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著…はらだ有彩『日本のヤバい女の子』

 もし彼女たちが現代に生まれ変わったら、どんな人生を歩むだろうか?

 といった想像をしながら、「虫愛る姫君」「清姫」「かぐや姫」「八百比丘尼」「乙姫」「織姫」といった、日本の昔話に登場する女性たちの生き方から、自分が生きるためのヒントを得よう…という本です。

 彼女たちの生き方は一人ひとりバラバラ。

 けれど、共感出来るポイントがいくつもあります。

 「絶対に自分の姿を見られたくない時ってあるよね」とか。

 「好きな人とお別れしなければならない時、未練を残さずにキッパリと別れる方が、お互い心の整理がつくよね」とか…。

 また、わたしははじめ、「この本はタイトルで損をしているんじゃないかな? 〝ヤバい〟という言葉に嫌悪感を抱く人は、このタイトルを見ただけで敬遠しそう。中身は興味深い本なのに勿体無い」と思いました。

 しかし、じっくり読んでみると、昔話に登場する彼女たちのことがまるで女友達みたいに思えてくるので、〝ヤバい〟という表現が段々しっくりくるようになりました。

 女友達同士で〝ヤバい〟と言い合うことって、珍しくありませんから。

 困った時や苦しい時といったネガティブな場面だけでなく、嬉しい時や美味しい物を食べた時といったポジティブな場面で〝ヤバい〟を使うことだってありますよね。

 …しかし、この本の中で紹介されている女性の中には、前者の意味で〝ヤバい〟女性も居ます。

 例えば、わたしはおかめのエピソードについて、非常に大きな衝撃を覚えました。

 おかめとは、長井飛騨守高次という大工の妻のことだそうです。

 この妻は、夫の大きなミスを見事にフォローしました。

 そして、夫が女である自分に助けられて仕事を成功させたということが誰にも知られないように、自殺したそうです。

 …え!?

 自殺?

 なんで?

 わたしの読み間違い?

 妻が夫のミスをフォローしたのだから、なんて素晴らしい妻なんだ、と夫婦仲が更に睦まじくなる…とかじゃないの?

 …いや、何度この本を読んでも、やっぱり「自殺した」って書いてある!

 何!? この超展開!?

 とわたしの頭はフリーズしました。

 まさか、おかめのあのニコニコ顔にそんな壮絶なエピソードが秘められていたなんて…!

 今まで、福笑いのイメージしか無かったのに…。

 もしわたしがおかめの友達なら、おかめが首を吊る前に止めたいです。

 おかめ! 死んだって何にもならないよっ!

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