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いつの未来も

「あのときに戻る事が出来たらな」

後悔は本当に嫌なものだ。
チクチクと自分を痛めつける塊がしばらく心の中に居座る。


「タイムマシーンがあれば…」


いつか科学が大きく進歩して、後悔を取り戻せるような時代が来ればいい。
そう願いながら、今を生きてる人もいるはず。

僕だって「あの分野の勉強しとけばよかった」とか「なんでもっと早く気づかなかったんだろう」とか後悔してしまうことも多い。

タイムマシーンができれば、こんな思いをせずに済むのに。



科学が発展して、できることが増えた。

僕の場合、思いついたことをすぐにメモしたい性分だ。
ただ、出先で浮かんだアイディアをいちいちノートにメモするのは億劫。
だから家に着くまで、頭の片隅で温めておくことも多かった。

そんなときスマホがあると途端に手軽になる。
ポケットから取り出してパッとメモを取ることができるし、場所を選ばない。

まるで通販の宣伝のように、痒い所に手が届いた気分だ。

僕は便利を手に入れた。
だけど、それによって失ったものがあるとしたら何だろう。

もしかしたら、記憶力が低下しているのだろうか。
ふとした思い付きを大切にしていた緊張感は、案外役立っていたのかもしれない。

それに漢字が書けなくなっている。
これは間違いない。

他にも色んな影響があるはず。
顕著に表れないだけで、細胞レベルでは水面下で攻防が行われている可能性だってある。

短期的に見れば嬉しいことでも、長期的には不幸な事は世の中に往々にしてあるから。


そんなことを考えた時、タイムマシーンへの羨望が徐々に形を変えていった。

もし、タイムマシーンを手に入れたとしたらどうなるだろうか。
きっと『リセットの人生』が幕を開ける。

気に入らないことに見舞われた途端『今の人生』を投げ捨てて、もっと輝いてるはずの人生を求めるかもしれない。
原因を環境に求め、自分には向けない。

なんか、頑張らなくなりそう。

すぐにじゃなくても、ふとした瞬間、"大切な何か"がスッと抜け落ちてしまうかもしれない。

…やっぱ、今のままでいいや。



抽選のガラガラから出てくる玉の色にドキドキした。
友達に年賀状が届くワクワクも体験した。
紙の教科書を持って学校に行って大変だった。

そうやって、懐かしむ時代が来るかもしれない。

道路には無人のバスが走る。
1時間前に頼んだ商品が宅配ドローンによって届けられる。

いつの日か、周囲の状況はガラッと変わってしまうだろう。

過ごした環境が違えば、新しい価値観が生まれる。
それはしょうがない。

だけどいつになっても、どんな世代とも共有できる感覚はあってほしい。


挨拶を忘れずに。
思いやりをもって。
”好き”を大事に。
…人生、上手くいかないこともある。


ITに満ち溢れた世界には、ちっぽけな感覚かもしれない。
だけど、大切なもの。

いつの未来にも、あったらいいな。


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