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嫌われたくないを捨てた友達

友達は短いGWに薔薇とペットの水彩画を描いた
「5日はこどもの日でしょ」
そうだっけ? 思わずカレンダーを見上げた
5日はペットにお祝いするという

子どもが居ないと、ペットは子ども同然

白紙の画用紙から早回しで絵が完成してゆく様は
ASMR動画を聴いているような
髪を撫でられる感覚の、気持ちよさがある

高校時代に見た、友達の絵から年数が過ぎ
だけど画力に衰えがない
日々描いて、センスを磨くってこういうことかな

「秀でたものがあるっていいね」
絵が描けて、文章も書ける
昔から何をやらせても、頭ひとつ抜けていた

「秀でてはないけど、好きな事があるっていいよ」
…だろうね
携帯の向こうの声は、いつも笑っていて
本人も楽しいと言う

都内に積雪があったときは、雪だるまを作り
ひな祭りは、桃の生花に囲まれた『記念写真』
取材で国内を飛んでいた2月は
各地の話を面白おかしく伝えてくれた

友達がADHDと診断された日を思い出した

「薬価、高いからさ〜自立支援を受けるわ」
声が震えて、鼻水をすする音がした

人と違うことは、差別されること
周りに疎まれながら生きること

「嫌いな相手には、はっきり態度で示しましょう」
自己啓発本には書いてある
友達は編集者で、それを知っていた

「人から嫌われても構わないよ
私を好きになってくれる人を探すから
自分らしく生きるって
他人の目に囚われてるヒマはないやん?」

あのときは、精一杯の抵抗だったのかもしれない

だけど、ADHDの診断を受けてからの方が
友達は充実している

わたしには、何が「一般」なのか分からない
ただ「普通」にあぐらをかく人よりは
友達は魅力的な生き方をしているように思う