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アカデミー賞の行方は〜スピルバーグの自伝的作品「フェイブルマンズ」

今日はこれから、第95回アカデミー賞の発表。今まさに発表中かもしれない。

週末、スピルバーグ監督作品「フェイブルマンズ」を観に行く。主人公はサム・フェイブルマン。子供の時に映画「地上最大のショウ」を観て映画の世界に入っていく。同作は、サーカスのリング・リング・ブラザースを舞台に、監督セシル・B・デミルで1952年に制作された映画である。

そして、このサムはスピルバーグを投影した少年で、彼の成長と家族のドラマを描く。“芸術“を追及することの厳しさ、“芸術“を愛するものの純粋さと苦悩の物語でもある。

1950年代から60年代のアメリカ、ファッション・音楽・カルチャー、観ていて楽しい時代である。流石にスピルバーグで2時間半という長さを感じさせない、中身の濃い映画である。一方で、ふとスピルバーグと同じユダヤ人である、ウディ・アレンならこの素材をどう料理したのかと考えてしまった。

「フェイブルマンズ」は良くできた映画であり、観る価値はあるし、人に聞かれたらお勧めする作品である。ただ、なにかが物足りない。素直すぎるように思えるし、スピルバーグの想いが詰め込まれすぎているようにも感じる。

週刊文春の映画評を確認してみると、評者五人中、洞口依子ら三人が満点の五つ星、中野翠が四つ、芝山幹郎が星三つ。ちょっと分かるような気がする。

“実業“の世界において優秀なサムの父親役が、ポール・ダノ。これが嬉しい。ダノは、「ラブ&マーシー」でビーチボーイズのブライアン・ウィルソンを演じたが、繊細な天才を見事に体現している。

小ネタとしては、「エレファントマン」「ツインピークス」シリーズで監督などを務めたデビッド・リンチが登場する。 役名は、観てのお楽しみ。

これで、アカデミー作品候補10作中、「トップガンマーヴェリック」「エルヴィス」「イニシェリン島の精霊」「西部戦線異状なし」に本作で半分を観た。

下馬評では、「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が有力らしいが、ちょっと私のテイストとは違いそうだ。その他の候補作は、「アバター」「逆転のトライアングル」「ウーマン・トーキング」「TAR ター」。この中では、ケイト・ブランシェットが女性指揮者を演じた「TAR」が気になるが、日本公開はまだ先の5月。

私が観た5作の中では、「イニシェリン」か「西部戦線」が取りそうな気がする。時節がら、「西部戦線」にオスカーが行くのではないか



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