葉咲透織(はざきとおる)
note創作大賞2024参加中の「ごえんのお返しでございます」をまとめています。 スキやSNSでの拡散、ありがとうございます。応援よろしくお願いします。
子どもの頃に自分を助けてくれたレオンに忠誠を誓い、あれこれと世話を焼くルゥ。美形で賢い貴公子のレオンには、唯一の欠点があった。それは極度のシスコンだということ。ある日レオンは言う。「ルゥ。僕たち、付き合わない?」と。 美形策士シスコン貴公子×平凡尽くす系従者のラブコメ風ファンタジー。
kindle配信中の『このキスは返品不可』の番外編ssです。3話完結。
『速報です。午後二時、※県S市で、女性が男に襲われ、ナイフのようなもので刺されました。男は現行犯逮捕され――……』 「結婚を前提に、お付き合いしてください」 深々と頭を下げた男のつむじを、夏織はぼんやりと眺めた。 あ、二つある。なんて、どうでもいいことに気がつくのは、余裕があるからというよりは、現実味が薄いからだった。 夕暮れのビーチや、おしゃれなレストランでの告白をいいと思う女もいるし、告白なんてどこでどうされてもいいと思う女もいる。 夏織は自分のことを、後者
お疲れ様です。 アマチュア物書きの葉咲透織です。 先日開催されたコミックシティスパークにサークル参加をしてまいりました。 (本当は併催のオンリーイベントなのですが、面倒なのでスパークで通す) なんと前回サークル参加したのが、2020年2月。 さらにその前は、2015年なので、本当に久しぶりでいろいろ忘れておりました。 「そうだ、赤ブーはサークルカット、申し込み画面で文字入れて勝手に作ってくれるようになってたんだ……!」 と、2020年もあったはずの機能にびっくりしているし
残れませんでしたぁぁぁぁぁ!!!!!! あっ、取り乱しました。 こんにちは、葉咲透織です。 note創作大賞2024には二作品を応募していたのですが(ミステリー小説部門/ホラー小説部門)、どちらも残ることはできませんでした。 まァ、どちらも別の公募で落ちている(一次落ち/二次落ち)ので、一発逆転を狙っても「駄目でもともと」「あわよくば」って感じではあったんですけどね。 だから悔しくない悔しくないくやし…… 悔しいに決まってるやないかい! 過去作をそのままor改稿して投
今1000字くらい書いてたのが消えたんだが……? 絶望。 そんな前書きから失礼します、葉咲です。 皆さんはコツコツやるの得意ですか? 私は時と場合によります! 夏休みの宿題は毎日やって7月中には9割終わっていましたが、創作はコツコツやれないときもあるんじゃんね。 そんな私ですが、7月中はこちらにチャレンジしておりました。 去年は真夏の公募マラソンを走っていたので不参加でしたが、今年はなぜか暇だったので……あると思ってた公募、Webコンテストが一個もなかったんだよね。
こんばんは。葉咲透織です。 まずは創作大賞、お疲れさまでした。 フォローしている方々が、あとがきを書いていらしたので、私も真似して書いてみます。 ちなみにイベント自体は18時〆切だったようで、一足遅かった……! でもマガジンには追加していただけるそうなので、書きます。 「ごえんのお返しでございます」短編連作ホラーです。 執筆していたのは2022年の秋~で、2023年の集英社ノベル大賞では一次選考通過止まりだった作品です。 本屋バイトのレジで、 「五円のお返しでござい
毎日暑いですね。 身体がしんどい今日この頃、ぶっちゃけ頭もよく働いていないような気がしますが、月末〆切なので創作大賞の感想文、行ってみましょう~。 (と、言いつつ読了したのがちょっと前なので、覚えているだろうか……) ご紹介するのはこちら↓ 先日のnote創作会後の交流会でお声がけいただいた豆島さんのイヤミスです。 イヤミスが好きなので(読み手としても書き手としても)太字にしちゃいました。 創作会ではお手製の名刺の裏に創作大賞応募作品のQRコードが印刷されていて、 「な
ようやく自分の応募作品を全文アップできたので、創作大賞応募作品を読むことができます。 あ、葉咲透織と申します。 普段は出版社公募にチャレンジしています。 BLとライト文芸系をメインに投稿していますが、読むのはオールマイティ。 中でもミステリが好きです。 「ミステリー」じゃなくて「ミステリ」って書くようになったの、それこそ何かのミステリ読んでその影響だと思うんですけど、思い出せません。 心当たりがあったらよろしくお願いします。 さてさて、「完結したら読もう」「自作に目途が
「夏織さんはもう、他の男を愛することができないでしょう?」 彼女が死に、テレビや雑誌の自称コメンテーター、SNSの素人たちは好き勝手に彼女の人となりを語った。 文也は不特定多数との交流や情報収集目的でのSNSのアカウントを持っていないため、又聞きでしかなかったが、死者に鞭打つとはまさしくこのこととしか思えないほど、誹謗中傷されていたという。 ご丁寧に注進してきたのは、目の前で青い顔をして震えている女だった。結婚寸前、腹の中に子どもがいた恋人を亡くした男に向かって、
母に疎まれた文也は、父に溺愛された。 自分とよく似た長男、自分よりも賢い長男。末は医者か学者か、と酔った父は文也に頬ずりをし、辟易とさせられた。 ところで父は、愛の多い男であった。母との婚姻関係は継続しているものの、チャンスさえあれば、他の女とよしみを通じることに、一切の罪悪感を抱かない。 男の浮気は甲斐性で、それを許すのが女の甲斐性、いい女の証。 昭和の映画の価値観を平成に引きずった男で、彼がそれだけの地位や資産を築けていたのならば認められることもあっただ
女が泣いている。 白木の棺に縋りつき号泣している女の髪は、真っ白でほとんどが抜け落ちてしまっていて、この数日で十も二十も年を取ったように見えた。 まるでこの女自身の葬式で、彼女は自分の死に気づかずに泣き喚いている様相だったが、棺の中に横たわっているのは、まだ若い男だ。生前は長かった前髪を、納棺師はわざわざ撫でつけて、顔が見えるようにしてくれていた。 こうしてまじまじと見ると、我が弟ながらなかなかの男前である。 花に囲まれた青年を見下ろす文也を、親族に宥めら
理の目論見どおりに、彰が夏織を始末してくれた。 彼とやりとりしていたアカウントは、一週間以上前に削除してある。そして、サトルとして過ごすのも、あとわずか。百合子と最後の逢瀬だ。 好きでもなんでもない女を口説くのは、苦行であった。まあ、これからどんな相手であっても上手くやれる自信がついたのは、いいことである。 兄を守るためとはいえ、その執着が自分に向けられることに辟易した。見た目は豚なのに、蛇みたいにしつこい女。やるなら今だ。 百合子もまた、繊細さとは無縁であ
兄の「おやすみ」の声で眠り、「起きて。遅刻するよ……おはよう」と起こされる日々が、小学生の理の幸せだった。文也の優しい声をいつまでも聞いていたくて、わざとぐずぐずと起き出したものだった。 あの頃はまだ、自分が兄に抱く気持ちを、兄弟愛であると信じていた。言い聞かせていた、という方が正しいかもしれない。 血が繋がった相手に、それ以外の、またそれ以上の好意を抱くのは間違ったことだ。 世間一般に押しつけられた倫理観に、理は当時、囚われていた。 理のその考えを突き崩し
明美は仕事をこなしてくれた。さらに、何も言っていなかったのに、彼女は新居の写真を撮影して、SNSにアップしていた。思わず口笛を吹く。最高だ。どうやって女の居場所を男に伝えるか悩んでいたが、手間が省けた。 夏織は、理の差し出した手紙をビリビリに破ったそうだ。たった一言にそこまで反応するということは、黒だ。だってあの手紙には、詳しいことは何も書いていないのだから。 消さなければならない。文也の血を引いているかどうかわからないお腹の子ともども。ついでにそう、百合子も。
「ああ、はい。そうなんすよ。オレのこと、なんかやらしい目で見てきて……」 だるそうな口調で、理は母家から、固定電話を使用して市役所に苦情を入れていた。母はまだ、寝室でぐっすり眠っている。 もう一方の手では、スマートフォンを弄って、サイトから送るメールの本文を入力する。後から適当なフリーメールのアドレスで、時間をずらして送信するのだ。 百合子に乞われ、理は夏織への嫌がらせを考えて、実行していた。折り返しの電話がいるとき以外、番号は控えていないと言っていたが、念のため
連休初日に、兄は実家に帰ってきた。いてもたってもいられず、理は予定時刻の一時間も前からバス停で待っていた。 「お帰り、兄さん」 まさか待っているとは思わなかったのだろう。文也は目をぱちぱちと瞬かせていた。 「サプライズ成功だね」 ぼそりと言うと、文也は嬉しそうに微笑んだ。 「何分待ってたんだ?」 「そんなには待ってないよ」 文也は理を軽く小突いた。嘘を見破られたのが嬉しくて、理は兄の荷物を持って、先に歩き始めた。 「荷物、軽いね」 「ん? うん。だって服
――恋なんて、自分勝手でいいの。恋より愛が上なんて、誰が決めたの。 耳元で鳴る洋楽は、歌詞を理解して聞いているわけではなかった。ラブとかセックスとか、そういう単語がわずかに聞き取れるから、それがラブソングなのだとわかった。 ハスキーな女性ボーカルは、なぜだか懐かしい女性の声を思い起こさせた。十年以上前のこと、理は当時、小学生だった。 彼女の言葉は半分くらい理解不能だったが、あの頃の自分にとっては、神のお告げにも等しかった。そして今もなお、心の支えとなっている。