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【MIHO MUSEUM】特別展「奈良大和路のみほとけ ─令和古寺巡礼─」の見どころを、仏像イラストレーターの田中ひろみさんが現地レポート!

滋賀県甲賀市信楽町「MIHO MUSEUM(ミホ ミュージアム)」の夏季特別展「奈良大和路のみほとけ ─令和古寺巡礼─」〔会期2024年7月6日(土)~9月1日(日)〕のプレス内覧会に参加しました。

緑が多くとっても素敵な「MIHO MUSEUM」で、私の大好きな奈良の仏像の数々を拝めるという素晴らしい展覧会です。

記事冒頭の入口ポスターの写真は、大安寺蔵の奈良時代の秘仏・馬頭観音菩薩立像。展示期間は8月6日〜9月1日のため、私が訪れた時はお会いできませんでした。

重要文化財 秘仏・馬頭観音菩薩立像
奈良時代 8世紀 木造彩色 173.5cm 大安寺蔵
展示期間:8月6日~9月1日 限定

会場入ってすぐに、写真家の入江いりえ泰吉たいきちの作品「古都遠望」が大きく引き伸ばされて展示されており、奈良大和路へやってきた感じがしました。

最初のコーナーには、法隆寺の仏像が数体展示されています。目がいくのは、ぽっちゃりした頬で微笑する少女のような「観音菩薩立像」。飛鳥~奈良時代作のこの像は、拝めば悪い夢を良い夢に変えてくださるという伝説があり、別名「夢違ゆめちがい観音」とも呼ばれています。

国宝 観音菩薩立像(夢違観音)
飛鳥~奈良時代 7‐8世紀
銅造鍍金 像高87cm
法隆寺蔵
展示期間:7月6日~8月4日 限定

こちらは「白鳳の貴公子」とも呼ばれる若々しい青年のような薬師寺の「聖観世音菩薩像」。お寺では見ることができない後ろ姿も拝観できます。腰の飾りの瓔珞ようらくを見ると、背面もゴージャスであることがわかります。

国宝 聖観世音菩薩立像
飛鳥~奈良時代 7‐8世紀
銅造鍍金 像高188.9cm
薬師寺蔵

東大寺の大仏を製作する際に良弁ろうべん上人が試作で造ったという伝説がある「弥勒仏坐像」。そのためか頭が大きく、像高39cmなのに大きく見えます。左手は、大地に触れるような形の触地印しょくちいん*をしています。横から見ると、首がすこし前に出ています。

*触地印:お釈迦様が菩提樹のもとで悟りを開かれたとき、手を地面に触れることで地の神様の力を借り、修行を妨げようとする悪魔を退けたといわれる姿

国宝 弥勒仏坐像
平安時代 9世紀 木造 39cm
東大寺蔵 
展示期間:7月6日~7月21日 限定

MIHO MUSEUM蔵の「持国天立像」は、元は興福寺にあった四天王の1体。頭部は後世に補修されたもの。衣には鮮やかな彩色が残りとても美しいです。足元の邪鬼が大口を開けて、思いっきり顔を踏まれている様子は迫力があって好きです。

重要文化財 持国天立像
平安時代 11‐12世紀
木造彩色 170.7cm
MIHO MUSEUM蔵
展示期間:7月6日~8月4日 限定

長谷寺蔵の「十一面観音菩薩立像」は、地蔵菩薩が持つ錫杖を手にする「長谷寺式十一面観音菩薩立像」です。光背は、宝相華ほうそうげ唐草文様からくさもんようの透かし彫りで、レースのような繊細な美しさがあります。

 重要文化財 十一面観音菩薩立像
鎌倉時代 13世紀
銅造鍍金 像高70.9cm 
長谷寺蔵

他にも数々の奈良の仏像が、展示されています。お寺では拝観することのできない個人蔵の仏像も、展示されています。お寺とは違う角度やライティングで、じっくり拝観できるのも魅力です。

この展覧会は、山口県立美術館(2024年4月12日から6月9日)から、MIHO MUSEUM(2024年7月6日~9月1日)を経て、山梨県立博物館(2024年9月28日~11月25日)へと巡回します。ただし、博物館によって展示内容が異なるのでお見逃しなく。

売店では、田中ひろみ著『仏像イラストレーターが作った 仏像ハンドブック』(ウェッジ)も販売されています。

● MIHO MUSEUM
滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
TEL:0748-82-3411
会期:2024年7月6日 - 2024年9月1日
開館時間:午前10時~午後5時 (入館は午後4時まで)
休館日:月曜日、7月16日、8月13日
    ※7月15日、8月12日は開館
入館料:大人 1,300円 大・高生 1,000円
    中学生以下無料
    団体料金(20名以上)各200円割引
    ※障害者手帳をお持ちの方は無料
    (介添1名は200円割引) 

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