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著…ジャクリーン・ウッドソン 訳…さくまゆみこ『あなたはそっとやってくる』

 初恋の嬉しさ。

 照れくささ。

 そして、恋する二人の肌の色の違いがもたらす、周りの人々のざわめき。

 それらが複雑に織り成す物語です。

 あたたかいのに、哀しみも潜んでいて、グッときます。


 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。


 肌が白い女の子・エリー。

 肌が黒い男の子・マイア。

 二人は出会ったばかりでしたが、

 彼の髪にふれてみたい、彼の顔にふれてみたい、と私は思いました。ちょっとのあいだ、私たちは見つめあっていました。何も言わずに。初めて会ったという気がしなかったのです。私は目をしばたたき、とつぜん恥ずかしくなって、目をそらしました。

(著…ジャクリーン・ウッドソン 訳…さくまゆみこ『あなたはそっとやってくる』P19〜20から引用)


 とエリーが思うシーンがあって、これを読んだわたしはドキッとしました。

 素敵ですよね。

 ごく自然に「ふれてみたい」と思える人と巡り会えたなんて。

 まるで、魂と魂がとけ合うかのよう。

 また、

 その子のことはわかるような気がするんだ。心の中が見えて、なんでもわかるみたいな。アホなこと言ってるのはわかってるけど……。(中略)だって、その子のこと、知らないんだぜ。その子の名字だって知らないんだ。(中略)でも今日クラスでとなりにすわってたら……なんていうか……なんだか、おれたち、いつもとなり同士にいるべきじゃないかって思っちゃったんだ。なんでだかさ。

((著…ジャクリーン・ウッドソン 訳…さくまゆみこ『あなたはそっとやってくる』P109〜110から引用)


 とマイアが考える場面もあって、これにもドキッとさせられます。

 恋する二人には、肌の色の違いなんて関係ない。

 好きな人のそばにいたい。

 願うのは、それだけ。

 好きな人と過ごせるどの瞬間も、かけがえのない宝物。


 〈こういう方におすすめ〉
 切ないラブストーリーを読みたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 二時間くらい。

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