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身に覚えがないこと

猫の奈々が叱られた

夜、静かな部屋でわたしと2人きり
奈々はわたしの足元で姿勢を崩して座り
眼は目的もなく壁を見つめて

わたしは端末で調べもの
ニュースを一読し、分からない部分を深掘りする
うちの夜なぞ、こんな感じ

遠くからよそ様の猫が鳴いている
この猫は飼い猫で、夜になると徘徊し
肥えた体躯は奈々の約1.2倍
首輪もしている立派な白ネコ

もう、白ネコが鳴くのは慣れて
鳴き声だけ耳はキャッチし、窓から見るまでもなく
「また出してる」
批判的な想いがある頃

白ネコが別ねことケンカを始めた
別ねこは、どこの子か分からない
「よく猫を外に出せるな…」
カーテン越しから外を眺める
ネコ達の声がする方へ顔を向けた途端

隣家が窓を開け
「奈々ちゃん、お家に帰りなさい」

隣家はうちの奈々が
白ネコとケンカしたのだと勘違いし
奈々の名前を呼ぶ
よく耳を澄ませても、やっぱり奈々と言っている

「なっちゃん、お家にいるのにね」
身に覚えのない事で叱られる奈々を不憫に思い
コタツの中へ入れて温めた

…でも、うちのイヌの名前は「なな」ちゃん
もしかして、わたしの周りは「ナナ」だらけかも