第33話 舟を待つ
喜平が、潮巡る太洋、ひろつ流れ海の南に浮かぶラボーレ島に種を蒔いた「永久の樹」が倒れた。
大蛇が樹の上にいた「永久の色鳥」を狙った。色鳥は、ことのはを風に伝える神、ほのほつみが姿を変えていたものだ。大蛇が鳥を襲ったとき、色鳥と大蛇の2体がひとつとなり大いなる光を発し、それが天に消えていった。あれは8月6日。喜平は目がくらみ、思わず倒れたが、樹が倒れたのは、あの日から数日後の出来事であった。
その日以降、喜平の心の支えとなった、ほのほつみは何者にも姿を変えることなく、喜平の前か