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キャリア形成について クランボルツと考える(1)

就職活動を行う上で、押さえておくべき人物がジョン・クランボルツです。

スタンフォード大学の教育学・心理学の教授で、キャリアについて「計画性偶発」という理論を提示しました。

この理論について書かれた書籍は何冊かありますが、その中から2つ引用したいと思います。

スタンフォード大学の教育学・心理学の教授であるジョン・クランボルツは、米国のビジネスマン数百人を対象に調査を行い、キャリア形成のきっかけは、80%が「偶然」であることを明らかにしました。彼はこの調査結果をもとに、キャリアは偶発的に生成される以上、中長期的なゴールを設定して頑張るのはナンセンスであり、努力はむしろ「いい偶然」を招きよせるための計画と習慣にこそ向けられるべきだと主張し、それらの論考を「計画された偶発性=プランド・ハプンスタンス・セオリー」という理論にまとめました。クランボルツはこのプランド・ハプンスタンス・セオリーにおいて、「いい偶然」は単に待っているだけでは起こらず、招きよせるための日々の習慣が重要である、と指摘しています。『天職は寝て待て』山口周著 光文社新書
キャリア研究の世界では、J・D・クランボルツの「計画的偶発性」の理論に注目が集まったりもしている。大胆に単純化してしまえば、長期(生涯)にわたる個人のキャリアは、事実としても、けっして「計画」に基づいてのみ歩まれているわけではない。めぐってきた「偶然のチャンスを活かす」ことが次なるキャリアへの道を開くことが圧倒的に多い、というわけである。もちろんその「偶然のチャンス」は、ただ漫然と待っていれば訪れるものではない。それを呼び込むような日頃の努力(行動)が求められるのではあるが。『キャリア教育のウソ』児美川孝一郎著 ちくまプリマ―新書

平たく言えば「キャリアは偶然」ということです。これには私も賛成の立場です。私自身、今の会社に入社したことが全くの偶然だからです。そして、この理論で一番重要なのは「偶然に出会う」ことではなく、それを「活かす」事だと思います。要は「偶然を使う」のです。

どんなに、「いい偶然」に巡り合ったとしても、それを利用しなければ何も生まれません。結局は「あなたの行動次第」ということになります。

これを就職活動に置き換えればどういうことになるでしょうか。行きたい業界、職種を絞り込み過ぎていたとします。大学の就職課の前を歩いていると、優良企業の求人票が目に入りました。ところが、「私にはこの業界(職種)は関係ないや」と通り過ぎてしまうということです。確かに数多ある求人の中から、行きたい会社を選ぶことは至難の業です。そこで、業界を絞ろう。職種を絞ろう。というのは分かります。しかし、それによって、すぐそこにある偶然のチャンス(機会)を見過ごす・見てみないふりをすることは非常にもったいないことだと思います。このことについて、クランボルツ先生ご本人の著書を引用しましょう。

早い時期にキャリア選択の意思決定をするにあたって不利なことは、ひとつには、知らない職種を無視してしまう可能性があるということです。『その幸運は偶然ではないんです!』J.D クランボルツ・A.Sレヴィン著 ダイヤモンド社

まずは、「おっ!この求人票なんだろうな?」と足を止めてみるべきです。

次回は、クランボルツの提言から、「いい偶然」との出合い方について、ヒントを考えてみたいと思います。

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