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海藤文字
2024年6月14日 21:20
あらすじ現在・冬。久しぶりに実家に帰った私(平井聡子)は、子供の頃に深い関わりのあった「空き家」が壊されたと知る。その跡地に出かけた私は、「空き家の子供」に襲われる。危ないところで近所に住む慶太に助けられるが、慶太は「捕まればよかったのに」と言うのだった……。過去・夏。十五年前、十一歳の平井聡子は、空き家の絵を描くことに夢中になっていた。クラスメートの慶太の導きで空き家に入った聡子は、「空き家の
真霜ナオ
2024年5月2日 12:19
あらすじ本編「リスナーのみんな、こんばんは。突然だけど、動画のタイトルにもあるように、今日で俺はMyTuberを引退しようと思う」 リアルタイムでの生配信。 休日とはいえ早朝であるにも関わらず、視聴者の集まりは悪くない。突然の引退というインパクトと、数時間前に告知をしていたのが良かったのだろう。 開口一番の俺の引退表明に、コメント欄が困惑や憶測でざわついているのがわかる。
2024年5月2日 19:25
あらすじ本編 僕の人生は、ごくごく平凡でありきたりなものだと思う。 清瀬蒼真という名を持ち生まれて、二十一年目の冬。 昔から、勉強も運動も平均的だった。いや、平均よりやや劣るくらいかもしれない。 人より得意と呼べることはほとんどなくて、Fランクの大学で影の薄い学生生活を送っている。 年齢だとか学歴だとか、少し上だからという理由だけで、立場以上に圧をかけてくる人間が嫌いだった
星来 香文子(ほしな かやこ)
2024年4月25日 16:06
彼の笑顔は、俺には眩しすぎた。 なんの邪心のない、屈託のない笑顔。悩み事なんて何もないような、その笑顔。 女優さんみたいで可愛いと評判の姉、優しくて料理上手な母親、医者として人々のために働く父親と祖父、祖母はこの町の婦人会の会長、曽祖父はこの小さな町長だった有力者。誰より大きくて広い屋敷に住んで、上質な服を着て、欲しいものは望めばなんでも手に入る。 同じ町に住んでいるのに、まるで違う世界
葉咲透織(はざきとおる)
2024年4月30日 20:20
十二月を師走というが、「師」を「教師」に限定すれば、四月も同じくらい慌ただしいものだと、端から見ていて思う。 一年でやらなければならないカリキュラムは決まっていて、それなのに、健康診断やら歓迎会やらで、授業時間は限られる。五月末の中間テストは、範囲が狭くなりそうだともっぱらの噂だった。 連休でほっと一息ついたのもつかの間、中学の知識を前提として、ガンガン進んでいく授業に、ちらほらと離