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相手にわたしの愛は通じているのか

考えたくないのは、猫の奈々が居なくなること

奈々が居なくなると
どんな慰めも聞こえなくなるほど
自分が崩壊するのが、目に見えている
きっと喪失感が愛で、執着も愛


時々、考えるのは
相手に、わたしの愛は通じているのか

喜怒哀楽が漏れ出す、ひび割れたカップ
両手で抑えても、中身は滲み出る
人間でたとえると、かまってちゃんの状態

セロファンテープを貼っての処置と同じく
言葉をかける、物を与える
まだ漏れるようなら、捨てられてしまう
かまってちゃんが、重くなるように

カップの水を捨て、乾かし
パテを刷り込み、ヤスリを掛ける
カップに似た色の塗料を施しても
完全な原型には戻らない

手を加えた側は、精一杯の手当をする
しかし、これじゃないとカップは不満を言う
ここまで来ると、愛と暴力は紙一重

不満を聞いてしまった側と言った側
どちらも感じるのは「愛に裏切られた」
愛か憎しみか判らず、とにかく苦しい

他人の感情や心を、正確に理解できず
愛されているかどうかも、正確に分からない
愛されている実感がないと
きちんと物事を捉えることができない

どちらも、愛のない状態を経験し
裏切られた者になり
愛のない状態の悲惨さを自覚して
愛を語る、説得力だけは増していく


わたしが語る愛は、あまりに薄い
「誰かを愛するのは大事なこと」と主張しても
人の気持ちに刺さらないのは
他人から愛されていないと
見做されているからだと思う

わたしの文章が語る「愛するのは大事」とは
他人には「わたしをもっと愛しなさい」という
意味に捉えられているように感じることがある

たまには「愛されている」という幻想に酔いたい

愛されている状態は、どんな風景が見えるのか
新緑は何色に見えるのか