ホテル運営会社が本気の内製化をしたきっかけとは
情報システムグループの高田です。
今回は、弊社代表の 星野佳路 が私達チームへ直々に寄せてくれたメッセージを、皆さんにご紹介したいと思います。
私の仕事
ホテルという商品にユニークさを作ることがますます難しくなってきた。どこのホテルにも快適な部屋があり、美味しいコーヒーが提供され、フレンドリーなスタッフがニコニコしている。多くのホテルで環境負荷を下げる努力をし、さまざまな活動を通してSDGsにも取り組んでいる。つまり、ホテルもコモディティ化しているのである。
「ダツコモ山ノボレ」
これは星野リゾートがホテル業界のコモディティ化の渦に巻き込まれないための活動を指した作戦名だ。私たちはいち早くコモディティ化を予測し、さまざま試行錯誤を通してこの課題に取り組んできた。その中の一つがシステムのアジャイル進化だ。
自社サイト経由の予約率を高く維持できていることもその成果の一つであるが、この程度はベースキャンプから登り始めた程度であり、ダツコモ山の山頂はまだはるか遠くだ。
歴史的に、会計にたどり着くホテル内の作業をシステム化することが進み、これがプロパティ・マネジメント・システム(PMS)として進化、今ではほとんどのホテルが何らかの汎用サービスを利用している。
それとは全く別な系統として過去20年で予約機能が劇的に変化した。旅行代理店からの送客しかなかった時代から、自社のホームページで自ら情報発信し直予約を獲得できる時代になった。その一方で楽天・じゃらん・Booking.comなど多くのオンライン・トラベル・エージェント(OTA)が市場シェアを伸ばし、そこに今、Googleが新たな形式で参入し群雄割拠となっている。その背景は世界の巨大旅行市場のさらなる拡大が継続すると予測されているからだ。ホテルとその顧客の間に金の匂いがプンプンするのである。
この状況の中で、ホテル運営会社が自らの競争力を維持するにはどうしたら良いのであろうか。
星野リゾートでは、美味しそうな匂いに惑わされず、こういう時こそブランドコンセプトに立ち返ることが必要だと考えている。つまり、私たちの場合には「旅を楽しくする」という使命をより高いレベルで果たすことだ。
予約システムでどう対抗するか、PMSでどう差別化するかということを個別領域で考えるのではなく、「どうしたら顧客の旅をもっと楽しくすることができるだろうか」ということに改めて本気で向き合うことに活路がある。
ホテルを予約して泊まるという体験は一連の連続した顧客体験なのであるが、PMSと予約機能は違う分野として別々に進化してきたという歴史的背景から、今でもこの一連の顧客体験はぶつ切り状態になっている。それぞれの機能が巨大化し、市場でパワーを持てば持つほどその連携は困難になっているようにも見える。
例えば、リピーターの方は泊まりたい部屋を指定してくるが、オンラインの予約システムではまだできない。飛行機の席でできることがリゾートホテルではできないのである。OTAで温泉旅館の部屋と食事は予約することができるが、マッサージの予約はできない。当日マッサージを受けることができるのかどうかも行って聞いてみないとわからないことが殆どだ。
予約者の目的や同伴者を個別に細かく見ると、予約されている部屋やプランが最適な内容になっていないことに気づくことが多いが、事前にアプローチしてベターな選択肢を提案することもシステムではまだできない。
東京の私の友人から、九州の界 霧島に予約して欲しいという依頼を受ける時、私はそこから丁度良い周遊の距離にある界 阿蘇を翌日の宿泊先として提案するが、システムではまだできない。もしできれば、界 霧島で顧客が食した夕食と朝食のメニューを把握して、界 阿蘇でのメニューを連続したおもてなしとして演出することができ、九州旅をより楽しくできるはずだ。
ホテル運営会社の強みは、現地のホテル運営を100%コントロールしている点であり、そこには旅を楽しくするための情報資源が大量に眠っているが、まだ活用できていないのである。
今すぐにITをやめ、PMSを排除し、OTAとの契約を解除して大昔に戻れば、これらのことはできるのであるが、膨大な人的労力がかかる。星野リゾートは、旅を楽しくする一連の体験のイノベーションに本気で取り組んでいる。
私の役割は、この計画をリードする社内のマーケティングチーム、そして開発を進める情報システムチームに、潤沢な資源を供給しながらただただ待つというじれったい仕事なのである。
いかがだったでしょうか。
我々、星野リゾートそして情報システムチームは、代表の星野が描く世界に共感して、本気で実現に取り組んでまいります。そして、ここに書かれている「潤沢な資源」とは、新規エンジニア採用枠の大幅拡大のことであり、それは星野リゾートの優先投資事項のひとつに位置付けられています。
「旅を楽しくするという使命のために」
これに熱くなれるエンジニアの方!是非、一緒に働きましょう!!!
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