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【書評】瞬考|お金を払ってでも欲しい情報を瞬時に作り出すスキル|山川隆義著

「瞬考」を身につければ、あなたの脳は劇的に進化する
そして「瞬考」は、誰もが訓練によって習得可能なスキルである。

今日は、山川隆義氏の著書「瞬考」をご紹介します。

成功する可能性の高いアイディアを思いつきたい。
それも、最短の時間と最小の労力で

そんなあなたの願いを叶えるヒントが、本書「瞬考」に記されています。

早速、紐解いていきましょう。

著者について

著者:山川隆義氏
=ビジネスプロデューサー

山川氏は、エンジニアから戦略コンサルを経て、ビジネスプロデューサーとして、さまざまな企業のプロジェクトを成功に導いています。

なおビジネスプロデューサーとは、ビジネスの企画立案から実行までの過程を指導する職業です。

「瞬考」とは

「瞬考」とは、一瞬で仮説を考え出すことです。
AIを搭載した機器やコンピューターのように、膨大な情報から精度の高い仮説を導き出せます。

しかもこの仮説には、必須の条件があります。
瞬考で導き出す仮説は、皆は知らないが、皆にとって欠かせないものです。

必要であるにもかかわらず、気づいていない。
知らないが故に、失敗する。

こういった悲劇を未然に防ぐのが瞬考であり、瞬考から導き出される仮説です。

仮説とは

仮説は、何かを考える際のスタート地点です。
コンセプトやアイディアとも呼ばれます。

なお本書では、仮説とはメカニズムとアナロジーから構成されていると定義しています。

  • メカニズム:仕組み

  • アナロジー:違う事柄のなかから類似点を見つけること

新しいことを始める際に必ず立てなければならないのが、仮説です。

そして瞬考によって導き出される仮説は、漠然とした根拠のないものではありません。
メカニズムとアナロジーに基づいて論理的に導き出される、成功可能性が限りなく高い仮説です。

瞬考から導びかれる仮説が重要な理由

現代には情報があふれかえっています。

スマートフォンやパソコンで、すぐに知りたい情報を調べられる時代です。
チャットGPTをはじめとする生成AIを利用すれば、複数の情報を集約することもできます。

情報があふれた現代において、情報そのものの価値は、低下の一途です。
検索しても、チャットGPTに尋ねても導き出されることのない情報でなければ、価値はありません。

そこで必要なのが、瞬考です。
瞬考で導き出した仮説には、まだ皆が知らない情報や知識、そして新しく興味深いアイディアが織り込まれています

誰も知らない。
面白い。
目新しい。

こういった特徴はすべて、情報の価値を高める要素です。
付加価値が増えるほど、情報の価値は高まります。

無料でいくらでも情報を検索できる時代にあって、お金を払っても欲しいもの。
それは、どこを探しても見つからない付加価値のある情報です。

そして無料で集められる情報を、お金を払ってでも欲しい情報に作り替えるのが、瞬考です。

「瞬考」から未知で画期的な仮説が生まれる理由

瞬考とは、アイディアです。

そしてアイディアとは、過去の知識や知恵、情報を組み替えて生み出した制作物を意味します。
つまり瞬考とは、各種の情報の情報を再構成したものです。

アイディアは、ゼロからまったく新しいものを作り出すことではありません。
科学の知識がある方であれば、無からは何も生まれないことは、容易に理解できるでしょう。

私たちは、物理法則から逃れることはできません。

アイディアとは、積み木やレゴで、新しい形を作り出すのと同じです。
限られたピースを自由に組み替えて、新しい形を作り出します。

しかし積み木やレゴのピースが少なければ、組み合わせの数は減るため、新しいアイディアを生み出すのは難しくなります。
組み合わせ可能性の選択肢を増やすためには、ピースの数を増やさなければなりません。

瞬考でも、膨大な情報のインプットを重視します。
生成AIが、使えば使うほど、人々が情報を入力し検索すればするほど精度が高まるように、瞬考でも大量の情報をインプットすることが大切です。

そして脳に取り込まれた大量の情報が、画期的なアイディアを作り出します

瞬考がもたらすメリット

瞬考ができるようになれば、著者のようにビジネスプロデューサーとして活躍できるほか、次のようなメリットが期待できます。

  • 業務効率や生産性が上がる

  • 成果を出せる

  • 最優先すべき事項が瞬時に理解できる

  • 適切な人材を集められる

  • 課題を解決できる

  • AIを使いこなせる

これらは瞬考がもたらすメリットの、ほんの一部にすぎません。
瞬考を身につければ、ビジネスのあらゆるシーンで、遺憾無く能力を発揮できるようになります。

もちろん成果につながるのは、いうまでもありません。

なぜ瞬考でビジネスが加速するのか

瞬考は、仮説構築力を鍛える、もっとも有力なツールです。

仮説構築力があれば、適切な仮説を、最小限の時間と労力で導き出せます。

仮説とは、アイディアでありコンセプトです。
物事を始める際の、スタート地点でもあります。

そのため、仮説自体が正しくないと、すべての努力が無駄になる可能性もあるので、注意が必要です。

瞬考は存在しない未来に歩み出すサポーター

仮説とは、ありもしない未来を予測する行為です。

未来に想いを馳せる現時点では、未来というものはありません。
存在しないので、完璧に理解することも、未来の様子を正しく把握することも不可能です。

しかし脳内には、自分が望む未来のイメージが存在します。
このイメージと、将来において具現化する現実が似ている状態が、成功です。

瞬考を身につければ、もっとも望ましい未来に辿りつきやすい方向やスタート地点を、見出すことが可能です。

瞬考によって、過去と現在から推測される情報の中から法則や、推測されるリスクを瞬時に導き出し、その対策を講じることができます。

時間が過去から未来に一方通行で流れるように、物理世界のすべてが光の速さを越えられないように、私たちが身を置くこの世界には、一定の法則があります。

瞬考は、世界に張り巡らされた目には見えないルールに気づくための強力なサポーターです。
身一つで生まれ、身一つで過酷な世界を生きる私たちを守る、強力なパートナーでもあります。

「瞬考」を身につける3つのポイント

瞬考は、日々の訓練で習得できるスキルです。
ただ瞬考を習得するには、時間がかかります
それも5年、10年といった単位の時間です。

大変長い時間を要するため、一刻も早く始めた人だけが、早く結果を出せるようになるでしょう。

なお瞬考を身につけるためには、次も3つのポイントを意識し、訓練することが欠かせません。

  1. 知識を増やす

  2. 2軸で考える

  3. 背景を知る

知識を増やす

より正確に仮説を立てて瞬考の精度を高めるための大前提は、膨大な知識を習得していることです。

知らなければ、考えることもできません。
思考するためには、言葉が必要です。

たとえば英語の単語も文法も知らなければ、英語は話せません。

また、1+1は、2にしかなりません。
もし1+1の答えが5になるのであれば、1+1という仮定自体に誤りがある可能性が高いでしょう。

しかし、1+1から5という答えを導き出したいのであれば、3を加えるなどの方法で1+1の式を加工する方法があります。
これが、アイディアです。

何かを語りアイディアを生み出すためには、アイディアの材料となる、膨大な知識量が必要です。

知識を増やす方法

知識を増やす方法として、著者は「1を聞いて10を調べる」ことを推奨しています。

例えば「仮説」という言葉を例にしてみましょう。

なんとなく「仮の説」ということは、文字から推察できるでしょう。
しかしもし、中学生に対して「仮説とはなんなのか?」をわかりやすく説明できるほどの理解がないのであれば、すぐに仮説の意味を調べるべきです。

Wikipediaによると、以下のようになります。

仮説(かせつ、英: hypothesis)とは、真偽はともかくとして、何らかの現象や法則性を説明するのに役立つ命題のこと。

ウィキぺディア

さらにほかのサイトやチャットGPTなどでも、仮説について調べ、命題についても深掘りし、といった風に、徹底して調べます。

そして自分の言葉で、誰もがわかるように簡単に説明できるまで、知識として落とし込む。
これが、「1を聞いて10を調べる」ことのゴールです。

仮説という言葉が、直接使われるシーンは、そう多くないかもしれません。

しかし仮説とはなにか、どうすれば仮説を立てられるのかを知っていることは、仮説から派生する課題の解決や、戦略の構築といったシーンで役立ちます。
また、自分では想定すらしなかった状況で、役に立つ可能性があるかもしれません。

瞬考するために、知の巨人を目指してください。
なおビジネスプロデューサーである著者は、コンサルタント時代、会社四季報を丸暗記していたといいます。

実際著者は、マーケットの動向を理解し瞬考するために、大変有益であったと述べています。

2軸で考える


瞬考に欠かせない知識の収集、つまりインプットをする際に欠かせないのが、2軸で考えることです。

具体的には、縦軸と横軸を次のようにとります。

  1. 横軸:歴史

  2. 縦軸:業界の知識

歴史の横軸とは

仮説を立てたい物事の、今に至るまでの経過を探るのが、歴史の横軸です。

例えば、会社の課題を解決するのであれば、社史を読み込むことからスタートします。
会社がどのような経緯を経て現在に至るのか、どのような思考の傾向を持つか、その結果どのような結果がもたらされ、どのような対策をとってきたのか。

どれも、未来を読み解くために欠かせない情報です。

業界知識の横軸とは

業界知識の横軸は、業界誌を最新のものから古いものまで遡って読み込むことで習得できます。
業界の知識が十分になければ、深く思考できないのは先述の通りです。

自分が考えなければならない事柄の属する業界の知識を隅々まで習得することで、業界特有の傾向を考慮しながら仮説を立てられるようになります。

背景を知る

より精度の高い瞬考は、立体的な思考から生まれます

横軸と縦軸で情報を収集したら、最後は第3の軸を立てます。
これが
背景に向かう思考の軸です。

なぜ、この問題が起きているのか
なぜ、このプロジェクトを実行するのか

なんらかのアクションを起こすということはつまり、なにか解決すべき問題があるのと同義です。
対策を講じるには、時間や労力、そしてコストがかかります。

それでもなにかしなければならない状況になっている原因はなにか。
その原因を、どう変えることがゴールなのか。

背景を知ることで、正しい目標設定や、成功の可能性が高い仮説を立てられます。

知識の質と量が、瞬考の結果を左右します。
満遍なく大量の知識や情報をインプットして、脳内のデータベースを肥沃な土壌に育ててください。

さいごに

インプット
インプット
インプット

とにかく知識や情報を、インプットすること。
これが、瞬考の基本
です。

錬金術はありません。
無から何かを生み出すのは、幻想です。

同様に、完璧なオリジナルもありません。
過去から積み上げられた知識や情報を再構成したものが、アイディアであり仮説です。

膨大な情報の中に規則性を見出し、新しい再構成の方法を見つける瞬考を実現するために、インプットしましょう。

日々食事として取り込んだ食べ物が私たちの体を構成する細胞になるように、日々取り込んだ知識や情報が、あなたの脳というデバイスを作ります。

ご自身の脳を、高性能の思考マシンに育てて、瞬考のスキルを習得してみませんか。

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