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著…マンフレート・ゼリンク 訳…熊澤弘『ブリューゲルの世界 目を奪われる快楽と禁欲の世界劇場へようこそ』

 作品の全体図、部分拡大図、解説文を通して、ピーテル・ブリューゲルの独特の世界観にどっぷり浸れる本。

 死。

 病。

 貧困。

 飢え。

 暴力。

 そして狂気。

 こうした不気味なテーマをユーモラスに描き、特別な悲劇というよりもこの世に当たり前に存在するものとして扱っているのが、ブリューゲル作品の魅力の一つ。

 ジッと観続けていると、もしかしたら作品の中に吸い込まれて二度と現実世界に戻って来られなくなるかもしれない…と怖くなります。

 それでも尚、ブリューゲルの作品は人の心を惹きつけて放しません。

 わたしは特に、『怠け者の天国』に描かれている人に親近感を覚えます…。

 ぐで〜っと寝っ転がって、魂が9割くらい抜けていそうな表情!

 わたしもよく仕事から帰宅して「つ、疲れた…」とソファに転がっている時、こんな表情をしたままフリーズしています。

 怠惰な自分への戒めとして、この作品の複製画を部屋に飾りたいです…。

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