建前だけの優しさしか
たまに優しいと褒められる
「そうかな?優しくなりたいけど
優しくはないぞ、わたし」
褒めてくれた人には言わないけど
わたしの上澄を、優しいと感じてくれたなら
本当に優しくしたんだろうし
労力や時間をかけても、冷たいと感じるなら
本当に冷たかったんだろう
基本、人様とわたしは違う人間
後から
「そう思ってくれたなら嬉しい」思い直す
優しさは値踏みの対象で
失望という形で他人の気持ちを低く評価するのが
人の有りがちな行動
自分ができやしないことを他人に求める
優しいってなんだろうな、課題であって
人智に及ばない壁にぶち当たると無力さを覚える
その人の悲しみや苦しみの原因は分かるのだが
わたしは神や仏ではなく
苦悩しながら唇を噛み締めるしかなくて
過去、わたしは人が死んだら最初に来る場所で働き
様々な死を見てきて、途方に暮れたご家族と対面し
かける言葉が見つからない経験を数多にしてきた
そもそも、人と人とは物差しが違う
どう優しさを擦り合わせていこうか
優しく見てもらいたくて
心にもない優しさは排出しやすいが
人は欺瞞を見抜く
頭の良い人達は、ご家族にどんな言葉をかけるのか
わたしを責めずに教えてほしい
淡々と業務を進めながら人間にはどうにもならない
そしてわたしにはかける言葉すら見当たらない
無力さを抱えて生きていた
心苦しさは「優しいとはなんだ」を
今もわたしに問いかける