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著…森鴎外 絵…いとうあつき『木精』

 いつまでも変わらないものなんて無い、と気づかせてくれる作品。

 澄んだ空気、優しい雨、美しい夕焼け、そして星の光を描いたあたたかみのあるイラストが、この物語の切なさをより味わい深くしてくれます。


 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。




 主人公は子どもの頃、山にやって来ては「ハルロオ」と呼びました。

 しばらく待つと木精が「ハルロオ」と答えてくれるのが、嬉しかったのです。

 主人公にとって、木精は呼べば必ず答えてくれる存在でした。

 それが当たり前だと思っていました。

 主人公は成長すると仕事に忙殺されて、長い間山に行けませんでした。

 ある日、主人公は久しぶりに山に行き、「ハルロオ」と呼びかけ、じいっと待ちました。

 ところが…、木精はちっとも答えてくれません。

 木精が変わってしまったのか?

 それとも、変わってしまったのは自分なのか?

 その答えに気づいた時の主人公のショックと、それを穏やかに受け入れていく描写が好きです。

 誰もが必ず経験することですよね…。



 〈こういう方におすすめ〉
 不変のものなどない、ということについて考える機会が欲しい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 30分くらい。

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