見出し画像

雑記:可愛いや綺麗で耳目を洗う

朧月夜を口ずさむ
しかし、田舎出身ながら菜の花畑を見たことがない
市営農園の隅で束になって
廃棄処分を待つ、黄色の花々しか

春特有の霞がかる月を
昔は「春だから」
それ以上を考えず、精々考えても『枕草子』まで
ぼやけた月から、日の出前へバトンが渡される

四季のどの月を見ても
わたしは自分がウサギになった気分で眺める

心は自由でいい

可愛いや綺麗を見て、感じて、集めていく
朧月もぼやけた光がムーンストーンの抑えた光に
なんとなく被って
心のコレクションへ仕舞っておく

朧月で感じたのは、感性を採掘する場所も
人それぞれに違うこと
解像度だけは共通している

都会の中で、洗練されたものから得る人
都会の中で、自然美から得る人
田舎の中で、人工的なものを探して得る人
田舎の中で、そこにある物事から得る人

知識も大切だけど、五感に触れたものも尊くて

そう、こんな話を笑われるかもしれないが
朧月の響きで、おぼろ昆布を想起する

おぼろ昆布とお醤油の吸い物も好きだが
葉が柔らかく甘さが絶妙な春キャベツを
おぼろ昆布とごま油で和えると幾らでも食べられる

野菜が好物のわたしがウサギになる時間
焼肉屋で食べる『うまうまキャベツ』も
キャベツがたくさん食べられる

畑の隅に咲く菜の花も
キャベツから生えていた
キャベツは形を変えても美がある
おほろ昆布に覆われた月みたいに

可愛いや綺麗で耳目を洗う
畑の隅で咲く、菜の花が澄んだ香りをさせる

#シロクマ文芸部
#小牧幸助さん

この記事が参加している募集

振り返りnote