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原因不明の膝痛 実は足首が硬いせい?

捻挫(足首)の症状
怪我と聞くと捻挫(ねんざ)を思い浮かべる人は多いはず。
そのくらい頻繁に見られる捻挫(ねんざ)
「軽く捻っちゃった」
「昔頻繁に捻挫してたんだよ」
など、捻挫(ねんざ)を軽視する人が非常に多い印象です。

捻挫(ねんざ)は軽く見ると痛い目を見る
頻繁に起こるからこそ「軽い怪我」だと思っていませんか?
実は、捻挫は放置すると、腰痛や膝痛にもつながる怖さがあるんです。

捻挫のメカニズムを理学療法士が解説
そもそも足首の捻挫はどんなものなのか、なぜ腰痛や膝痛につながるのかをリハビリや治療の身体のプロ「理学療法士」が解説します。


この記事で解説していることは以下の3つです。
・捻挫(ねんざ)とは
・捻挫(ねんざ)が原因で起こる膝痛とは(一般向け)
・捻挫(ねんざ)が原因で起こる膝痛とは(治療家向け)

捻挫(ねんざ)一つで患部の状態、さらには膝の状態まで悪くなる可能性があります。その原因を一般向けとセラピスト向けに分けて解説していきます。

捻挫と腰痛の関係性についての記事はこちらから

理学療法士とは

理学療法士は、人に役立つ仕事と言われます。
国家資格に合格し、厚生労働大臣から発行される免許を有しています。

理学療法士を名前だけ知っているという方は、意外とたくさんいらっしゃいます。
ですが、あまり実態を知らない方には、怪我後のリハビリをする先生のイメージがあるようです。

でも、そのイメージは少し間違っています。

怪我予防するための知識も持っているのが、理学療法士なんです。

怪我・病気などの身体機能のトラブルに対し、回復・リハビリのサポートを行うプロです。
高齢者や身体に障害を抱える方も、広くサポートしていきます。

そのサポートの中でも、運動療法はよく知られている一般的な治療法です。

捻挫とは

捻挫とは、外力により関節が動く範囲以上に動かされることによる、靭帯や軟骨などの周辺組織の損傷のことを指します。よく聞く捻挫は、靭帯の損傷をイメージする人が多いと思いますが、周りの血管や腱なども傷ついている場合があります。

捻挫は大きく分けて内反捻挫と外反捻挫に分けられます。足を内側に捻る内反捻挫が捻挫の大部分を占めています。内反捻挫では足首の外側の靭帯が主に傷付きます。外側の靭帯は、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯の3靭帯で構成されます。スポーツによる怪我を始め、転んだり階段を踏み外した際に起こるケースも多くあります。
内反捻挫の重症度は傷のつき方によって3種類に分類されます。

捻挫の重症度

捻挫に対する対応はこちらの記事

捻挫が原因で起こる膝痛とは(一般向け)

捻挫(特に内反捻挫)では足首の可動域が狭くなります。捻挫を繰り返していた人で、踵をつけたまましゃがめない人や、和式のトイレが苦手な人も多いはず。それは、足首の可動域が低下していることが原因の一つです。

足首の可動域が狭くなることで、しゃがんだり、立ち上がるときに、関節の構造上膝がつま先に対して内側に入りやすくなってしまいます(画像左)。
膝が内側に入ってしまうと内側の靭帯が伸びたり半月板にストレスがかかったり大きな怪我につながることもあります

こんなイメージです


また膝の内側ばかりに圧がかかりすぎている状態は、膝の内側が耐えうる限界値をすぐに超えてしまいます。過剰な負荷がかかり続けた膝は当然痛くなってきます。

このように、足首の怪我が間接的に膝の痛みへと関係してきます。


ですので、昔怪我した足の軽い怪我が現在の膝痛につながっている可能性も考えられます。まずは、怪我について詳しいプロに見てもらうことが大事です。

捻挫が原因で起こる膝痛とは(治療家向け)

ここからは同業者向けなので少し難しい内容になります。興味のある方は是非ご覧ください。
足関節の内反捻挫では外側には伸長ストレス、内側には圧縮ストレスがかかります。内反捻挫で疼痛をきたすのは主に伸張ストレスがかかった外側です。

伸張ストレスがかかる組織は主に、皮膚・靭帯・筋肉・関節包・腱であり靭帯や筋肉が付着する骨(軟骨部)にもストレスが生じます。ここで、ミオトーム、スクレロトーム、デルマトームの知識が役に立ちます。

デルマトーム
スクレロトーム

伸張ストレスがかかる部位はざっくり分けると

内反捻挫伸張部位

となります。

L4・L5・Sなどこれらの神経は、脊髄のレベルでさらにL1・L2・L3からの自律神経支配を受けており、こられは相互に関係しています。

具体的には、捻挫などでS1領域の機能が損なわれる事で、S1を自律神経支配をしているL3の機能も低下します。機能低下が起こるメカニズムは下記の通りです。

L3の神経領域はスクレロトームでは大腿前面・膝蓋骨・膝の内側、デルマトームでは大腿前面〜膝の内側、ミオトームでは大腿四頭筋や縫工筋などを支配しており、神経機能は主に膝に関係しています。よって、L3領域の機能低下は直接膝の機能低下につながっていきます。

循環低下のメカニズム

慢性的な炎症や疼痛により、持続的に脳へ痛覚信号が送られます。
痛覚信号により同髄節レベルの自律神経(交感神経)が興奮します(捻挫であればL4〜S1領域)。
交感神経の働きにより同髄節レベル(L4〜S1)の血管平滑筋が収縮し循環不全が生じることで酸素や栄養不足、二酸化炭素や老廃物の排泄が低下し、相対する神経支配部位(下位腰椎や仙骨付近、S1領域の筋や軟骨)の機能低下が生じます。
機能低下は主に筋や腱の短縮による筋のタイトネスや関節可動域制限、筋力低下などを指し、これらが複合的に関係することにより腰痛につながる可能性があります。

膝痛の予防

膝の痛みと言っても、「膝が重い感じ」「突っ張る感じ」などさまざまな症状があるかと思います。
膝の痛みの中には、靭帯が切れていたり、変形性膝関節症などの怪我や病気も隠れていることがあります。

膝痛とプロテオグリカン

変形性膝関節症では膝関節内の軟骨が少なくなっていき痛みが出ます。膝軟骨はさまざまな物質からなりますが、よく聞くのは「プロテオグリカン」ではないでしょか?
プロテオグリカンはタンパク質と多糖類からなり、大量の水分と結合します。すると関節は滑らかな動きになり、膝の痛みが軽減するというものです。

スポンジ効果

突然ですが、スポンジに水を含ませたいときはどうしますか?
水に浸しておくだけや水が出ているところに置いておくだけですか?
早くたくさん馴染ませたい時はくしゅくしゅしますよね。膝に大量の水を含ませて滑らかにしたい時も同じです。
膝をたくさん動かしてあげることが大切です。

予防法①
レッグエクステンション

座った姿勢で膝の曲げ伸ばしを行います。
※軟骨は関節の使った角度のみ効果があるので、なるべくたくさんの範囲を動かしてください。

レッグエクステンション

予防法②
ウォーキング

歩くことは膝に体重がかかり軟骨同士が当たるのでスポンジのくしゅくしゅに似ています。
また体力や筋力の低下を改善することもできます。

全て、痛みがない範囲で行うようにしてくだいさい。
痛みがあるけどがマンして行うと症状の悪化につながる可能性大です。気をつけましょう。

予防法③
筋トレ
全身の筋力(時に膝周りの筋肉)が落ちてしまうと、膝を支えることが難しくなり膝の痛みにつながります。中には筋トレをすることで症状が改善する方もいます。
まずは負荷の少ないアイソメトリックトレーニングを行いましょう。

アイソメトリックトレーニング
アイソメトリックトレーニングとは関節の動きが出ない筋トレです。
膝の筋トレで代表的なものが「Quad setting」です。Quadとは4という数字を表し大腿四頭筋(もも前の筋肉)をsettingは膝をセットするという意味です。

やり方
膝の下に枕やタオルを置きます
長座位または仰向けで寝ます
タオルを押しつぶすように膝を伸ばします

メリット
・関節の運動を伴わないので痛みが出にくい
・膝への負担が少ないので初心者でも始めやすい
・簡単
デメリット
・息堪えをしやすくなるので血圧が上がりやすい
・筋肉が大きくなりづらい
・関節運動がない
注意点
・普段呼吸をしながら行う
・使っている筋肉を意識する

捻挫が原因の膝痛以外にも運動不足や使いすぎによる膝痛の可能性もあります。運動不足が思い当たる方はぜひ上記の予防方法を実践して見てください。使い過ぎの方でも負担が少ない筋トレを行うといいと思います。

痛い時は「整体?」「整形外科?」

痛い時は「整体?」「整形外科?」と迷う方も多いと思います。整体では、主に人の手のみで行う検査で怪我や病気があるかを精査します。しかし、整形外科は、レントゲンなどの画像を撮り確定診断が下ります。ですので、第一優先は整形外科に行く事です。

捻挫を早く治すには

捻挫を早く治すには早期発見早期治療が必須です。
損傷直後は炎症兆候として痛みや腫れが出たり熱をもったりします。

今までは「RISE処置」といい、怪我をした→痛い→冷やすが定番の治療として成立していました。
しかし、医学が進み冷やすことはあまりよろしくないとされています。

現代では「PEACEandLOVE法」というものが捻挫の初期には有効であるとされ、
P:Protection(保護)
E:Elevetion(挙上)
A:Avoid anti-inflammatories(抗炎症を避ける)
C:Compression(圧迫)
E:Education(教育)
になります。

これらの方法は特に急性期に有効で怪我をしてから1〜3日間継続的に行う必要があります。

具体的には「保護」では痛いところに体重をかけない、過度に動かさないないなど安静にする必要があります。
挙上」は、足を心臓より高くします。
抗炎症を避ける」では、痛み止めの薬を飲んだり湿布を貼ったり、過度に冷やしたりしないようにします。痛みや熱などの症状は、痛い部位が回復するために必要になるので止めてはいけないということです。
圧迫」では、患部が腫れないようにテーピングなどで外から圧迫します。

怪我をした場合はこのような応急処置を忘れずに行い早めに整形外科を受診してください。靭帯ではなく、くるぶしや足の甲の骨が折れている可能性もありますのでレントゲンなどで確認してもらうといいでしょう。

怪我の程度にもよりますが軽い捻挫の場合治療やリハビリを行い、2〜3週間で復帰できることが多いです。

応急処置に関する記事はこちら

まとめ

軽視しがちな足の捻挫。一回の捻挫が腰痛や膝痛など足首以外にも影響を及ぼすということが分かっていただけたかと思います。「軽い捻挫だから大丈夫」ではなくしっかりと治療することが大切です。

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