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書店に勤める会社員のエッセイ

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エッセイ集『探してるものはそう遠くはないのかもしれない』にはあえて書かなかった、書店員っぽいエッセイはこちらに
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#小説

新井見枝香のイベント情報(2018年11月23日更新)

新井見枝香のイベント情報(2018年11月23日更新)

イベントに関するお問合せ→ 開催店舗

新井へのリクエスト→ @honya_arai 

※楽しいお仕事の依頼は、会社ではなく、新井にDMでお願いします

NEW! 2018年11月25日(日)14時00分~

蒼月海里さんとわちゃわちゃミニトーーーク!!!

明正堂アトレ上野店の前

実は元同僚なんです。そのくせなぜか、ふたり揃って明正堂アトレ上野店に

超お世話になっております。

予約

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腐る程された質問に今さら答える

腐る程された質問に今さら答える

インタビューに限らず、商談で、飲み会で、腐る程されてきた質問がある。それなのに、今に至ってもまだ、上手く答えることができない。

ひと月に何冊くらい読むんですか?

1冊なのか100冊なのか、わからない。ひと月につぶグミを何粒口に入れるのかわからないくらいわからない。

だが、クリープハイプのアルバム「世界観」に収録された「バンド」という名曲で、そういう質問に《今更正直に答えて》いる姿がかっこ良く

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なにを言ってるのかさっぱりわからない文

なにを言ってるのかさっぱりわからない文

全ての人に誤解がないように、誰にでもわかるように書こう書こうとすると、文章というものはみるみる面白くなくなるから困ったものである。

でも誤解しないでほしいのだが…と書いて、あっ、それは今からこれも面白くない文章になっていくってことか?と思ったが、多分違うと思う。思いたい。

この道すべるから気をつけてと言ったそばから自分がステーンとすべって恥をかくアレだったらどうしよう。

もういいや。

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なにを言ってるのかさっぱりわからない本

なにを言ってるのかさっぱりわからない本

全裸でベッドに寝っ転がって口を開けてスマホをいじっていても、自分が何屋であるかは決して忘れていない。

#字面は追えたがなにを言ってるのかさっぱりわからなかった本

タイムラインに流れてきたハッシュタグに、本屋センサーが反応した。

正座で猛然とTwitterを遡る。

一体どの本が、まるで異世界からの交信のような言われ方をしているのか。本屋として、見過ごすことはできない。

すると…出るわ出る

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これは『アクシデント・レポート』が最高に面白かったこととは、全く別の話です。

これは『アクシデント・レポート』が最高に面白かったこととは、全く別の話です。

今からすごく恥ずかしいことを告白する。

なんだかもう、言っちゃいたい気分なのだ。

樋口毅宏の『アクシデント・レポート』という小説を、ここ2週間持ち歩いていた。600ページ超、ハードカバーの2段組で、価格は3,100円(税別)。存在がクレイジーだ。

この厳つい単行本のおかげで、トートバッグを右側に掛ける私のコートは、そこだけ擦れてテカテカしている。

でもそのテカテカを、悪くないと思っている。

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川沿いに住む売れない小説家は⑤・完

川沿いに住む売れない小説家は⑤・完

『川沿いに住む売れない小説家は④』のつづき

そこそこのキャリアはあっても、売れない小説家のフォロワーなど、たかが知れている。

しかしその一連のツイートは、バズッた。

名のある小説家たちは、国内最高権威の文学賞選考委員である大御所作家と、国内最大手の出版社に気を使って、この件に関しては貝のように黙っていた。そこへ棺桶に片足を突っ込んだ小説家が「帯もったいない」「最高傑作って嘘だったの?」などと

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川沿いに住む売れない小説家は④

川沿いに住む売れない小説家は④

『川沿いに住む売れない小説家は③』のつづき

川沿いに住む売れない小説家の、命を懸けた最後っ屁みたいな小説は、ゲラを送った書評家からはまったく見向きもされず、編集者との信頼関係も壊れた今、宣伝やパブリシティの機会も皆無だった。

せっかく帯用にもらった最強コメントも、彼は宣言通り帯に使わなかった。

まさか、彼の心に深く刻まれるだけで終わるのか。

実際彼は、そのコメントを己に刻み込むつもりだった

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