見出し画像

幸福・キミがこの手を掴めるように

育てているガーベラの蕾が開花した
胸をすくような嬉しさが込み上げ
「おめでとう」口走る

「花が咲いたよ」元彼に報告した
「俺も育ててみようかな」
喜びの共感も、嬉しい

ベージュの花弁を広げるガーベラ
愛でるだけで、口角が上がるのが分かる
重いまぶたがはっきり開く感覚が分かる

友達へのプレゼントを選ぶ
「何がいいかな」
見ているだけで、わたしの気持ちが躍る

友達がいること
選ぶ時間があること
「今、こんなに素敵なものがあるんだ」と知ること

日記にすれば、一行で終わること
「一行」の中には、嬉しいが詰まっている
特別なことをしなくても
「嬉しい」がわたしを囲んでいる

窓から昼間の空を仰ぐと
確実にひかりは色を変えて、春がいる

挫けそうで、自分が裂けてしまいそうなキミは
不安が見え隠れする
キミの新しい経験がそびえ立つ

遠回りは
「けして無駄にならない」
それは、先に人生を重ねた者が知っている

見えない手は
キミがこの手を掴めるように
静かに伸ばしたままにしている

嬉しさも、春も、見えない手も
キミが真っ直ぐな視線で笑える日を待っている