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著…山田宗樹『存在しない時間の中で』

 ふいに、

 「以前も同じ場所で同じ日時に同じ体験をしたことがある」

 と不思議な感覚になったことがある方におすすめしたい小説です。

 また、夢の中で、誰なのか全く思い出せないけれど懐かしい人物と会ったことがある…という方にもおすすめしたいです。

 この小説を読むと、それらの不思議な体験の謎が解ける気がしますから。


 かく言うわたしも、上述したような体験をしたことが何度もあります。

 単なるデジャヴなのか?

 単なる夢なのか?

 それらの疑問について、理性は「気のせいだ」という答えを出そうとします。

 しかし、心は違います。

 「わたしは間違いなくこのシチュエーションを以前も体験したし、夢に現れたあの人物をお互いによく知っている」

 と確信しています。

 こんなことを身近な誰かに言おうものなら「気でも違ったのか」と言われかねませんから、これまで誰にも明かしたことはありませんでしたが…。

 なお、わたしの夢に出て来るその印象深い人物は、少なくとも年1回以上は夢の中に現れるのです。

 しかも、ごく親しげに。

 わたしはその人が誰なのかを思い出したいのに、どうしても思い出せなくて苦しいです。

 けれども奇妙なことに、「思い出せないけれど、決して忘れることはない」ということもわたしは断言出来るのです。

 非常におかしな話ですが。

 しかし、この小説は、そんな違和感に答えを出してくれました。

 ああ、そうだったのか…、と。

 そうしてこの小説を読み終えてから、改めてこの小説のタイトルを見ると、このこともはっきりと言えるようになりました。

 これ以上ぴったりなタイトルは他に無い、と。

 


 〈こういう方におすすめ〉
 「神」や「世界」をテーマにした小説を読みたい方。
 『世にも奇妙な物語』に出てきそうなストーリーです。

 〈読書所要時間の目安〉
 難しい用語が幾つも出て来るのですが、ストーリーそのものはシンプルで分かりやすいので、4〜5時間くらいあれば読めると思います。
 また、ふっと読み返したくなる作品なので、長く楽しめると思います。
 ある意味、恐怖の物語でもありますが…。

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