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役に立たなかった天才

何の取り柄もない、わたしが
人生1度だけ、教授から「天才」だと褒められた
しかし、今日まで役に立った試しがない

わたしは工学部に在籍していた、3年生のゼミで
いきなり、教授が具体的な地名を出し
「一泊2日のツアーを計画せよ」課題が出された
初めての試みだった

その場で30分、かかってないと思う
レポート用紙に旅行プランを書き、提出した

教授は目を通し
「どこか旅行代理店の広告を覚えていたか」
唐突に訊かれたので
「いいえ」とだけ答えて
先程とは別の地名を指定し、ツアーを立てさせた

わたしはそれをあっさり書いて提出すると
「プロだよ。完璧で、天才だ」
ゼミは人が少ない
少ないけど、褒められて恥ずかしかった

大事なことなので、工学部でした

教授に呼ばれて、旅行会社のプランナーになれ
ももまろさんなら向いている
などと、その時も絶賛され
うちのOBやOGがいる、大手旅行会社を受けたが
どこも最終面接で、落っこちた

そもそも、旅行会社に就職したい意思がない
落ちたところで、痛みはなかったが
教授から見た素質が役に立つことがなく
才能があったなら、枯れたように思う