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小さなことからコツコツと(西川きよし「私の履歴書」#20より)

今月は、日本経済新聞を楽しみにしている。

漫才界の「師匠」、西川きよしさんが「私の履歴書」に寄稿しているからだ。10/18(火)の回で参院選出馬の経緯が書かれ、3日後の今日は、法務委員として実務に励む様子が記されている。

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本題に入る前に、「私の履歴書」というコンテンツは、読み物としての楽しさのみ享受するようにしている。

名うての経営者を中心に毎月寄稿されていおり、中には「こんなことがあったのか!」と驚く史実(のようなもの)も記載されている。そこに明らかな嘘はないだろうが、誇張のにおいを感じることはある。ビッグネームゆえの「傲慢さ」は編集者によって抑えられているものの、彼らの中で記憶が改変され、語られている可能性はゼロではない。

記者が取材によって編んだ文章と、本人が記した文章は、性質が全く異なるもの。気を抜くと、経営者の胆力にのみ込まれてしまうけれど、その辺りの距離感は適切に保つのがベターだ

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参議院議員1期目の西川さん、もともと無所属で立候補・当選したこともあり、政治家とのコネクションは全くなかった。

だからこそ、法案のひとつひとつを吟味しながら、判断や意見表明につなげなければならなかったらしい。なので不明点は官僚に聞きに行くのだが、官僚も日々忙しいわけで。政治の趨勢に影響力が極めて小さい、タレント出身の西川さんのために時間を割きたい人はいなかったそうだ。(そりゃ、そうですね)

それでも本気であるという姿勢を見せながら、徐々に官僚の心を開いていったというエピソードが書かれていた。

その成果として、法案成立を実現させたものがあるという。

辛抱強く訴えて実現させたひとつに年金支給日の変更がある。おじいさん、おばあさんは孫にはいい顔をしたいもの。小遣いをあげたり、食事に連れ出したり。その孫が訪ねてくるのはだいたい週末というのが通り相場だ。ところが年金支給日が週明けだと、手持ち資金が不足しがちで、いい顔ができにくい。せめて週末に前倒しで振り込んでもらえないか。そういう声を耳にしていた。

(日本経済新聞「私の履歴書:西川きよし(20)「厚生委員」より引用)

週明けでなく、週末に振り込むとて、受給額は変わらない。「そんなに問題なの?」と思えなくもないのだが、高齢者にヒアリングすることで、そういった要望が多いことに気付けたのだろう。

聞く力、の実践であり、聞いたからこそのリアルである。

劇場型政治、劇場型ポピュリズムが、社会を席巻している。「マイナンバーカードと健康保険証を紐づけます」とぶち上げることは、確かに国全体の効率を考えると良策なのだろう。日本のデジタル化が遅れていることは、IT業界の自分だって日頃より歯噛みしているし、電子国家として知られるエストニアの政策に羨望の眼差しをつい送ってしまう。

大き(そう)な仕事をすると、「あの政治家はすごい!」という評判にもつながる。マスコミにも大々的に報じられ、注目を集める。そんな小手先の手法が一部で賞賛されているのを、苦々しく感じてしまう。

西川さんのように「年金受給日を変更する」という法案は、些細なものに感じる。新聞にも載るか載らないか、という感じで、年金受給者以外には知られずに終わってしまうだろう。

要するに、ウケない

だが、聞く力を発揮して、たとえ少数だとしても喜んでもらえる状況を作ること。その積み重ねこそが、みんなの笑顔につながっていくはずだ。

小さなことからコツコツと。

西川さんの「ギャグ」だと認識していたけれど、その背景には、政治家・西川きよしの信念が込められている。

師匠、ほんとうに人生は、山あり谷ありですね。僕もコツコツと精進します。

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