ショート: 儚さを牛丼と流し込もう
今どき、マッチングアプリがあるのに、
合コンが存在する。そして、数合わせに呼ばれる。
私がお調子者なのか、噛ませ犬なのか、
深く考えるだけ惨めになり、
今日も営業で培った陽気さは、場を盛り上げる。
これでいいよね?
遠慮がちに微笑む友人は、金魚の尾鰭みたいな
優雅さを際立てる服で、女を強調させ、
普段は大口を開けて笑う姿が、ここにない。
あざとさはスキルだから、あざとく見えないの。
だからといって、性格の良し悪しまではジャッジ
できない。
土壌改良のように、場を和ませたら、
そろそろお開き。
LINEの交換する男女を見ないフリして財布を握る。
だって、合コンはそういう目的だから。
終電を逃し、レンタル自転車を探す。
道玄坂になかったかな?
寒風は街の灯りをわびしくし、
自転車を探す私は野良犬みたい。
他人を幸せにすると、自分も幸せになれる。
私は利他的じゃなかったのかな、お釈迦様。
あそこの吉野家で、ごはんを食べよう。
儚さを牛丼と流し込もう。