どこかにいる女、どこにもいる女【創作大賞感想2024】
毎日暑いですね。
身体がしんどい今日この頃、ぶっちゃけ頭もよく働いていないような気がしますが、月末〆切なので創作大賞の感想文、行ってみましょう~。
(と、言いつつ読了したのがちょっと前なので、覚えているだろうか……)
ご紹介するのはこちら↓
先日のnote創作会後の交流会でお声がけいただいた豆島さんのイヤミスです。
イヤミスが好きなので(読み手としても書き手としても)太字にしちゃいました。
創作会ではお手製の名刺の裏に創作大賞応募作品のQRコードが印刷されていて、
「なるほどこんな手が……!」
と感心しました。いつか真似したい。そんな機会あるか?
とまあ、自分の感想が入りましたけれども、QRコードから読めるうちの一作がこちらの作品です。
※わかっていると思うけれど、以下少々ネタバレしています※
本当に申し訳ない、ぶっちゃけた話をすると、第一章は「ふーん?」だったんですよね。
ミステリ好きなんだけど、私はあんまり警察モノには向いていなくてですね。
クローズドサークル! ダイイングメッセージ! 名探偵の口上!
みたいな方が読んでいて好き。
だって警察モノって、捜査が続くにつれて次から次へと新たな怪しい人物が浮上しては消え、浮上しては消えするんですもん……。
組織のしがらみとか読んでいるとイラっとすることもあるし。
(これは豆島さんの作品ではなく、これまで読んだことのある一般的な警察小説の話をしています)
なので正直、この主人公の堂森という男が好きになれないまま読み進めました。
まあ言うてこれイヤミスだしな……別に主人公の好感度が高くなくてもええんやで!
もちろんこの主人公がいいんだよ! という意見もあると思います。
個人的にはムードメイカーの後輩やあらすじにも出てきたゲイっぽい同僚が、口から先に生まれた感があって好きです。
私はおしゃべり野郎を書くのが好きなので、こういうやつを書きたい。
それが、一章終わりでガン! と頭を殴られたみたいになったんですよ。
えっ、その村の未解決事件の話と繋がるの?
どうやって? えっ。
みたいな。
二章からは一気に読み終えました。
(一章は途中でいったん止めている。こういうのは止めない方がいいんだよ)
二章を読み終えたうえで、男が女に襲われるという現在各地で起こっている事件のことを考えると、ぞっとします。
そして今、twitter(私は死んでもtwitterと呼ぶ)のおすすめタブに流れてくる、見知らぬ人のつぶやきを思い出して、この小説は決して他人事ではないのだと、現実世界では起きていなくても、ネットの世界の中では起きていることなのだと実感します。
インプレ稼ぎなのか、男と女の対立を煽る書き込みが絶えず、顔の見えない見知らぬ相手をお互いに罵倒し貶めあっている姿は醜い。
女はこれまで抑圧され続けてきたから、男に対して何を言っても、何をしてもいいと思っている人間を、もっと過激に煮詰めたらこの話の中の加害者たちになるのではないか。
SNSで過激な発言を繰り返す一部のフェミニストの人たちに限らず、政治的に右の人も左の人も、言葉が強すぎてどちらの意見も聞く気にはならないので、対立する相手のことを詰ったり罵倒したりせずに、丁寧に言葉を尽くしてくれたら、とtwitterを見ていて思います。
ラストの警察組織にまで……という驚き以上に、私の中ではリアル世界で起きていることについてあれこれぐるぐる渦巻いて、夜なかなか寝られなくなりましたよ、という話でした。
たぶんこの話に出てくる女は、みんなの隣にもいる。
もしかしたら、私自身なのかもしれない。
手放しで面白いから読んでみて! っていうには、胸の中にしこりが残る小説です。
でもそれでいい。それがいいんです。
イヤミスだもの。
こそっと宣伝。
創作大賞に参加しています。
応援期間31日までなので、読んでみて面白かったら、twitterでも「#創作大賞感想」をつけてご紹介いただけると幸いです。
(強制じゃないです)
いただいたサポートで自分の知識や感性を磨くべく、他の方のnoteを購入したり、本を読んだりいろんな体験をしたいです。食べ物には使わないことをここに宣言します。