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著…野口聡一『スィート・スィート・ホーム』

 ●宇宙飛行士候補者になるまでの道のり
 ●選抜試験や面接
 ●訓練のスケジュール
 ●無重力空間での感覚
 ●船外活動の仕事内容
 ●クルーとの人間関係
 ●宇宙飛行士をサポートするスタッフ

 といったことが書かれている本。

 どれも物凄いことなのに、淡々と書かれているので読みやすいです。

 特にこの本の前半部分を読んでいると、まるで自分も浮遊しているかのような、平衡感覚が無くなるかのような、そういう不思議な気分になります。

 地球にいながらにして、宇宙の神秘をほんのちょっぴりシェアしてもらったような感じ。

 例えば、宇宙で起きるという「血が頭に上る」「肩こりがなくなる」「首を下に向けるのに力が必要」といった現象を、もしわたしもいつか宇宙へ行けたら実際に体感してみたいです。

 故郷である地球を離れるのは怖いけれど…。

 また、わたしがこの本の中で特に好きなのは、能に言及しているところ。

 能が好きだという野口さんは、こう書いています。

 宇宙の船外活動と能には共通する部分があるかもしれない、と。

 無駄なものが削ぎ落とされた感覚があるから。

 また、

 「僕より600年前に生まれた世阿弥は〝離見の見〟という言葉を残している。自分自身の姿を離れた場所から客観的に眺めるような視点を持てたということだ。三間四方の能舞台に無限の広がりを求めた世阿弥と、無限の宇宙にあって一寸の誤差も許さない船外活動と、時空を超えて相通ずる精神を感じるのは僕だけであろうか。ひょっとしたら、時速2万500キロで地球を周回しながら、危なっかしい僕のEVA初舞台を後ろから見ていたのは世阿弥だったのかも知れない」

(著…野口聡一『スィート・スィート・ホーム』
P25から引用)

 と野口さんは書いています。

 ゾクッとしますよね。

 魂は時空をも超えるのだろうか…? と。

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