たぶん小説になる予定。今書きためているところです。
あらすじ
浪人し、就活も失敗し、あとがない主人公浅霧遥香。
そんなある日、彼女に異変が襲った。
それは今流行りの異世界転生…
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2020年11月の記事一覧
Knight and Mist 一章-6 大広間1
スコッティ・プレスコットは、一言でいえばイケメンだった。
精悍な顔立ち、引き締まった身体、生真面目そうな性格。
第一印象は最高で、とても信頼できる人だと分かった。
ハルカの事情を聞き、スコッティは旅の案内人になることを快諾してくれた。
「エルフか。生きている間に会うことになるとは思ってもみなかったな。楽しみだ。よろしく、ハルカさん」
「よろしくお願いします、スコッティさん」
握手を交わ
Knight and Mist 一章-5 礼拝堂
そこは静謐さが支配する場所だった。
キャンドルが無数に灯り、ゆらゆらと光が揺れている。
外からは隔絶され、ひんやりとした空気があたりを支配する。
石造の建物特有のにおいがする。
薄明かりがステンドグラスを通じて僅かにその聖堂を照らし出す。
案内されたのは、そんなところだった。
祭壇のある場所に、真っ白な人影があった。
白い翼のようなマントを羽織り、天井を見上げている。
天井は高く薄
Knight and Mist 一章-4 砦
"テメーがこの戦場を望んで選んだんだ!"
イーディスの言葉が遥香の頭に残っていた。
戦場を望んだことなど一度もない。
だが戦場を望んだにせよ望まないにせよ、あのまま逃げるのはなんだか悔しかった。
イーディス相手に名乗る名がないことがすごく悲しかった。
それは浪人しているときにも感じたし、就活に失敗したときも思った。
提示する身分証がないこと、職業欄はその他に丸をつけなければならないこ
Knight and Mist 一章-3 夢
一面に砂漠が広がっていた。
暑くも寒くもなく、空は一面に灰色。
昼でも夜でもなく、雪も降らない。
遥香はそこに座り込み、地面に刺した羽根を覗き込んでいた。
大樹になれと一心に願って。
ほかには誰もいない。
あと1日でも生きていたい。
だから木になれと遥香は祈った。
これ以上は無理だから。
遥香は祈った。
大樹になれと。
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