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著…中本忠子『あんた、ご飯食うたん? 子どもの心を開く大人の向き合い方』

 今でこそ、「子ども食堂」という名前は広く知られつつあります。

 著者は、今から40年ほど前、保護司として活動していました。

 その時お世話をしていた少年から「お腹が減っているのを忘れるためにシンナーを吸う」と言われて、自宅でご飯を振る舞いました。

 それがきっかけで、お腹を空かせた子どもたちにご飯を出し続けてきたそうです。

 著者がいる子ども食堂では、やって来た子どもたちに対して、「どこから来たの?」などと詮索したりはしないそうです。

 食品アレルギーには気を配るけれど、名前も、住所も、年も聞かず、「よう来たの」と言って、まずは受け入れるだけなのだそう。

 「家庭のこと、親のことは聞かない。でも、おつきあいをしていくと、少しずつそういう疑問は解消していきます。だいたいわかってきます、その子がどういう家庭の子かというのは。長く来ていたら、自分の方から言いますよ」

(著…中本忠子『あんた、ご飯食うたん? 子どもの心を開く大人の向き合い方』 P54から引用)

 という風に。

 こちらのペースに子どもを合わせようというのではなく、子どものペースに合わせる姿勢が素晴らしいと思います。

 子どもたちが求めているのは指導でも同情でもなく、大人からの関心や共感なのかもしれません。

 また、著者がいる子ども食堂でご飯を食べた子が、「自分よりも不幸な子がいるから、この子にもご飯を食べさせて」と沢山の友達を連れて来た…というエピソードを読むと、これでお腹を空かせた子たちが少しでも減ったんだな…と安堵する反面、それまではみんな信用出来る大人と出会えなくてひもじい思いをしていたのかもしれないな…と想像出来て、読んでいて辛くなりました。

 全国的にもお腹を空かせた子どもたちはまだまだ大勢居るので、子ども食堂の輪が広がっていって、子どもたちみんながお腹いっぱい食べられる世の中になればいいなと思います。

 子どもに限らず、大人もお腹がいっぱいになりますように。



 〈こういう方におすすめ〉
 福祉の中でも特に児童福祉に関心がある方。
 人と人との繋がりを大切にしている方。

 〈読書所要時間の目安〉
 2時間くらい。

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