レーモン・クノー『文体練習』|大事なのは、何を書くかよりも、どう書くか
「文体」という得体のしれないものがある。
三島由紀夫のような文体、池澤夏樹のような文体、村上春樹のような文体など、小説家にはそれぞれ文体がある、とよく言われる。
しかし、その実態はよくわからない。今日は文体をめぐる本を紹介したい。
99通りの文体で表現するフランスの古典まずは、古典中の古典であるレーモン・クノーの『文体練習』。本書は以下の何気ない日常を99通りの文体で表現した実験的な作品だ。その話とは、
ある日、バスに乗っていると、ある男が乗車していて、他の乗客が押し