感じる訓練

感性を取り戻したい。
ずっとそう思ってきた。
歳をとるにしたがい、
感性が鈍くなってきたと
感じていたからだ。

若い頃は誰よりも
感性が豊かだと思っていた。
みずみずしい感性が
文章にもあると思っていた。
それが徐々に薄らいでいた。

物事を論理的に考える、
そういう癖がついてきたのか。
論理的に考察できなければ、
明確な文章とは言えない。
いつしか正しさに重きを置いていた。

感性を取り戻そうとして
音楽を聞き楽器を奏で、
絵を描き詩も書いている。
感性は取り戻せたのか。
湧き出るような感性が。

今日、ふとしたことではっと
思い当たることがあった。
あまりに目に頼りすぎていないか、
視覚の世界で生きていないか。
それが感性を乏しくさせていると。

まずは目を瞑って感じてみる。
耳を澄ませて静かに音を聴く、
スーッと息を吸い臭いを嗅ぐ、
舌で飲み物や料理を深く味わう、
触って感触や温度を感じてみる。

そうしたことを毎日毎日、
繰り返し行ってみる。
視覚を除いて聴覚、嗅覚、
味覚、触覚で感じ取る。
見えない何かを感じることだと。