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秋の星々(140字小説コンテスト第4期)応募作 part5

季節ごとの課題の文字を使ったコンテストです(春・夏・秋・冬の年4回開催)。

秋の文字 「深」
選考 ほしおさなえ(小説家)・星々事務局

「秋の星々」の応募期間は10月31日をもって終了しました!
(part1~のリンクも文頭・文末にありますので、作品の未掲載などがありましたらお知らせください)

受賞作の速報はnoteやTwitterでお伝えするほか、星々マガジンをフォローしていただくと更新のお知らせが通知されます。

優秀作(入選〜予選通過の全作品)は雑誌「星々」(年2回発行)に掲載されます。
また、年間グランプリ受賞者は「星々の新人」としてデビューし、以降、雑誌「星々」に作品が掲載されます。

雑誌「星々」既刊ご購入▼


応募作(10月28日〜30日)

投稿日時が新しいものから表示されます。

10月30日

きさらぎみやび @KisaragiMiyabi1
BEEP.→こんにちは。
BEEP.→誰かいますか。

やっぱり誰もいないのかなぁ。
探査衛星として深宇宙に送り出されてずいぶん経つけど、一向に生命の気配はないし、向かう方角を間違えたかな。
でも燃料も使い切っちゃったし、もう戻れないもんねぇ。

BEEP.→……寂しいよ。

pi.

……おや、今の音は?

たんころぶ @tannkorobu
他のモグラとの縄張り争いに負けて、土の外を歩いてる。引っ掻かれた鼻の傷は痛いし、3日前にミミズを食べたのが最後でお腹も空いてるし、丸い光が目に染みるし……
それで、僕はいつまでこうなんだろう?
なんだか疲れてきて……どこよりも深いところで、たくさん眠りたいなあって思った。

たんころぶ @tannkorobu
彼氏の部屋に置いたままだった歯ブラシとかマグカップを段ボール箱に詰める。なんだか気持ちが落ち着かなくて、深く息を吐いて、また吸う。するとこの部屋の匂いが体に入ってきて、勝手に涙が出てきた。どうなってんだよ、わたしの体はよ。

たんころぶ @tannkorobu
地球を掘っている。今日も今日とて深く掘り進めていると、目の前の土から濃い茶色の液体が出てきた。ぺろりと舐めてみると、プリンの下部(プリンの状態によっては上部ともいえる)の、あのカラメルの味がする。
もしかして地球ってプリンだったの?

Sawadamaki(サイトからの投稿)
単純な妻の事は深く理解している。ある時、「人間観察って面白いよね。仕事での後輩の行動は大体予想できて嫌になるよ」と話すと、私は?妻が聞く。「行動が単純過ぎて、考えてもつまらないよ」言ってる側から、車が来てないから渡っちゃおうと言いながら僕にぶつかってくる。君といると退屈しないな。

神崎鈴菜 @suzu_nasuzusiro
数十年振りに訪れた鍾乳洞は、以前より何倍も長い道程に感じられた。「先に見ておいで」「貴方を置いては行けませんよ」漸く辿り着いた最深部、ライトアップされ青く輝く地底湖から伸びた一本の石筍が、天井の鍾乳石と繋がる瞬間。僅かな隙間を埋める最後の雫は、エタニティリングのように輝いていた。

ゆっこ(サイトからの投稿)
宇宙ネット回線状況も随分と進んだものだ。月に基地局が建設されたのは祖父、いや、曽祖父の時代だったか。遠く離れた宇宙の果ての、地球を捨てた地球人とこうして通話出来るのだから、いい時代になったものだ。例え、地球人が地中深くの狭いシェルターの中でしか生きられなくなっているとしても…。

おかゆ @Okayuno140
「はぁ」君の深い溜め息の意味を、先回りして予想してしまう。はじめは、嫌われたくなかったから。けれど、今は面倒を回避したいだけなのかもしれない。「別れないの」と友人は簡単に言うけれど。こんなに長く付き合ってしまったから。新たな相手を見つける時間も、余裕もないもの。情に縋るしかない。

@caffe_Rin_holic
しじまが支配する真夜中は時折気持ちが沈んでしまう。そんな時は深煎りの珈琲を淹れる。たっぷりのミルクと蜂蜜を数滴。孤独や不安も全部溶かして飲み干せば冷えた心にじんわり熱が灯る。星々が囁くお喋りに耳を傾けたり、微睡む夜露の夢を覗いてみようか。朝陽が迎えに来るまで、ひそやかな夜更かし。

たつきち @TatsukichiNo3
いつの間にかできた君との間の溝。「深さは問題ない。飛び越えられるよ。見て。幅はこの程度だ」そう、一歩踏み出せば越えられる程度。「浅くても幅のある亀裂よりずっと安全だ」でも君は本当にそれを望んでいるのかい?飽きた君がこちらに背を向けた。途端、溝は幅を一気に広げ、僕も君に背を向けた。

茉亜 @hanatoko33
貴方の薬指に光る指輪を見た時からわかっていたのだ。きっとこの想いは、身を滅ぼすものになるのだろうということは。青いシャツ、節のある長い指、秋の夕焼け。甘い痛みが溶けていっぱいになったバスタブの中に深く沈んで。深く、この恋に沈んで、息ができなくなる。

もとし @motobaritone
男は婚約指輪を海に落とした。相手の女は微笑するだけ。翌朝、落とした筈の指輪が男の左手に。女は言った。『今日海に行かない?』男はまた指輪を海底に落とした。より深い場所へ。そのまた次の日も男は指輪を落とし続けたが、女は夜な夜な指輪を探し、拾い続けた。指輪指輪と狂った様に唱えながら…。

東山刹那(サイトからの投稿)
 どうしよう。どうしよう。深刻な事態が発生した! 突然のエラーに、深淵に落ちたような絶望が僕を襲う。今は深夜。助けてくれる人はいない。思考が止まる。もっと深く考えて行動すれば良かった。あぁくそ!今頃になって昨日深爪したところが痛む!

秋助 @akisuke0
相手を軽んじるほど深々と頭を下げられるし、嫌いな人にも仲良く話すことができた。心と体が一致しなくなったのはいつからだろう。悲しいときこそ笑って、平気じゃない日は大丈夫だってごまかせる。荷物は重くても足取りだけは軽かった。きっとこの生きにくさも、感情が合っていないだけだと思い込む。

すがら @_sugara__
ふらっと立ち寄った本屋に、魔導書が売っていた。値段はたったの400円なので買ってみる。しかし、いざ読もうとしても、糊でくっついているのか、開かない。悩んだ末に、カッターで切れ込みを入れてみると、思ったよりも深く刺さって、本は消えてしまった。そんなこともあるのか、と次の本を探しに。

yoyo(サイトからの投稿)
穴を掘る2人の影は長い。
どこまで深く掘ればいいのだろう。僕らの箱を探す。
あの日の夕暮れ、3人で集まり銀杏の下に笑い合い埋めた宝箱には未来が詰まっていた。
太陽は沈む。どこにも見つからない。
土を握りしめ、泣きながら2人は穴に叫ぶ。
僕らのあの日を返して。優しいあいつを返して。

cor.(サイトからの投稿)
深刻な顔をして彼が呟く。「冷蔵庫に入れておいたプリンがなくなった」そんな馬鹿な。二人しかいないこの家で神隠しみたいなことが起こるなんて。彼は言う。「あれはお風呂上がったら優ちゃんと一緒に食べようと思ってたのに」「あ、それならなくなってないわ」プリンを食べながら私は彼に振り向いた。

れん(サイトからの投稿)
バイトで金を貯めてやって来た南の島。憧れていたエメラルドグリーンの海。赤いハイビスカス。土産屋の入口に立っていた彫りの深い美しい少女。いつしか眠ってしまった白い砂浜…風に撫でられ目を覚ます。砂を落とし丘をよろよろ登ると、土産屋の入口で彫りの深い白髪の女性がお帰りと手を振っている。

すがら @_sugara__
鳥居の端をお辞儀して通る人がいる。決して長くはない参道を、さらさらと音のなる木漏れ日を楽しみながら歩いている。小さい村の山奥にあるこの神社。古ぼけた本坪鈴が、新しくなっていた。前より響いた音色と共に、深々と頭を下げる様子が微笑ましい。さあ、仕事を始めよう。もう霜月はすぐそこだ。

すがら @_sugara__
面白みが無くなってきた、と思っていた。森の入り口で女の子が、こちらを見ていた。体は透明だが、空間の歪みと視線がその子を形作っている。じっと眺めていると、その子は森の奥深くへと行ってしまった。「つまんないの。」風に乗って届いたその言葉にはっとして、私は思い切って足を踏み入れてみた。

cor.(サイトからの投稿)
昔から深紅の口紅が好きだった。芯のある、強い女性を連想させる色。母の口元はいつもその色で彩られていた。メイクが変わっても、髪色や髪型が変わっても母にはそれがとてもよく似合っていた。私もそんな女性になりたかった。そう思っていた私の手元には何本もの口紅。さあ、今日はどんな私になろう。

りみっと(サイトからの投稿)
あなたにとっては深い意味なかったのかも知れない。でも、私にとっては生まれて初めてのときめきだった。ポタージュを選んだつもりが隣のお汁粉で、自販機の前でもう一度買い直そうとしていたら「僕にちょうだい」と130円渡され、お汁粉を美味しそうに飲む彼。チョコレートもお好きですか?

マオ(サイトからの投稿)
入院室の窓から見る紅葉は私に溜息をつかせ、その度に幹から葉が揺れ落ちていく様に思える。勝手な同情をして赤く深まった木々を見据えた。外から楽しげな声を聞いたので目を遣ると、木々の下にいる親子を見つけた。幼い男の子は嬉しげに一枚のもみじを拾って母親に見せている。私は少し嬉しくなった

マオ(サイトからの投稿)
深くて大きな茶碗を使いたがる息子を見て妻が「誰に似たのかしら」と優しく微笑む。妻の視線は息子から俺の方に移り笑いかけてくるが、俺は「さあな」と誤魔化した。だが自分も大きく張った腹は前から気にしていた。居間に掛かっているカレンダーの健康診断と書かれた文字が、いつもより大きく見えた。

福田渉太(サイトからの投稿)
深く呼吸をすると、時が止まったように感じる。吸われた空気だけが動いて、終わればそれが駆け寄ってくる。すーっと、小さな窓の前で、僕は深く呼吸をした。肌寒い空気が口に入って、秋がびたりと止まった。ふーっと、呼吸を戻すと、秋が満身創痍でぶつかってきた。僕はすでに、長袖を着ていた。

マオ(サイトからの投稿)
今日に私立高校の面接を控えた私は、気もそぞろで落ち着きがなかった。身なりを
シャンと整え「大丈夫」と小さな独り言をつき、自分を鼓舞する。母の声が聞こえたので玄関へと向かったが、先に父の姿があった。背を丸めて私の履く革靴を磨いてくれていたのだ、私は何も言わない父の情深さを知った。

小鳥遊 @takanashi_25325
私の心には鋭い槍が深く刺さっていて、いつも重い槍を引きずりながら歩いていた。でもある日あなたに出逢って、槍の重さを少しずつ小さくしてくれた。気付くと私は毎日笑っていて、あなたが隣にいるだけで槍の存在を忘れてきた。たまに槍は心をチクチク刺すけれど、今は槍も私の一部分だと思えている。

小鳥遊 @takanashi_25325
学校の帰り道に穴を見つけた。僕は蛇や動物に噛まれたら嫌だな、そう思いながらそっと手を入れてみた。中には何も無いようだった。手を抜こうとしたら何かに手を掴まれた。驚いたけれど、それはとても温かく優しく、お母さんにも手を繋いでもらった事の無い、僕の心の深い部分が徐々に落ち着いてきた。

紫妃(サイトからの投稿)
「嫌なことや辛いことを忘れるお酒があったらいいのに」彼女が上司への不満をこぼしながら言い放ったセリフだ。確かに深酒をすれば記憶が途切れることはあっても、嫌なことまで記憶から消えるわけではない。そんな便利な酒があれば俺は万年二日酔い決定だ。ある意味それは究極の選択ではないだろうか。

山口絢子 @sorapoky
誰も信じてくれなかったが、人がいた。深い森の中に。叱られるたびに、逃げ込んだ。風に踊る長い髪は、タクトのように木々を揺らす。知らない旋律であったが、つられて口ずさんでいた。国も性別もわからないその人を、森の人と私は呼んだ。寂しくなると言葉にできない歌をうたう。五十年経った今でも。

真読 @setusame
深窓の令嬢なんて聞こえは良いが、要は世間知らずの箱入り娘という事だ。苦労もろくに知らない甘ったれと思われるのは胸が悪い。外に憧れもしなかったのは厳しさをちゃんと知っていたからだ。今更、夢など見させないで欲しい。甘い言葉に溶けそうで外はやはりとても怖い。

かすみ草 @jikkkkkkokkkk
ベッドのなかで君のことを考えてる。繋がらない電話、既読無視のライン。「本当に君に謝りたい。好きなことを隠したくて、君に暴言をはいたこと。君が一番必要だったときにそばにいなかったこと。君を深く傷つけてることに気づかなかったこと。本当にごめんね。君が大好きだよ。」もう手遅れなんだ。

彩葉 @sih_irodoruha
やまない雨は塩辛い。傘がざらざらする。空と海が逆になった世界。空に海がある。深いところにいなければ落ちてきてしまう魚。見上げてどのあたりが浅いのかと落ちてくる魚の場所を確認しながら推測する。魚は深く潜ろうとするが潜るほど塩分が低くなる。海の底はきっと空なのだろう。

とわ @towa_tokosie
彼は三日月の先端に腰掛けて、夜空に浮かぶ星を一粒つまむと、私に差し出して笑った。
星を口に含むと、ふわりとした甘さが口の中に広がった。
彼が差し出した手を取ると、深海にゆっくりと沈んでいくようにゆっくりと夜空に沈んでいく。
地上では、私たちのことを〈秋のひとつ星〉と呼ぶらしい。

立藤夕貴(サイトからの投稿)
風が冷めたくなり、間近に冬が迫りつつある季節。深々と時計の針は同じところを回るが、時は螺旋階段のように重ならない。だから刻々と思いも変わりゆく。貴方と過ごすうちにいつの間にか友愛という名の青い葉は茜色に染まっていた。この想いを伝えたら貴方は困るだろうか?「貴方が好きです」

桐田 聡史(サイトからの投稿)
彼は風呂の深さを測り、プールの深さを記録してコーヒーショップのカップの深さも指で測った。公園の池の深さは場所によって異なっていたからだいぶ苦労していた。大江戸線の深さは実測ではなく資料をあたったようだ。今はわたしを測っている。わたしの心の深さなんて、測りようがないのに。

とわ @towa_tokosie
紙の書籍が出版されなくなって、十七年が経った。親父から引き継いだこの本屋も、残すところあと一冊だ。
自分の書いた本が売れ残りだなんて知ったら、親父、爆笑するんだろうな。
最後のお客さんは制服を着た女の子だった。
お代を受け取り、僕は深々と頭を下げた。涙が止まるまで、下げ続けた。

とわ @towa_tokosie
月が綺麗だね。
そう言えば想いが届くかなんて、浅はかな僕は考える。
少し肌寒い学校の屋上から見る空よりむしろ、何億年もかけず、一瞬で僕の網膜に届く、生活という星々に思いを馳せる。
夜が深くなる前に、僕らは行かなくちゃいけない。
「星が綺麗だね」
彼女の瞳に映る星を見ながら、僕は言う。

Yohクモハ @YohKumoha
不安の中に薔薇が咲く。本当の薔薇じゃない。血の薔薇でもない。真っ赤な林檎を切り裂いて、一人ひとりが切り取って。無意識からの心からのあふれかえる深紅の花びらです。それがいつしか薔薇になる。砂漠の中にひっそりと。心のナイフを研ぎ澄まし、人の言説けとばして、唯一の花弁を彫ればいい。

葉山シュロ @shuro_palmiers
残業を終え東京駅から深夜バスに飛び乗る。景色が一筋の光となって流れていく。行き先はどこでも良かった。私が私でなくなる街から一刻も早く遠ざかりたかった。夜が明けたら、どこか温泉にでも浸かってお風呂上がりにビールを飲むのだ。少しだけ優しい気持ちになって、硬い座席の上で私は目を瞑った。

小野はる(サイトからの投稿)
深夜0時の家系ラーメン。明日から本気でダイエットすると意気込んでいた彼女は豪快に麺をすすっている。因みに、もう明日になってるぞ。初日からすげぇもん食ってるな。なんて言えないので、僕は隣で申し訳程度に麺をすする。「やる気あんの?」彼女は髪をくくりながら言った。それ、こっちの台詞ね。

トガシテツヤ @Togashi_Design
「快速『深海』は間もなく海に入ります。えら呼吸の準備をしてください」
アナウンスと同時に車内が海水で満たされると、向こうからウミガメが泳いできて、ペコっと会釈をした。「今日はどちらまで?」と声をかけると、「クジラさんに会いに、北の方まで」と言った。やっぱり海って繋がってるんだ。

佐和桜介(サイトからの投稿)
投げ込まれた手榴弾は階段を一段ずつゆっくりと転がっていく。
確か一番下の階には妊婦がいたような。
刹那、衝撃波と共に瓦礫が一階を埋めた。
コンクリートの山の奥深くに人は埋まり、腐敗していく。
投げ込まれた火炎瓶は子供が描いた絵を焦がす。
投げ込まれた情報に僕たちはただ嗚咽する。

佐和桜介(サイトからの投稿)
「強盗だ、金をだせ」
銃口と目が合う機会なんて中々ない。
私は恐怖で手が震える。
「おい、落ち着けよ。実は俺も初めてで緊張してんだよ。あーもう!じゃあ一旦2人で深呼吸だ」
私たちは全身を使って呼吸した。
おかしな光景に観客は大爆笑。
さあ、コント大会準決勝。リラックスしていこう。

佐和桜介(サイトからの投稿)
「コーヒーはコクが命。深ければ深いほど良いからな」
コクリと頷く娘が愛しくて仕方ない。
あれから10年経って娘も高校3年生。
受験を控えて、よく遅くまで起きている。
「コーヒー飲むか?」
コクリコクリと船を漕ぐ娘がやっぱり愛しくて仕方ない。

neko @neko_nicolson
いつも。
いつも出会いも別れもこの10月。
それは変わることなく起きていて、私にとっての区切りの月なのだろうかと漠然と思っている。
果たしてそれが本当なのかはわからないけれど、紅葉狩りのデートの約束をした彼の、またのドタキャンでこの恋の先が見え、私は深まりゆく秋の色をただ見ている。

エビマヨ(サイトからの投稿)
昔、母から貰った木箱に宝物だったカードを入れて庭に埋めた。3か月も経たずに我慢できなくなって掘り返した。カードは全部ふやけていて、ひどく後悔した。今、私は母を木箱に入れて庭に埋めようとしている。二度と掘り返すことはないだろう。だから、深く、深く、掘った。

雷田万 @light_10_10000
すう、はあ、と数度ゆっくりと深呼吸をする。心身ともに落ち着かせたところで、再び全身に力を籠める。それを幾度か繰り返し、終いにはけたたましい叫び声が響き渡った。力が抜けていくと共に、今までの痛みや苦しみは喜びへと昇華されていく。
産まれてきてくれてありがとう。これからよろしくね。

10月29日

木畑十愛(サイトからの投稿)
ゴミ出しを忘れていて、慌てて深夜に家を出る。道路沿いの集積所に行く途中、ランニング中の人とすれ違う。何となく惹かれる姿だった。
私も夜闇を思うまま走ってみたい。知らない道も突っ切って、知らない街の朝日を見に行けたなら――

夢想をゴミの隣に捨て置いて、寝床に戻る。明日の朝も早い。

木畑十愛(サイトからの投稿)
溜息を吐くと幸せが逃げるらしい。迷信を真に受ける歳でもないが、幸せの尊さと儚さも大人になるほど実感しつつある。憂鬱が重なる日々に、今日も溜息は我慢ならない。
だから吐いた分だけ息を吸う。これは深呼吸なのでノーカウントだと言い張る為に。小さな幸せを、なるべく零さず生きられるように。

木畑十愛(サイトからの投稿)
遠い国で、ミサイルが民家を直撃したと伝えるニュース。それを横目に、ジャムをたっぷりパンに塗る。零す溜息はわざとらしいほど深い。こう見えても心を痛めているのだと、誰かに言い訳しているみたいだ。
パンをコーヒーで流し込み、遅刻ギリギリに家を出る。今日もこの国で、いつも通りの朝を走る。

@AoinoHanataba
目の前が、段々暗くなる。小さい頃の私だったらきっと逃げ出しているけれど、ダイバーとなった今はそんな風に思わない。むしろ、もっと……。やがて、深海の底に辿り着く。沈没船だ。この辺にあるかな……。周辺を彷徨っていると、一個の時計を見つけた。

見つけた。沈んでなくなった、父さんの時計。

石森みさお @330_ishimori
熱波から一転、厳しい寒さがやってきて、街は文明を壊す程の深い雪に埋もれてしまった。世界の半分がそんな様子で、寒い代わりに争いの火は消え、みんな静かに身を寄せ合っている。僕は懐に猫と空腹を抱いて束の間のぬくみに微睡むけれど、この子の餌が尽きたら僕も武器を持つのかな、とふるえている。

仁部中つぎ @nibenaka_tsugi
チョコやチーズに塗られたケーキの中で、きみの作品はイチゴ以外真っ白だった。
「クリスマスだけは、僕がサンタを飾るんだ」
交代で迎えに来ていた、きみの両親を思い出す。昨年も、深夜から準備だと言っていたはずだ。今年は誰が――聞けない。
「うちは最後」
お客さんが先、ときみは真剣な目だった。

石森みさお @330_ishimori
合唱祭の伴奏役に選ばれた。悪意ある選出なのは明白だった。「伴奏止まってもうちらは団結して歌いきろーねっ」だそうだ。私を笑い者にしたいのだ。練習もハブられたまま迎えた本番、私は見事に弾ききった。ピアノ、弾けないとは言ってないよ。拍手の中、私の奏でる和音に合わせて深く頭を下げさせる。

一KOH(サイトからの投稿)
朝、私は覚醒めるとコーヒーを飲む。深煎りブラックコーヒーの確かな香りとコクのある苦みが、鼻腔と舌を刺激して脳髄に伝わる。朝のこの一杯は私にとっての覚醒剤だ。この習慣は半年前に妻から教わった。キャリアウーマンの妻は今日の夜、出張から帰ってくる。主夫の私は帰る妻の喜ぶ夕食を思案する。

秋透 清太(サイトからの投稿)
満月と旧暦盆が重なる日、竜の遣いが現れ、故人への想いを深海まで連れていく。この砂浜にはそんな噂があった。満月は雲に身を隠し、揺れる海は巨大な闇に見える。波の音を全身で感じながら、あいつに届ける言葉を探している。やがて、雲が割れ、月が顔を出し、月光に照らされた水面になにかが光った。

Yohクモハ @YohKumoha
目玉焼きにナイフを入れる。トロリとした赤い液体が流れ出す。微笑みをたやしてはならない。ここは幸せな朝の食卓。回転ドアの向こうでは愛する人が蹴り上げられている。分厚いガラスのドアは悲鳴を遮断する。世界の深層は血をながしている。知っているくせに何もできないと言う。おまえは。

明里水也 @m_iya_o
陸に憧れたあの子は行ってしまった。醜い私を置いて。深海は暗いのよ。甘い声を覚えている。溜息。揺らぐ水をかき分けてこぽりと泡がのぼっていく。あれも、水面に辿り着く前に消えてしまうだろう。わかるよ。暗くて冷たくて、だけど私たちはここで暮らすものでしょう。私たち、陸では息もできないわ。

もとし @motobaritone
次々に割れてゆく鏡の中に少女の姿はない。幼い頃に見た夢。鏡の中に入れば現実を忘れられ理想的な世界に行ける、と。だが少女は次第に気が付いた。光が当たらなければ、鏡の中は永遠に深く暗い世界である事に。『私、どこ…。』かつての自分の瞳の奥の輝きを取り戻す為、虚な目で鏡を割り続けている。

まくす(サイトからの投稿)
巨大な牙は力の象徴、凍る大地にマンモスは雄々しく吠える。だが牙は重い、大き過ぎる。なぜ、こんなに。彼は重い首を振り回す。
数千回の転生を経て今、洗面台の前。深剃り200枚刃、キャッチコピーを復唱しながら、自分の顔より大きい髭剃りを見つめ、彼は首を傾げる。過剰適応という進化の果て。

まくす(サイトからの投稿)
記憶の層を剥ぎながら、暗い縦穴を深くダイブしていく。奥底に見えてきたのは、何かに怯え刺すように僕を見つめる二歳児。「怖かったんだね。でももう大丈夫」、いつものようにそっと抱き寄せ声をかける。ペネトレーション心理療法士、それが少し変わった僕の肩書。人の心の奥底の、幼児を慰める仕事。

まくす(サイトからの投稿)
始めから戻らない旅だと知っていたが、怖れはなかった。長き日々、彼を駆り立てたものは故郷への責任感。今、海王星公転軌道を越え任務は終わる。目の前には大いなる虚空。原子力電池は息切れし、故郷との繋がりも切れた。残った短い生は彼だけのもの。探査機は内なる空を抱えて一人深宇宙に向かう。

星海玲桜 @reo_hosimi
夜空に右手首を奪われたのだと老音楽家は訴える。余りにも深く美しい夜空だったので、竪琴の演奏を止して右手を伸ばした。夜空にはそれが不遜に映ったのか。気づけば手首の先が消えていた。痛みもなく血も出なかった。だからこそ、今でもこれは悪い夢の続きではないのかと考えてしまうのだという。

明里水也 @m_iya_o
夜の深いところには、かみさまがいるんだって。屈託なく笑う少女が言った。かみさまなら、お願いを叶えてくれるかしら。鈴を鳴らすような声は軽やかで、けれど私は知っている。彼女の言葉が切実なことを。白い指を重ねた少女が、食われ続けている自由をあげたい。けれど私は、私では神様にはなれない。

柊鳩子 @yorunohituzi
深く息を吸い込んで、目を閉じた。
ゆっくりと潜っていく。
探し物のありかはわかっている。
後は、解放するだけだ。それもわかってる。わかってるのだ。
でも、苦しくなって目が覚めた。
それは、声にも涙にもならない、昔気持ちだった何か。奥深くにしまいこみすぎて、もう手が届かない。

tarou(サイトからの投稿)
「深〇〇が旅行に行けなくなりますように。」
自分の名前が書かれた落書きを消す。社内で見つけた同じ落書きは50を越えた。旅行慣れした言葉にムカついて、派遣社員が辞めるまで旅行のお菓子外しを続けた。彼女が辞めてから旅行に行けない。全て消すまで旅行に行けないのだろうか?ゾッとした。

仁部中つぎ @nibenaka_tsugi
きみをあの街に置いてきて、ひと月経つ。寒がりのきみがこの猫に生まれ変わったのなら、足が冷えなくていいかもね。きみのことは忘れたいけれど、朝起きたときに布団が温かいから、このまま四十九日も一緒だと思う。
預かっていた深緑色のカーディガン、この子のお気に入りなんだ。また後で返すね。

はんほん(サイトからの投稿)
実家で、中学生の時に使っていた地図帳を見つけた。ページをめくっていたら、ノートの切れ端がはさまっていた。深枝君に逢いに行く、と書かれていた。深枝って誰だろう。考えつつ僕は、部屋の窓をあけて家の前を何気なく見た瞬間に固まった。そこに停まっていた車には深枝運送と書かれていたからだ。

福永 諒 @fkngryo
彼女は僕が淹れた温かいコーヒーを静かに飲み、「ありがとう、この深みが好きなの」とささやいた。
 だから僕は深海へ。圧死・酸欠死なんのその、マリアナ海溝の底まで潜水し、水を汲んだ。
 深呼吸。深煎りのモカでドリップ。さあ、この湯気が昇るコーヒーは彼女の心まで温め得るだろうか?

鈴木林 @bellwoodFiU
深夜営業のみのファミレスには家族が集まった。一人暮らしの父、ひとつところにいない母、身長2メートルの娘、煙草を食べる息子、漢字を編み出す犬。フライドポテトを掛け金にしてトランプで遊ぶ。朝になるとドリンクバーが調子を崩し薄い炭酸を吐き出すので、皆はしぶしぶ個別会計しそれぞれ帰った。

10月28日

千葉紫月(サイトからの投稿)
深層学習を重ねたAIが人類に下した結論は、猫を飼うことだった。既に人類は社会運営をAIに委ねていたので、その決定に意義を唱える者は居なかった。世界は平和になった。戦争はなくなり、自殺者は減った。猫アレルギーの人間は随分前にAIの決定で処分されていたので、みんなが幸せだった。

千葉紫月(サイトからの投稿)
深夜営業している喫茶店が好きだ。居酒屋のように騒がしくなく、バーのように気取っておらず、漫画喫茶よりは孤独じゃない。どうしても眠れない夜、僕はここに来る。珈琲を飲みながら本を読むことで夜の闇から逃れるのだ。

千葉紫月(サイトからの投稿)
ダンジョンの深奥に宝が眠っている。その噂を聞きつけ、俺たちパーティーはいち早くダンジョンに乗り込んだ。手強いモンスター達を倒し、最下層に辿り着くと『ここまで来た仲間こそが一番の宝だ』と刻まれた石碑が置いてあった。冒険の経費が払えずパーティーは解散となった。

黒星(サイトからの投稿)
「ねぇ、どれが一番美味しいと思う?」と僕が聞く。友だちは、「え~?」とか「おぉ!」とか「エビかな?」などと勝手なことを言っている。でも、ボクはやっぱり「ビー」が一番だと思うんだ。口の針を深く挿して思いっきり吸う「B型の血液」が一番美味しいと思うんだ。と蚊が集まって言いましたとさ。

瀬都 @setoka_kazahana
「冬はきらい?」と君が聞く。出会ってから半年、秋も終盤、私が寒いのが苦手って気づいたんだね。隣に座る君は、深煎りの缶コーヒーを両手で握って「あったかい」と笑った。私はココアを飲み干して思い切り君へ笑い返す。冬がきらい?そんなことない。だって、どんな季節の君だって見てみたいから。

黒星(サイトからの投稿)
「喜べ、出世だ。将軍様のお毒見役に選ばれた!」そう言って亭主が帰ってきた。これでお給金も上がり、暮らしも楽になるぞと言う。まぁ、おめでとうございますと妻は返すが、その内心は深沈たる気持ちでこう思っていた。(あなたに毒見は無理よ。だって、もう三年も盛っているのに気づかないんだから)

黒星(サイトからの投稿)
家族ぐるみで付き合っていた親友夫婦が不慮の事故で亡くなった。深い悲しみに包まれた私たち夫婦は残されたその子供を引き取り、一歳違いの自分たちの子と分け隔てなく育ててきた。二人はすくすくと成長し、近頃は顔までよく似てきた。それにしてもよく似ている。しかし、何故か妻はこの件に触れない。

瀬都 @setoka_kazahana
自ら終わりを考える日々に、色づいた落ち葉の絨毯を歩いた。夏は終わり秋は深まる。ひんやりと頬を撫でる風の心地よさに目を閉じて、流れゆく季節を想った。もう一度、白い吐息を零すあの季節を見てみたい。いつか訪れる冬へ想いを託して、私は諦めかけていた明日へと足を踏み出す。

穴ゃ~次郎(サイトからの投稿)
清貧と旧教の相性は深い。二世も大変そうだが、こちとら田舎で幾世代の浅い外れ者。愚俗を僻むしかなかった祖母が、ようやくはなたれ、泥団子を嗜む澄んだ暁。温くした牛乳を含み転がしながら、今度は私がホットケーキに蜜をかけて持って行く。約束は過ぎ越し、今、ここをパライソにしよう。

猫本コウヨ(サイトからの投稿)
生ぬるい風が吹く午前2時。深々と闇が続く街路樹を、卸したての赤いピンヒールを鳴り響かせ、淡々と歩く。「夢ならばどれほどよかったでしょう~」夢中になったドラマの主題歌を何気なく口ずさむ。夢ならば、どれだけ良かったか。愛を誓ったままいなくなった男が、新郎席で幸せそうに笑っていたから。

明里水也 @m_iya_o
月の光みたいな髪を追って駆け出した。わたしは深い青色の髪。あの子にはなれないけれど、置いていってほしくない。フリルのスカートを翻して走る。ぴかぴか光る小石を蹴って、あの子に会うために。ねぇアリス。頬を着る風は冷たいけれど、わたしたちは一緒にいられるはずだから。振り返ってほしいの。

カウントS @WPe1FD8s4evFKzr
催し物があるショッピングモールへいった。モール内を歩くと、そこの棚を整理している店員さんの顔をみた。特徴的な目をしたかつての高校のクラスメートがいたので声をかけた。しばらく、話をして他のクラスメートのその後の人生を聞くことができた。あれから二十年、深く人生を考えさせられた。

山田実和子(サイトからの投稿)
百円玉が落ちている。交番に届けたいが、このゴミのような者を持って交番へは行けないから諦めよう。僕はそう考え、重い者を担ぎ山に向かった。深い穴を掘り、ゴミとなった人間を穴に落とし、土を被せ、元に戻した。「ゴミ捨て完了」力仕事をしたため疲れた。先ほどの百円玉でビールでも買って帰ろう。

伊古野わらび @ico_0712
「この穴はどこまで続いているんですか?」と尋ねると「向こう側まで」と端的な答えが返ってきた。
「それは深いですね」と頷くと、相手はガガガっと豪快に笑った。
「そりゃあ深いですわ。何せ『地表』までですから。わたしらじゃ冷えて固まって岩石になるほどですよ」
僕らは怖や怖やと笑い合った。

伊古野わらび @ico_0712
光のない深海に行くのだから不要だろうと、まずは目を奪われた。次に泳ぐには邪魔だろうと服を剥ぎ取られ、声は役に立つまいと最後に喉を掻き切られた。
そうして海に投げ込まれた私は初めて安堵した。やっと、やっと戻ってこられたのだ。私の故郷へ。ヒトの殻を脱ぎ捨てねば戻れなかったこの海へと。

山田実和子(サイトからの投稿)
教室は五月蝿いから、図書室へ逃げた。『友達が多い人の特徴』という本が目に入ったから、読んでみた。私はその本に、自分の本性を暴かれた気がして、イライラした。本に対して見返してやるという気持ちで教室へ戻った。廊下を歩きながら、教室が五月蝿いのではなく、自分が嫉妬深い性格だと理解した。

想田翠 @shitatamerusoda
深夜テンションで綴ったラブレターほど恥ずかしい物はこの世にない。朝読み返すと破り捨てたくなる。「興味深々」という誤字も発見。でも、言い得て妙かも。「君のことを深く深く知りたい」内なる願望を表しているようで……。妻が黄色く変色した封筒を差し出す。この世で一番恥ずかしい物と再会した。

野田莉帆 @nodariho
どうしようもなく寂しい夜は、ひとりきりでお酒を呑む。両手で持った杯を、ゆっくり傾ける。シャープな香りを含む、まろやかな味わいが深い。渦巻く想いを丸めて、沈ませるような甘みがある。だからこそ、素直に泣ける。こうして、ずっと泣いていたい。夜明けなんて来なくていいのに。空が白み始める。

@maki_text
深い森を歩いていると、さっき出会った僕とふたたび鉢合わせた。まだ、僕の正体を知らされてはいないようだ。森を抜けたところにある湖があまりに大きく、それを渡る方法もなくてやむなく戻ってきたのだという。僕は僕に、目測と渡り方のヒントを与えた。僕は目を輝かせ、また湖へと引き返していった。

比坂(サイトからの投稿)
「深刻な顔」って笑った君に僕はまた泣けてきちゃって、「他人の癖に泣きすぎ」って言われてもだって僕はずっと君が好きだったんだ。「私これから彼を永遠に見守ってくんだじゃあね」って君はすうっと消えて、僕の目には見えなくなった。恋人になれなかった僕は君の亡霊と生きてくことも許されない。

ヒトリデカノン(サイトからの投稿)
近しい人が亡くなった。この悲しみは言葉にできるものでもなくて、ふとした時に襲ってくる。思い出して泣きそうになったり。絶対にもっといろいろやりたかったに違いない人だったから、私は深い悲しみの中で、どう生きてももう見てもらえないんだなって、そういうことなんだなって。

ヒトリデカノン(サイトからの投稿)
帰ってきたら食べる予定だったおかずの数々が冷蔵庫の中にあった。一つ一つ取り出して捨てた。昼間なのに深夜のように静かな部屋。もう誰も帰ってくることのない部屋。私とは正反対の人。この部屋に一人で暮らす毎日を一日でもにぎやかにしてあげればよかったと後悔している。

193(サイトからの投稿)
静寂が怖くてTVをつける。心の奥深くの海の荒波に思考の舟が今にも沈んで溺れそうだ。もういいやとコードを手繰り寄せようとした時。拙い演奏で叫ぶように歌う地上波初登場のバンドの泥臭い音楽にボロボロと涙が零れた。もう一度だけこの人達の曲を聴きたい…という願望が私を地上へとすくい上げた。

ちぃひろ @chi_hirobunko
深夜2時。突然、膝小僧に痛みを感じて目が覚めた。寝返りを打った際に、傷口を擦り付けてしまったらしい。
少女は思わず、ベッドの中でそっと独り
、微笑んだ。転んでしまったのは、再び走り出せたから。私はまだ頑張れる。
そうしてそのまま、また幸せな夢の中に落っこちていった。

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