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在野研究一歩前(34)「学究メモ:震災と活字②」

 前回は、「雑メモ:震災と活字①」ということで、私がこのテーマで文章を纏め始めた経緯を示した。それでは②以降より、実際に「震災」関連書籍を紹介していきたいと思います。

紹介例:著者名『書籍名』(出版者、刊行年度):未読or読書中or読了(※時に本文からの引用や簡単な感想)

○評論・随筆篇
木村朗子『震災後文学論 あたらしい日本文学のために』(青土社、2013):読了
⇒「震災後」に登場した日本文学の新しいジャンルを「震災後文学」と名付けた。

木村朗子『その後の震災後文学論』(青土社、2018):読了

瀬尾夏美『あわいゆくこころ―陸前高田、震災後を生きる』(晶文社、2019):未読

小松理虔『新復興論』(株式会社ゲンロン、2018):読了
⇒「首都圏に本社を持つ企業の生産拠点がいわきには数多い。」「しかし、多くの人たちはその事実を知らない。福島は確実にあなたの日常を支えているはずなのにだ」(以上、P92)

⇒「楽しくなければ理念も伝わらない。面白くなければ興味を持ってもらえない。おいしくなければ口にしてもらえない。そして人は、簡単に何かを忘れてしまう。福島に、そして原発事故に関心を持ってもらいたいと思えばこそ、私たちはふまじめに徹し、遠くの誰かに、その面白さや楽しさを伝えていかなければならないはずだ」(P362)。

佐伯一麦『麦の日記帖 震災のあとさき 2010▶2018』(プレスアート、2018):読了

安東量子『海を撃つ 福島・広島・ベラルーシにて』(みすず書房、2019):未読

限界研編、飯田一史・杉田俊介・藤井義允・藤田直哉編著、海老原豊、蔓葉信博、冨塚亮平、西貝怜、宮本道人、渡邉大輔著『東日本大震災後文学論』(南雲堂、2017):読書中
⇒序論 はじめに 飯田一史
第一章 震災後文学の超臨界
同時代としての震災後 藤田直哉
希望―重松清と『シン・ゴジラ』 飯田一史
喪失なき成熟―坂口恭平・村田沙耶香・D.W.ウィニコット 冨塚亮平
揺れる世界と存在―震災後としての中村文則文学 藤井義允
第二章 科学と文学の(dis)コミュニケーション
情報の津波をサーフィンする―3・11以後のサイエンスなフィクション 海老原豊
震災後文学としての『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズ―科学技術コミュニケーションにおけるリスク・個人・希望をめぐって 西貝怜
対震災実用文学論―東日本大震災において文学はどう使われたか 宮本道人
第三章 イメージの核分裂
島田荘司と社会派エンターテインメント 蔓葉信博
映像メディアと「ポスト震災的」世界―キャメラアイの「多視点的転回」を中心に 渡邉大輔
第四章 震災後を生きる君たちへ more than human
〈生〉よりも悪い運命 藤田直哉
高橋源一郎論―銀河系文学の彼方に 杉田俊介
震災後作品出版・公開年度一覧

石戸諭『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房、2017):読了
⇒「震災や原発事故を自分のこととして捉え、考えている人たちの声に近づき、彼らの揺らぎに接近する」(P14)

開沼博『はじめての福島学』(イースト・プレス、2015):読了

酒井順子『地震と独身』(新潮社、2014):未読

三浦英之『南三陸日記』(集英社文庫、2019):読了
⇒「私たちが真っ先に取り組むべきこと。それは、あの「三〇分」に人々がどう動いたのかを克明に記録・検証することだと私は思う。それを新しい国や地域の仕組みにいかした上で、後世にしっかりと語り継いでいこう。高齢者や障害者を災害からいかに守るのか。いざというときに正しく動ける知識と勇気を子どもたちにどう身につけさせるのか。そのためには何よりも、あの「三〇分」の教訓と反省が必要だ」(P24~25)

塩崎賢明『復興〈災害〉―阪神・淡路大震災と東日本大震災』(岩波書店、2014):未読

吉田千亜『ルポ母子避難―消されゆく原発事故被害者』(岩波書店、2016):読了

田口ランディ『ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ―原子力を受け入れた日本』(ちくまプリマー新書、2011):未読

本間龍『原発プロパガンダ』(岩波書店、2016):読了

前田潤『地震と文学 災厄と共に生きていくための文学史』(笠間書院、2016):未読

奥野修司『魂でもいいから、そばにいて 3・11後の霊体験を聞く』(新潮社、2017):未読

スベトラーナ・アレクシエ―ビッチ『チェルノブイリの祈り―未来の物語』(岩波書店、2011):未読

加藤典洋『3・11 死に神に突き飛ばされる』(岩波書店、2011):読了

渋谷敦志『まなざしが出会う場所へ―越境する写真家として生きる』(新泉社、2019):読了
⇒種々の「現地」に足を運び、「現実」を写真に収めていく「フォトジャーナリスト」にとっては、見て見ぬ振りはできない「当事者との関係」。震災後、福島を訪ねた渋谷さんに向けられた「お前は何者なんだ」(P300)という眼には、考えさせられるものがあった。

高橋源一郎『「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について』(河出書房新社、2012):読了

堀内正規『震災後に読む文学』(早稲田大学出版部、2013):未読

川村湊『震災・原発文学論』(インパクト出版会、2013):未読

●東北学院大学地域共生推進機構編『「震災と文学」講義録』(荒蝦夷、2018):読了
⇒2013年から続いた東北学院大学での講義「震災と文学」の記録。小森陽一、池澤夏樹、いとうせいこう、若松英輔、柳美里、東雅夫、和合亮一、平田オリザらの講義内容を収録。

 以上で「雑メモ:震災と活字②」を終ります。次回は「雑メモ:震災と活字③」として、「震災後文学」を纏めていきたいと思います。
 お読み頂きありがとうございました。

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