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小説: ペトリコールの共鳴 ㉓

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第二十三話 喧騒はまだ終わらない ②


ユミナというSNSネームからのDMは、
俺に話を理解してほしいと書いてある。
本当にそれだけで終わるのだろうか。また騙されやしないか。



はじめまして、こんにちは。
突然のDMをお許しください。

終わったことを蒸し返すようで恐縮ですが、
あなたは愛羅の被害者ではありませんか?
私は被害者の一人で警察に事情聴取されました。
検察官の方へも私は積極的に話をして、
裁判の行方を観察します。

私は愛羅からSNSをブロックされて、別のアカウントから愛羅を見張っていました。
以前、あなたと愛羅が頻繁に絡んでいたのでDMを致しました。

恐らく、あなたは私を信頼しないと思います。
ですが私に起こったことを理解してくれるかもしれないと期待をしてDMしています。

私は25歳のアルバイト店員です。
愛羅との出会いはSNSです。DMを介して仲良くなりました。

私は愛羅と同居して1年でした。
愛し合う仲になりました。
もともと私は異性としか交際した経験はありませんでした。

結果的に私は愛羅から2000万円搾取されました。

愛羅から水商売などを勧められて作ったお金を貢いだ形になります。
整形しろと愛羅に言われて整形しました。
気づくと友達はみんな私から離れて行きました。
私は愛羅に尽くしたと自負しています。

私は愛羅のアドバイスに従うようになると、
会社に居づらくなり、そしてクビになりました。

愛羅が法律に詳しい先生を紹介すると言ってくれ、目隠しをしたまま愛羅の友達の車に乗りました。
そして、古いビルへ連れて行かれました。

裸のまま、長時間、箱詰めにされてそれから解放されました。この時に警察へ通報しましたが、先に入浴したのが仇となり、くわえて
監禁された場所が不明である点や怪我がなかったので、2000万円が搾取された証拠はなく、私は愛羅の名刺や持っていた書類で愛羅だと信じて、被害のあと『愛羅』が誰なのか分からず終いでした。

交際相手と痴話喧嘩で処理されました。

現在、私はメンタルクリニックに通院しながらアルバイトをして生計を立てています。

愛羅を見抜けなかった私が悪いので自業自得です。

愛羅が逮捕され、私も警察から『犯罪者予備軍リスト』に名前があったので聴取されました。
ですが、渡したお金は戻りそうにありません。
整形した鼻がジクジク痛みますが、これも言いなりになった私が悪いのです。

心の中で愛羅を責めるたびに、お門違いに思えて、私は罪悪感にかられ病んでしまいます。

初対面のあなたへ長文のDMして、すみません。

同じ被害者がいたら私を理解してくれるんじゃないかと思ってDM致しました。



ところどころに報道されてない情報が書き込まれているDM。
25歳で2000万円もの大金を搾取されたユミナへ同情したが、愛羅の仲間である可能性がある。

俺はユミナをブロックをする気になれず、様子を見ることにした。


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