロックウェルが好きで、いっとき同じ財布を使っていたこともある。多分彼女の方がロックウェルを知ったのは先。私はいつの間にかびっくりするくらいロックウェルの作品にのめり込んだ。

何が好きなのか?と聞かれると、細かく答えられるほど上手な答えには至らないけど、大体みんなも経験があるだろうから敢えて私もこう答えさせてもらおうかな。

”好きに理由はない”

いや、本当はあるのだけど、私が言う言葉だと薄っぺらすぎる気がしたので。笑

好きなものは好き、なのです。

ロックウェルはアメリカの日常を描いている画家なので、一枚一枚にストーリーがある。その背景をしるごとに、どんどん魅力に引き込まれたのだと思う。

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例えばこの絵。壮大な絵の背景に、当時のアメリカの様子が垣間見える。ただ、一頭の犬の為にみんなが必死になっている。そんなただの日常。それがロックウェルの絵の魅力なのだ。全てにストーリーがある。きっと彼なら、このなんでもない私の日常でさえもアートとして残してくれただろう。


ノーマンロックウェルの美術館に行きたい

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いつしかそう思うようになった。最初はただ漠然としていた小さな夢。実際美術館なんて東京あたりにあるだろうと思ってた。私はパソコンを持っていなかったので、当時仕事をしていた職場のパソコンをこっそり使って調べてみたら、大分県の湯布院にあるとの事。東京にないの!?と思いましたがまぁ、行くか、みたいなノリで割とあっさりしていた記憶がある。

ただ問題は休みをどう取るか。当時美容師アシスタントだった私、連休を取るのもビクビクしていた。ただ、やっぱり行きたいから正直に店長に伝えてどうにか3連休をもらった。

この旅が私のひとり旅の始まり。

湯布院は有名な温泉地だ。そんな所に当時女性一人で泊まれる宿がほとんどなかった。やっと泊まれる宿を見つけたと思ったら広い豪華な旅館。まさか一人でこんな所に泊まるまんて…。しかし行くならここしかない(もしかしたらあったかもしれないが出発も目前だったから調べなかった)と思ったから即決。飛行機と大分空港からのバスも予約した。準備万端。当日を楽しみに色々湯布院の観光地なんかも調べてみたりして。


まさかの再会

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当時のSNSってフェイスブックしかなくて、旅の一部始終をフェイスブックにアップしていた。そしたら懐かしい友人からメッセージがきて、時間があるなら会おうとなり、湯布院にきた理由がひとつ増えたのが嬉しかった。その友人は、中学の頃に病気療養で途中から登校出来なくなってしまった友人であった。大学で大分にいるとの事で投稿を見て連絡をくれたらしい。友人と落ち合いいろんな懐かしい話や、最近のこと、たくさん話した。こんなところで再会するだなんて、1ミリも思っていなかったから、会えたことが本当に嬉しかった。


日本のノーマンロックウェル美術館

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こんな所にあるのかと言う所にあった、ノーマンロックウェル湯布院美術館。館内は静かで、管理人さん一人だけがいた。挨拶を済ませたら、『どこからきたんですか?』と聞かれ『栃木県からです』と答えるとびっくりしていた。そりゃそうだよな、わざわざこれだけのために一人で飛行機に乗って、女の子一人でアクセスの悪い場所になんかこないよ。いや、くる人もいるかも。。平日で人もいないから館内を案内してくれるとの事でお願いをした。ロックウェルの話をたくさん聞いた。ここにあるものは原画ではないと、ロックウェルのアトリエは今でも残されていること…。

撮影は禁止だけど、あなたの好きな絵の前で記念撮影しませんか?と声をかけてくれた。選んだのは四季の写真。

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※完全に見た目ギャルですがギャルじゃないよ

ここに来れた嬉しさと、ロックウェルの絵画の多さに感動して泣きはらした目がちょっとやばい。笑 そしてまた夢を持った瞬間でもあった。

”アメリカに行こう

ロックウェルのアトリエに行きたい”

2012年5月22日


実際行くのは困難だった

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でも絶対いつかは行こうと6年間ずっと思っていた。仕事に追われ、国内あちこち飛ぶようになり、今の働き方でいたら一生行けない、そう感じていた。しかし、そこから逃げ出せない自分にも嫌気がさしていた。いろんなことに諦めという言葉が似合ってあたかもしれない。自分で自分を仕事という縄で縛ってしまっていた6年間。昔会社が一緒で仲の良かった友人から、働き方を変えないか?と誘われたのをきっかけに、もしかしたらアメリカに行けるかもしれないと、期待を抱くようになり、数ヶ月後、上司と揉めながらも会社を退社、フリーランスとして働くことを決意。そこからも不安との戦い。ひたすらに仕事に打ち込んだ。そして一年、他の国も旅しつつ、安定してきた頃にアメリカ行きを決意。二週間の休みを使ってアメリカを旅することにした。そこの日程にもちろん組み込んだのは、ストックブリッジ。目的はもちろんノーマンロックウェルのアトリエだ


熱意に負けましたと言われた

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自力で行くには難しいストックブリッジ。ツアーを探して申し込んだ。しかし問題が。一人では車が出せないから受け付けられない、と連絡が来た。ショックだった。どうにかして行くには…と、とにかく調べた。調べた結果車を自分で借りて運転しようと思ったのだ。国際免許を取りに行き、車もブッキングしようとした。しかし、運転したことのない土地、何かがあったら自分はちゃんと対応ができるのかと不安になり、もう一度メッセージを送った。

”このためにアメリカに行きます。どうしてもロックウェルのアトリエに行きたいです。どうにか行ける方法はないでしょうか。”

すぐに返事は返ってきた。

”わかりました。熱意に負けました。車を出します。あなただけの運転手になりましょう。”と。

嬉しくて涙が出た。夢が叶う。ロックウェルが最後の地として選んだストックブリッジへ行けるんだ。私の大好きな絵を残してくれたアトリエに行けるんだ…。


バークシャー地方、ストックブリッジ

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当日は借りている部屋からバスで20分くらいの所に迎えにきてくれた。滞在先は人の家の部屋を借りていたのでボストン郊外だったから指定されたホテルへ向かった。迎えにきてくれたのは日本人のおじさま。しばらく日本人と接していなかったからホッとした。40年ほどボストンに住んでいるらしく、すごく頼りになる優しいおじさまだった。

今日はあなたの運転手です。一日お姫様になった気持ちで過ごしてください”

当たり前だがこんなこと言われることなんてないから笑ってしまった。この日は私は1日お姫様だったらしい。笑

ストックブリッジまではボストンの中心地から高速道路で約2時間。時々サービスエリアでの休憩をしてゆっくり向かってもらった。数日ぶりに日本語で話をしていたから英語が前日よりも聞き取れなくて笑ってしまった。山に向かって行くから天気はだいぶ不安定で、時々雨は降るし、いきなり寒くなるし。スターバックスでホットのカフェモカを頼んであったまったつもりが全然寒かったな。笑


夢が叶った瞬間


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2018年5月31日

今でも、これからも絶対忘れることはないだろうな。歓喜、というよりは、懐かしい、そしてここに来ることが昔から決まっていたかのような感覚だった。

美術館の中の説明だけ聞いて、館内をこれでもかというくらい何回も回った。一番時間をかけたのは”POST"の歴代表紙が全て展示している部屋。涙が止まらなかったし、何回も何回も拭ったって溢れてくる涙に正直引いた。笑

そしてレアな絵画がひとつ。

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ロックウェルからウォルトディズニーに送ったもの

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まだまだ自分の知らないロックウェルに出会えてすごくワクワクした。季節によって出している原画が違うらしい。

対応してくれた美術館のマダムが”遠いところから来てくれてありがとう。またあなたを待ってる。”とハグをしてくれた。また、会いに来なきゃね。

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そしてアトリエが残っている場所へ。正確には、”レッドライオン”というお店の後ろにあったものを美術館の敷地にそっくりそのまま移動させたものだ。もともとアトリエがあった所は今はプールになっている。ロックウェルが最後に選んだストックブリッジ。ここで生涯を終えた彼は幸せだったのだと思わせてくれるほど綺麗な場所だった。アトリエは広くはなく、本当にただの作業場だ。でもこの場所が私に夢を見させてくれていた。何年間も。

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サプライズ

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ボストンに戻る帰りの車でもロックウェルや色々な芸術の話をした。ストックブリッジはクラシックの聖地とも言われている。そんなクラシックの聖地で誰もが憧れる世界的ステージがある。”Tanglewood”このステージに上がらせてくれた。ステージから見る客席は圧倒的で、ここで演奏する人たちは世界のクラシックのトップ。すごすぎて圧倒された。

ボストンに着く頃、家まで送ってもらおうか、中心地からゆっくり帰ろうか悩んでいたら、ボストン美術館へ連れて行ってくれた。最後のサプライズだった。

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”私が招待します。とてもいい日でした。いつかまた、会いましょう。”と。

案内してくれていた方はボストンでもすごく顔が広い方だってことがわかった。美術館を無料招待してくれた。そして、とても芸術が好きで、この日は途中から私を娘のように思ってくれていた。最初はお姫様だったのに。笑

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夢が叶うのは本当に一瞬。この瞬間のために生まれる感情を夢と呼ぶんだなぁと。

今はまた夢を見てる。それを私はいつか”ロックウェル”と呼ぶはずだ。私はいつだって彼の作品に魅了され続ける。

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