おもろい高校がないように、おもろいスナックもない
2011年に芸能界を引退した島田紳助さんは、とことん「発信」する側の人間だった。
お笑い芸人やテレビ番組のMCを担う他に、サイドビジネスに精を出していたことは有名だ。「お金儲けに敏い人」と書くと誤解を招きそうだけど、自らのアイデアを、漫才なり話芸なり、商売の形なりに「発信」するのが好きだったのだろう。
2007年に刊行された紳助さんの著書『ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する』は、彼の経営哲学が余すところなく記されている。一般的なビジネス書と一線を画すのは、プロとして「面白さ」を突き詰めた紳助さんだからこその説得力を宿している点だ。
──
僕が好きなのは、紳助さんの「おもろい」に関する考え方だ。
この本が刊行された2007年は、僕がちょうど社会人になったときだ。
仕事で悩むことが多かった僕が学んだのは、『プロならば、『面白い』は自分自身で作らなければならない」という矜持だ。
それ以来、極上のエンターテイメント施設に足を運んでも、素晴らしい映画を観ても、どこか他人事のような気持ちを抱くようになった。より正確に言うならば、「この『面白い』を認めたくない」という嫉妬にも似た感情である。おれなら、もっと面白いものを生み出せるはずだと、仕事をする上での原動力になった。
おもろい高校はないし、おもろいスナックもない。
同じように、プロが心の底からおもろいと感じるエンタメなんてないはずだ。プロならば、自分で「おもろい」を生み出さなければいけないのだから。
年度末に、久しぶりに本書を再読できて良かった。世間的には新年度、紳助さんの矜持を頭の片隅に留めながら、また明日から「おもろい」仕事に打ち込んでいきたい。
#読書
#読書日記
#読書記録
#読書感想文
#商売
#ビジネス
#お笑い
#お笑い芸人
#ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する
#島田紳助 (著者)
#幻冬舎新書
この記事が参加している募集
記事をお読みいただき、ありがとうございます。 サポートいただくのも嬉しいですが、noteを感想付きでシェアいただけるのも感激してしまいます。